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31 男の子を産んでくれて言われても。
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新たな性生活が始まりを告げた。
毎晩のように王太子が私の身体を求めてくる。
それも全ては跡継ぎを孕ませるため。
「今日は体の調子が悪いのです。今日はぐっすりと眠りたいです」
「おお、そうか……それならば仕方がないな。今日は寝るとしよう」
私が拒まないと王太子は猿のように私を求めてくるのだ。
全く非常に面倒くさい毎日。
そんなある日の事。
私がいつものようにテラスでお茶を楽しんでいた時だった。
侍女が私の所へやって来て(ラスティではない)私にこう言ったのだ。
「妃様。妃様が夜の営みをしてくれないと王太子が嘆きながら私共の部屋にお忍びで来るのです。どうか止めるように言ってください。あの協定は何だったんでしょう」
「まぁ、そんなことになっていたのですね。すみませんでした。私から王太子にお伝えします」
まさかとは思っていたが、偶に夜こっそり出掛けていたのはそのためだったのね。
私が嫌なら離縁でも何でもしてあげるのに。
その夜私は王太子に問い質しました。
「侍女から訊きましたよ。夜侍女の部屋に行っているとか。どういう事ですか?」
「あ、そ、それは……、ち、違うんだ。私はそ……の、違うんだ」
「何が違うんですか?」
「私は何もやましい事はしていない。ただちょっと話をだな…、訊いてもらおうと」
「お話なら私で十分でしょう。それとも私と離縁を望まれているのですか?」
「そうではないっ! そんなことを言うな」
ダメダメな王太子を夫に迎えてしまった私に問題がある、私はそう思った。
「今度侍女に手を出したら、私は離縁します」
「分かった。もう誓って何もしない。この通りだ」
王太子は私に土下座をして謝っていた。
全く惨めな姿。
その惨めな姿を見て私はため息をついた。
隣では姫が眠りについている。
この子だけは幸せにしてあげたい。
「分かりました。もう二度と、ですよ」
「ああ、分かった」
あと……、私はそれに付け加えて夜の営みは週に3回までと付け加えた。
王太子は最初受け入れようとはしなかったが、私が固辞すると私の提案に頭を上下に振った。
「出来れば、男の子を孕んでくれ」
「それは神のみぞ知ることです」
「それはそうなのだが。父君の容体も悪いのだ。出来れば父上がいる間に男の子を見せて安心させてあげたい。そのために……頼む!!」
そう言われましても……私はまた一つため息をついて王太子の事を見つめていた。
ダメ王太子。
本当にダメダメ。
私は冷ややかな視線を王太子に向けていたのだった。
毎晩のように王太子が私の身体を求めてくる。
それも全ては跡継ぎを孕ませるため。
「今日は体の調子が悪いのです。今日はぐっすりと眠りたいです」
「おお、そうか……それならば仕方がないな。今日は寝るとしよう」
私が拒まないと王太子は猿のように私を求めてくるのだ。
全く非常に面倒くさい毎日。
そんなある日の事。
私がいつものようにテラスでお茶を楽しんでいた時だった。
侍女が私の所へやって来て(ラスティではない)私にこう言ったのだ。
「妃様。妃様が夜の営みをしてくれないと王太子が嘆きながら私共の部屋にお忍びで来るのです。どうか止めるように言ってください。あの協定は何だったんでしょう」
「まぁ、そんなことになっていたのですね。すみませんでした。私から王太子にお伝えします」
まさかとは思っていたが、偶に夜こっそり出掛けていたのはそのためだったのね。
私が嫌なら離縁でも何でもしてあげるのに。
その夜私は王太子に問い質しました。
「侍女から訊きましたよ。夜侍女の部屋に行っているとか。どういう事ですか?」
「あ、そ、それは……、ち、違うんだ。私はそ……の、違うんだ」
「何が違うんですか?」
「私は何もやましい事はしていない。ただちょっと話をだな…、訊いてもらおうと」
「お話なら私で十分でしょう。それとも私と離縁を望まれているのですか?」
「そうではないっ! そんなことを言うな」
ダメダメな王太子を夫に迎えてしまった私に問題がある、私はそう思った。
「今度侍女に手を出したら、私は離縁します」
「分かった。もう誓って何もしない。この通りだ」
王太子は私に土下座をして謝っていた。
全く惨めな姿。
その惨めな姿を見て私はため息をついた。
隣では姫が眠りについている。
この子だけは幸せにしてあげたい。
「分かりました。もう二度と、ですよ」
「ああ、分かった」
あと……、私はそれに付け加えて夜の営みは週に3回までと付け加えた。
王太子は最初受け入れようとはしなかったが、私が固辞すると私の提案に頭を上下に振った。
「出来れば、男の子を孕んでくれ」
「それは神のみぞ知ることです」
「それはそうなのだが。父君の容体も悪いのだ。出来れば父上がいる間に男の子を見せて安心させてあげたい。そのために……頼む!!」
そう言われましても……私はまた一つため息をついて王太子の事を見つめていた。
ダメ王太子。
本当にダメダメ。
私は冷ややかな視線を王太子に向けていたのだった。
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