王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐

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26 赤ちゃんがお腹を蹴りました。

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国王が倒れられた日から一週間が過ぎた。
未だ回復傾向にない王の代わりに王太子が政治を代理していた。
既に国民にも王が倒れて療養していることが知れ渡った。
王太子はずっと部屋に閉じこもり、執務をしている。
私は相変わらず部屋から一歩も出ずに時間を潰していた。

そんなある日、いつものように食事のあとに紅茶を飲もうとラスティとルエを誘った時だった。

「あ、今お腹が……っ」
「どうされたのですか? 何かあったのですか?」

近衛隊長のルエが私の事を心配してそう言ってくれた。
私なら大丈夫、それよりも……。

「お腹の子が私のお腹を蹴ったの。凄く強い勢いだった気がするの」
「おおっ! それはいい頃ではありませんか!? 早速王太子にご報告せねば」

ルエはそう言って笑っていた。
毎日の執務に疲れているであろう王太子にこの話をすればちょっとは元気になるだろう、私はそう思って執務室へ向かうことにした。

「どうぞ」

ルエが私の代わりにノックして、私は失礼します、と声を掛けた。部屋の机の上で何やら作業していた王太子が私が来たことに驚いて目を捲るして可愛らしい。

「どうしたのだ? 何かあったのか?」
「いえ。そうではないのですが、実は……」

私は先程の事を王太子に話した。
すると、大きな声で拳を上げて喜んでくれた。

「おお、元気な赤子が産まれてくるのだな? あとどれくらいで産まれるのだ?」
「どうでしょうか。もうすぐだと思いますが……」
「早く見てみたいものだ。国王…父上も喜んでくださるだろう」
「はい」

私はお腹を擦りながらそう返事をした。
王太子は私のお腹に耳を当てて生まれてくる自分の子供に何か話しかけるようにしていた。

「まずは其方の体調が万全でなければならん。ルエ、しっかり守るんだぞ」
「心得ております」
「うむ。マリア、すまない。仕事が詰まっているのだ。また夜にでも話をしよう」
「お仕事中済みませんでした。では後ほど」

私はそう言ってルエと共に執務室を出た。
ちょっとは喜んでくれると思ったけど、大分喜んでくれて嬉しい。
私はそう思いながら自室へと戻って行った。
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