上 下
10 / 54

10 国王様と会いました ①

しおりを挟む
昨晩、アルバン王太子は珍しく夜這いに来なかった。
朝起き上ると、ベッドに一人で横たわっていた。
毎晩毎晩は流石に疲れたのだろうか。
私も毎晩相手にするのは正直疲れるから助かった。

ベッドから起き上がり窓の外を見ると朝焼けの綺麗な空が見えた。
綺麗な赤く染まった太陽の光。
暫く外を眺めていると侍女のラスティがやって来た。

「おはよう、今日は朝国王様との話し合いがあるのよね?」

ああ、そうだった。
正式に婚約することになるんだった。
すっかりそんなことを忘れていた私は現実に引き戻されるような気分を味わった。

「ああ、やだなぁ~……」
「何を今更……」
「そうだけど……」

ラスティはクローゼットから私が着る服を選定してくれている。
私はレースの服を着てソファに座った。
朝からいい眺めを見たとの絶望的な現実が数分後にやっていると思うと憂鬱になる。

「これでいいかしら。どう?」

ラスティはそう言いながら黄色の色を基調としたドレスを私に見せた。
何でもいいや、私はそう思いながらこくりと頷いた。

「さぁ、これを来て頑張りなさいな」
「…他人事だと思ってるでしょ?」
「だって、他人事だもの」
「いいよね……私も侍女に戻りたい」
「それは無理ね」

はぁ~……ため息をつくとラスティがクスクス笑っている。
何がそんなに嬉しいのかしら。
私で遊んでるんだわ、全く酷い人ね。

そんなことを思いながら服に袖を通して国王様が待つ王の間に向かうことになった。
コツコツと靴の音が廊下に響く。
王の間の入り口でアルバン王太子が私を待ち構えていた。

「おはよう。昨日はちゃんと眠れたか?」

彼方が夜這いに来なかったからぐっすり寝れました、なんて言える訳もなく私はこくりと頷いた。
アルバン王子はにこやかに笑いながら私の肩に手をやると大きな扉を開けてた。
奥で待っている国王様に会う。
これで二度目だった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

処理中です...