王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐

文字の大きさ
上 下
22 / 54

22 結婚して正妃になりました。

しおりを挟む
月日は流れ、子供が出来て安定期に入った。
お腹はどんどん膨らんでソファから立ち上がる時は近衛兵のルエにお願いしている状態だった。
私が子を孕む事で正式に王太子と結婚することになったのはそれから数日後の事だった。
国を挙げて盛大に結婚式をすることになった。
今日がその結婚式当日。

「お腹は大丈夫なのか?」

王太子が毎日私の身体…というより子供の事を心配して見に来るようになった。
私はその度に大丈夫だと告げると、何かあったら言うのだぞ、と笑顔で私に話しかけていた。
そして式が始まった。

「おめでとうございますっ!」
「おめでとうございます」

皆から祝福され私は正式に正妃となったのだった。
正妃となった私は今まで使っていた部屋から王太子の部屋に移されることになった。
夫婦別々の部屋は何かと不便だろう、と国王から言われてしまったのだった。
私的には一緒の部屋だと落ち着かないのだが……これも仕方ない事なのだろうか。

式も無事終わり、一当たりした私はルエに頼んで部屋まで連れて言って貰った。
式にはあのミレンダ令嬢や他の令嬢たちも姿を見せていた。
悔しがるミレンダ令嬢の顔を思い出すと笑えてくる。

「マリア様。大丈夫ですか?」
「ええ、平気です。思い出し笑いしてしまいました」
「はぁ、思い出し笑い、ですか」
「何でも有りませんよ、ふふふ」

不思議な顔をしているルエ。
私はなんだか悪い女になってしまっているようだ。
なんたって私が侍女だった時から婚約する時だって私を蔑んでいたのに、今日は悔しそうな顔をして拍手をする姿が見れたのだら、これほどまでに愉しい余興はない。

「可笑しくてお腹が痛いわ」
「だ、大丈夫ですかっ!? 直ぐ部屋に。失礼ながら」

ルエはそう言うと私を担ぎ上げ部屋に連れて行ってくれた。
その時王太子はというと、他の客人達に囲まれて祝福を受けていた。
私がお腹の調子が悪いと嘘を言うと血相を変えてルエを呼びつけ部屋へ連れていくよう命じたのだ。

「ルエ。私なら平気です。降ろしてください」
「ダメで御座います。私は王太子様よりご命令を受けております。ちゃんと無事お部屋までお連れするようにと」
「だからそれは……」

嘘だとは言いにくい……私は黙ったままルエに且つだれるようにして部屋に戻った。
部屋に戻るとソファに座るようルエに言われて私はソファに腰を下ろした。

「有難う、ルエ」
「いえ、私は部屋の外で待機しております」
「貴女もここでお茶を飲みませんか?」
「私ごときが…とんでもない」
「では、これは私からの命令です。一緒にお茶を飲むのを付き合いなさい」
「……畏まりました。お妃様」

ルエはそう言うと私の隣に腰かけ紅茶をコップに注いでくれた。
妃……なんていい響き何でしょう。
私は笑顔で紅茶を啜りながらそう思った。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...