王太子の子を孕まされてました

9 変わってほしいと思いました。

朝起きたら王太子が私の隣でスヤスヤと寝息を掻きながら寝ていた。
昨日の晩も相変わらずの夜這い……。
もう夜這いじゃなくて子づくりまたは夜の営みと言うようにしよう、と思っていた。

「アルバン様。起きてくださいまし。もうすぐ朝食のお時間です」
「うっ……うう……」

項垂れながら目を開けると私の顔を見ていきなり抱きついてきた。
朝から抱擁されるとは……。
侍女がもうすぐやってくる時間帯。
私は王太子に部屋から出るようお願いすると、渋々部屋から出て行った。
何処まで私の事が好きなんだか……。
正直言って私は美しくも、体つきと云うわけではない。
ごく普通の体系……より少し太ってる……。

そんな私をアルバン王太子は気に入っていると言って偶に私のお腹に耳を当てて『子はおるのか』と訳の分からない冗談をする。
本人は至って真面目なのが凄く残念。

『コンコン』、侍女が部屋のドアをノックしてきた。
私は服装を整えて扉を開け、侍女のラスティが部屋に入ってきた。

「おはようございます、昨日も大変だったようね」
「知っているのならいちいち聞かないでくれる？」
「だって……面白いんだもの」
「私を題材にして皆で私の事を悪者扱いしていることが？」
「そうじゃないって。侍女でも王太子様のようなもの好きが現れてって思っているのよ」
「それじゃ、まるで私の事をバカにしているとしか思えないわよ」
「ごめんごめん。でも、結構みんな真剣に言ってたよ」

侍女たちが私のようになりたいと思っているのなら直ぐ変わってやりたいと思ってしまった。
なんたって、平民より身分の低い状態からいきなり王族の仲間入りすることになるとは夢にも思わなかったこと。

「私が羨ましいなら変わってあげよっか？」

私は唐突にラスティに言った。
しかしラスティは首を左右に振って、嫌だ、と言いっていた。
やっぱり本意に私のようになりたいと思っていないんだ。

「私、侍女に戻りたい……」
「それは無理よ。だってもうすぐ全国民に王太子と婚約発表されちゃうんだから」
「それな……」

ついつい言葉にしてしまった。
はあ……誰か、私に同情するなら『王太子との婚約を変わってくれ』っ！！