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2 真心
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馬車に揺れまたあの時の事を思い出してしまっていた。
あれからアンドレイと話は出来ていない。
私との婚約を破棄すると言われてから三日後には新しい婚約者がいるという噂を耳にするくらいだ。
私を捨てて新しい女に鞍替えしたんだろう、と思うと胸が苦しくなる。
……というか悔しいが本音だろうか…。
私が何をしたのというのか、その答えを聴くまでは私は諦めたりはしない、つもりだった。
「お嬢様、もうすぐ学園でございます。ご準備を…」
馬車を運転していた従者がそう私に声をかけて来た。
「有難う…」
私は虫のなく声でそう返事をする。
普段は冷静沈着、そして清楚で何事にも動じない、そんな人物像を両親から言いつけられてきて育った。
そのためいつしか自分自身を表に出すことを止めてしまう。
毎日学園に通い、同じ貴族の令嬢達と接し、また屋敷に戻り夕食を両親と共に送る。
そしてまた次の日が……。
「……毎日が退屈…」
「…は?」
「何でもないわ。では行ってきます」
「はい。行ってらっしゃいませ、お嬢様」
平凡な日常は私の心を動かそうとはしない。
そんな惨めで詰まらない日常を一新する出来事が起こったのだ。
「おはようございます、レイジー様」
「…おはようございます、イリス様」
私に向かって笑顔で微笑みを送るこの無邪気で誰からも好かれそうな容姿で私に近づいてくるこの女、そう、この女こそ、あのアンドレイの新しい婚約者だったのだ。
私は笑顔で微笑み返し心の中ではどす黒いことを思い続けている。
この女こそ、私からアンドレイを引き剥がした張本人に違いない。
絶対復讐してやる。
私はこのイリス・アーバンを絶対に許さない。
そしてアンドレイを絶対に許さない。
そう、私は二人に地獄を味合わせてやるんだから……。
あれからアンドレイと話は出来ていない。
私との婚約を破棄すると言われてから三日後には新しい婚約者がいるという噂を耳にするくらいだ。
私を捨てて新しい女に鞍替えしたんだろう、と思うと胸が苦しくなる。
……というか悔しいが本音だろうか…。
私が何をしたのというのか、その答えを聴くまでは私は諦めたりはしない、つもりだった。
「お嬢様、もうすぐ学園でございます。ご準備を…」
馬車を運転していた従者がそう私に声をかけて来た。
「有難う…」
私は虫のなく声でそう返事をする。
普段は冷静沈着、そして清楚で何事にも動じない、そんな人物像を両親から言いつけられてきて育った。
そのためいつしか自分自身を表に出すことを止めてしまう。
毎日学園に通い、同じ貴族の令嬢達と接し、また屋敷に戻り夕食を両親と共に送る。
そしてまた次の日が……。
「……毎日が退屈…」
「…は?」
「何でもないわ。では行ってきます」
「はい。行ってらっしゃいませ、お嬢様」
平凡な日常は私の心を動かそうとはしない。
そんな惨めで詰まらない日常を一新する出来事が起こったのだ。
「おはようございます、レイジー様」
「…おはようございます、イリス様」
私に向かって笑顔で微笑みを送るこの無邪気で誰からも好かれそうな容姿で私に近づいてくるこの女、そう、この女こそ、あのアンドレイの新しい婚約者だったのだ。
私は笑顔で微笑み返し心の中ではどす黒いことを思い続けている。
この女こそ、私からアンドレイを引き剥がした張本人に違いない。
絶対復讐してやる。
私はこのイリス・アーバンを絶対に許さない。
そしてアンドレイを絶対に許さない。
そう、私は二人に地獄を味合わせてやるんだから……。
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