王太子の子を孕まされてました

3 グーパンされました。

私と王太子が婚約したことが知れ渡って面白くない存在が1人いました。
それは先に王太子と婚約していたミレンダ令嬢。
私は侍女から繰り上がり綺麗なお部屋を使うよう王太子に言われました。

「私が妃……第一王妃……本当にそんなことが許されるの？」

一人大きな部屋に入れられて私はそう呟いた。
しかし、甘かった。
それはあまりにも甘かった。

翌日ミレンダ令嬢が抗議しに来たのだ。
……アルバン王太子を睨みつけた後、私にも睨みつけられた。

「こんなことが許されるのでしょうかっ！　よりにもよってお城の侍女だった者を妃に迎えるなんて事がっ！！」

ご尤もで御座います、ミレンダ様。
私も本意じゃないんです。
王太子に無理やりセックスをさせられた、私も被害者なのですよ。

しかし、そんな事実を受け止めようとはしない令嬢。
キンキン声で王太子に詰め寄るがアルバン王太子は『其方との縁談は無かったことにしたい』と一転張り。
これでは話し合いにもなっていない状態。
私は一人蚊帳の外状態。

そんな私を見たミレンダ令嬢が私の所へ来ていきなりお腹をグーパンしてきた。

「痛っ！！」
「お腹の子なんか……子なんか…どうにでもなればいいんですわっ！」

そう言って蹲る私に対して髪の毛を掴んで立たせようとする。
立ちなさい、立って詫びなさい。
そう言われても…私の所為ではないんですけど……痛いって、髪の毛掴まないで。
王太子はそれを見て、止めるようミレンダ令嬢に注意してやっとやめてくれた。

「貴女なんか、私よりブスの癖に生意気なんですわっ」
「……そう言われても……」

私の小言がミレンダ令嬢の耳に入って今度は思い切り頬をぶたれた。
バチンっ！！
大きな音が部屋中に響き渡る。
令嬢はそのまま踵を返してその場を立ち去った。
無言のまま。

「大丈夫か？」

アルバン王太子が私の所へ来てそう言いながら脇を抱えてソファに座らせた。
あなたの所為でこうなったのですよ、と言いたいがお腹の痛さとひりひりする頬を撫でながら黙って頷いた。