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「貴女はどちら様でしょうか……?」
アンヌがそうってアリーシャ様に訊ねたのを隣で聞いていたアリーシャ様の取り巻きの令嬢に訊ねました。
すると澄ました顔でアンヌに言い放ったのです
。
「どちら様ですって……貴女何もお分かりではないのですね。このお方は王太子様のフィアンセであらせられるアリーシャ様ですわ。そんなことも分からないのですか。本当に常識のない人ですわね」
「ビアンヌ…、そのくらいで結構ですわ。それよりメリーザ・エリクトンとお話がしたいのだけれど。宜しくて?」
そう言うとアリーシャ様はわたくしの目の前に立ち塞がり両腕を組んで仁王立ちしておりました。
何やら不機嫌そうな顔でわたくしを睨んでいるのです。
わたくしは席を立ち身体を向けてお答えいたしました。
「ええ、大丈夫ですわ。それでわたくしに何のご用事でしょうか?」
わたくしがそう言うとアリーシャ様は『ふんっ』と鼻を鳴らしその小さな可愛らしいお口を開き始めました。
「貴女、わたくしのフィアンセである王太子様に何をしたんですの? 王太子様はお城から一歩も外に出る事を国王様にお許しいただけないと言っておられましたわ。聞くところによりますと、貴女の差し金だというではありませんか。一体何の嫌がらせですの?」
わたくしには心当たりがありません。
一体何を言っているのかさっぱりです。
わたくしは席に座る二人を少し見た後口を開きました。
「わたくしには何のことか何を言っていらっしゃるのかさっぱり分かりません。どういう事でしょうか?」
「何を恍けたことを……。貴女のご両親に告げ口されて王太子様は幽閉されてしまわれたのですよ! いったい何をしたのです、貴方は…!」
「何を……と言われましても……。わたくしには身に覚えが御座いません。王太子様とは全くお会いしておりません。わたくしの両親が国王様に何を訴えたのかもわたくしには分かりませんわ」
本当に分かりませんでした。
ですがそれを訊いたアリーシャ様は激怒されわたくしに詰め寄るのです。
その迫力たるもの凄まじいものでした。
わたくしに詰め寄る様子を見ていた二人が不安そうにわたくしを見つめていました。
そんな顔しないでくださいまし。
わたくしなら大丈夫ですから。
そう心の中で呟きました。
アリーシャ様の追及は続きましたが、結局知らぬ存ぜぬを押し通したわたくしに呆れかえってしまい吐き捨てるようにこう仰いました。
「貴女……本当に悪人ですわね。皆貴女の事を『悪女』と言っている理由が分かりましたわ。本当に酷い人ですわっ! 二人とも行きますわよ。時間の無駄ですわっ」
そう言うと取り巻き二人を連れてわたくしの元を去っていきました。
わたくしはため息をついて再び席に着くと残りの冷めてしまったお茶を飲み干しました。
アリーシャ様とのやり取りを黙って聞いていた二人が心配そうに口を開き、大丈夫ですの? と声を掛けてきました。
わたくしは笑顔を作って心配している二人に大きく頷きました。
全くとばっちりも大概にしてほしい、そう思ったのです。
アンヌがそうってアリーシャ様に訊ねたのを隣で聞いていたアリーシャ様の取り巻きの令嬢に訊ねました。
すると澄ました顔でアンヌに言い放ったのです
。
「どちら様ですって……貴女何もお分かりではないのですね。このお方は王太子様のフィアンセであらせられるアリーシャ様ですわ。そんなことも分からないのですか。本当に常識のない人ですわね」
「ビアンヌ…、そのくらいで結構ですわ。それよりメリーザ・エリクトンとお話がしたいのだけれど。宜しくて?」
そう言うとアリーシャ様はわたくしの目の前に立ち塞がり両腕を組んで仁王立ちしておりました。
何やら不機嫌そうな顔でわたくしを睨んでいるのです。
わたくしは席を立ち身体を向けてお答えいたしました。
「ええ、大丈夫ですわ。それでわたくしに何のご用事でしょうか?」
わたくしがそう言うとアリーシャ様は『ふんっ』と鼻を鳴らしその小さな可愛らしいお口を開き始めました。
「貴女、わたくしのフィアンセである王太子様に何をしたんですの? 王太子様はお城から一歩も外に出る事を国王様にお許しいただけないと言っておられましたわ。聞くところによりますと、貴女の差し金だというではありませんか。一体何の嫌がらせですの?」
わたくしには心当たりがありません。
一体何を言っているのかさっぱりです。
わたくしは席に座る二人を少し見た後口を開きました。
「わたくしには何のことか何を言っていらっしゃるのかさっぱり分かりません。どういう事でしょうか?」
「何を恍けたことを……。貴女のご両親に告げ口されて王太子様は幽閉されてしまわれたのですよ! いったい何をしたのです、貴方は…!」
「何を……と言われましても……。わたくしには身に覚えが御座いません。王太子様とは全くお会いしておりません。わたくしの両親が国王様に何を訴えたのかもわたくしには分かりませんわ」
本当に分かりませんでした。
ですがそれを訊いたアリーシャ様は激怒されわたくしに詰め寄るのです。
その迫力たるもの凄まじいものでした。
わたくしに詰め寄る様子を見ていた二人が不安そうにわたくしを見つめていました。
そんな顔しないでくださいまし。
わたくしなら大丈夫ですから。
そう心の中で呟きました。
アリーシャ様の追及は続きましたが、結局知らぬ存ぜぬを押し通したわたくしに呆れかえってしまい吐き捨てるようにこう仰いました。
「貴女……本当に悪人ですわね。皆貴女の事を『悪女』と言っている理由が分かりましたわ。本当に酷い人ですわっ! 二人とも行きますわよ。時間の無駄ですわっ」
そう言うと取り巻き二人を連れてわたくしの元を去っていきました。
わたくしはため息をついて再び席に着くと残りの冷めてしまったお茶を飲み干しました。
アリーシャ様とのやり取りを黙って聞いていた二人が心配そうに口を開き、大丈夫ですの? と声を掛けてきました。
わたくしは笑顔を作って心配している二人に大きく頷きました。
全くとばっちりも大概にしてほしい、そう思ったのです。
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