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22 結婚して正妃になりました。
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月日は流れ、子供が出来て安定期に入った。
お腹はどんどん膨らんでソファから立ち上がる時は近衛兵のルエにお願いしている状態だった。
私が子を孕む事で正式に王太子と結婚することになったのはそれから数日後の事だった。
国を挙げて盛大に結婚式をすることになった。
今日がその結婚式当日。
「お腹は大丈夫なのか?」
王太子が毎日私の身体…というより子供の事を心配して見に来るようになった。
私はその度に大丈夫だと告げると、何かあったら言うのだぞ、と笑顔で私に話しかけていた。
そして式が始まった。
「おめでとうございますっ!」
「おめでとうございます」
皆から祝福され私は正式に正妃となったのだった。
正妃となった私は今まで使っていた部屋から王太子の部屋に移されることになった。
夫婦別々の部屋は何かと不便だろう、と国王から言われてしまったのだった。
私的には一緒の部屋だと落ち着かないのだが……これも仕方ない事なのだろうか。
式も無事終わり、一当たりした私はルエに頼んで部屋まで連れて言って貰った。
式にはあのミレンダ令嬢や他の令嬢たちも姿を見せていた。
悔しがるミレンダ令嬢の顔を思い出すと笑えてくる。
「マリア様。大丈夫ですか?」
「ええ、平気です。思い出し笑いしてしまいました」
「はぁ、思い出し笑い、ですか」
「何でも有りませんよ、ふふふ」
不思議な顔をしているルエ。
私はなんだか悪い女になってしまっているようだ。
なんたって私が侍女だった時から婚約する時だって私を蔑んでいたのに、今日は悔しそうな顔をして拍手をする姿が見れたのだら、これほどまでに愉しい余興はない。
「可笑しくてお腹が痛いわ」
「だ、大丈夫ですかっ!? 直ぐ部屋に。失礼ながら」
ルエはそう言うと私を担ぎ上げ部屋に連れて行ってくれた。
その時王太子はというと、他の客人達に囲まれて祝福を受けていた。
私がお腹の調子が悪いと嘘を言うと血相を変えてルエを呼びつけ部屋へ連れていくよう命じたのだ。
「ルエ。私なら平気です。降ろしてください」
「ダメで御座います。私は王太子様よりご命令を受けております。ちゃんと無事お部屋までお連れするようにと」
「だからそれは……」
嘘だとは言いにくい……私は黙ったままルエに且つだれるようにして部屋に戻った。
部屋に戻るとソファに座るようルエに言われて私はソファに腰を下ろした。
「有難う、ルエ」
「いえ、私は部屋の外で待機しております」
「貴女もここでお茶を飲みませんか?」
「私ごときが…とんでもない」
「では、これは私からの命令です。一緒にお茶を飲むのを付き合いなさい」
「……畏まりました。お妃様」
ルエはそう言うと私の隣に腰かけ紅茶をコップに注いでくれた。
妃……なんていい響き何でしょう。
私は笑顔で紅茶を啜りながらそう思った。
お腹はどんどん膨らんでソファから立ち上がる時は近衛兵のルエにお願いしている状態だった。
私が子を孕む事で正式に王太子と結婚することになったのはそれから数日後の事だった。
国を挙げて盛大に結婚式をすることになった。
今日がその結婚式当日。
「お腹は大丈夫なのか?」
王太子が毎日私の身体…というより子供の事を心配して見に来るようになった。
私はその度に大丈夫だと告げると、何かあったら言うのだぞ、と笑顔で私に話しかけていた。
そして式が始まった。
「おめでとうございますっ!」
「おめでとうございます」
皆から祝福され私は正式に正妃となったのだった。
正妃となった私は今まで使っていた部屋から王太子の部屋に移されることになった。
夫婦別々の部屋は何かと不便だろう、と国王から言われてしまったのだった。
私的には一緒の部屋だと落ち着かないのだが……これも仕方ない事なのだろうか。
式も無事終わり、一当たりした私はルエに頼んで部屋まで連れて言って貰った。
式にはあのミレンダ令嬢や他の令嬢たちも姿を見せていた。
悔しがるミレンダ令嬢の顔を思い出すと笑えてくる。
「マリア様。大丈夫ですか?」
「ええ、平気です。思い出し笑いしてしまいました」
「はぁ、思い出し笑い、ですか」
「何でも有りませんよ、ふふふ」
不思議な顔をしているルエ。
私はなんだか悪い女になってしまっているようだ。
なんたって私が侍女だった時から婚約する時だって私を蔑んでいたのに、今日は悔しそうな顔をして拍手をする姿が見れたのだら、これほどまでに愉しい余興はない。
「可笑しくてお腹が痛いわ」
「だ、大丈夫ですかっ!? 直ぐ部屋に。失礼ながら」
ルエはそう言うと私を担ぎ上げ部屋に連れて行ってくれた。
その時王太子はというと、他の客人達に囲まれて祝福を受けていた。
私がお腹の調子が悪いと嘘を言うと血相を変えてルエを呼びつけ部屋へ連れていくよう命じたのだ。
「ルエ。私なら平気です。降ろしてください」
「ダメで御座います。私は王太子様よりご命令を受けております。ちゃんと無事お部屋までお連れするようにと」
「だからそれは……」
嘘だとは言いにくい……私は黙ったままルエに且つだれるようにして部屋に戻った。
部屋に戻るとソファに座るようルエに言われて私はソファに腰を下ろした。
「有難う、ルエ」
「いえ、私は部屋の外で待機しております」
「貴女もここでお茶を飲みませんか?」
「私ごときが…とんでもない」
「では、これは私からの命令です。一緒にお茶を飲むのを付き合いなさい」
「……畏まりました。お妃様」
ルエはそう言うと私の隣に腰かけ紅茶をコップに注いでくれた。
妃……なんていい響き何でしょう。
私は笑顔で紅茶を啜りながらそう思った。
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