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私には夢がありました。
以前本で読んだ時に衝撃的な出会いがありました。
それは恋愛物語。
主人公はごく普通の庶民で幼馴染との甘酸っぱい物語だったのです。
最初読んだ時にはそれほど面白みを感じませんでした。
こんな出会いがあるとは思わなかったからです。
それはそうでしょう、わたくしには将来決まった王太子との婚約があったのですから。
しかし今ではこういう出会いがあって恋愛したいと思うようになりました。
さぁ、自由になった私。
これからは恋愛というものを始めましょう。
ワクワクドキドキが楽しめるというのはなんと素晴らしい事でしょうっ!
王太子から婚約破棄されてからわたくしの立場も代わっていました。
今まで友達だったと思われていた人からわたくしを避けるような行動があったのです。
それはそれで仕方がない事だと思いました。
あれだけ公の場で揶揄されてしまったのでわたくしが悪役としてレッテルを貼られてしまい中々声を掛けづらいのではないかと思われたのです。
仕方がありません。
わたくしの友達として残ったのはたった二人だけになってしまったのです。
一人はリーデン家の次女アンヌ。
そしてチャンブラー家の長女カムラン。
二人とも貴族同士の親との繋がりで昔から仲良くさせて貰っている間柄です。
今日も学園での昼食の時に話がありました。
それは王太子との婚約破棄の事でした。
「この度の一件、本当に災難でしたわね、メリーザ」
「本当に困ったものです。わたくしが悪事を働くなどありもしないことを公然としゃべっておられたのには正直拍子抜けしましたわ」
「全くだわ。それにしても他の方々もそれを訊いて離れて行くなんてなんて酷い方々なのでしょう」
「それは仕方がない事だと思っています。わたくしと距離を置かなければ同じ事を王太子様に言われるかもしれないと恐れているのでしょう」
「そうですけれど。私もカムランもそんなことは決して致しませんわ」
「それだけでも有難いと思っております。二人とも有難う」
アンヌの話にカムランはにこやかに頷きました。
二人には感謝しかありません。
わたくしの事を信頼している証だと思いました。
この二人とは今後も大切なお友達として接していきたいと思いました。
それにしても王太子にあのような事を吹きかけた輩が居ることが少々気がかりです。
わたくしが他の貴族令嬢に悪役非道な振る舞いを行っていたなどと、本当に困ったものです。
その人物を特定しようとしても多分無理であることは分かっております。
なので敢えてそのことには触れませんでした。
***
王室での出来事。
フィリップ王太子が国王と王妃の前で跪いている。
婚約破棄に対する話し合いをしている最中だった。
「お前はいつまで子供のような振る舞いをするつもりだ、フィリップっ! メリーザとの婚約は以前より決まりきったことでは無いか。それをお前は学園の、皆の居る前で彼女に罵声を浴びせたというではないか。一体どういうことなのだ?」
国王は声を大きくして王太子に詰め寄った。
自分は悪いことをしたつもりはない王太子は首を傾げて話をし始めた。
「何を仰っているのです、陛下。私は真実を公にしただけで御座います。あの者は貴族令嬢を辱め裏で暗躍している悪女で御座います。そのような者が妃などと到底理解できるわけが御座いませんっ」
「何を言っているのだ。何処にそのような証拠があるというのだ、フィリップ」
「それは私に密書が届いていたのです。そこには私の愛するアリーシャの名も記されていたのです。それに私は元々あのような悪女と婚約するなどと嫌だったので御座います」
以前本で読んだ時に衝撃的な出会いがありました。
それは恋愛物語。
主人公はごく普通の庶民で幼馴染との甘酸っぱい物語だったのです。
最初読んだ時にはそれほど面白みを感じませんでした。
こんな出会いがあるとは思わなかったからです。
それはそうでしょう、わたくしには将来決まった王太子との婚約があったのですから。
しかし今ではこういう出会いがあって恋愛したいと思うようになりました。
さぁ、自由になった私。
これからは恋愛というものを始めましょう。
ワクワクドキドキが楽しめるというのはなんと素晴らしい事でしょうっ!
王太子から婚約破棄されてからわたくしの立場も代わっていました。
今まで友達だったと思われていた人からわたくしを避けるような行動があったのです。
それはそれで仕方がない事だと思いました。
あれだけ公の場で揶揄されてしまったのでわたくしが悪役としてレッテルを貼られてしまい中々声を掛けづらいのではないかと思われたのです。
仕方がありません。
わたくしの友達として残ったのはたった二人だけになってしまったのです。
一人はリーデン家の次女アンヌ。
そしてチャンブラー家の長女カムラン。
二人とも貴族同士の親との繋がりで昔から仲良くさせて貰っている間柄です。
今日も学園での昼食の時に話がありました。
それは王太子との婚約破棄の事でした。
「この度の一件、本当に災難でしたわね、メリーザ」
「本当に困ったものです。わたくしが悪事を働くなどありもしないことを公然としゃべっておられたのには正直拍子抜けしましたわ」
「全くだわ。それにしても他の方々もそれを訊いて離れて行くなんてなんて酷い方々なのでしょう」
「それは仕方がない事だと思っています。わたくしと距離を置かなければ同じ事を王太子様に言われるかもしれないと恐れているのでしょう」
「そうですけれど。私もカムランもそんなことは決して致しませんわ」
「それだけでも有難いと思っております。二人とも有難う」
アンヌの話にカムランはにこやかに頷きました。
二人には感謝しかありません。
わたくしの事を信頼している証だと思いました。
この二人とは今後も大切なお友達として接していきたいと思いました。
それにしても王太子にあのような事を吹きかけた輩が居ることが少々気がかりです。
わたくしが他の貴族令嬢に悪役非道な振る舞いを行っていたなどと、本当に困ったものです。
その人物を特定しようとしても多分無理であることは分かっております。
なので敢えてそのことには触れませんでした。
***
王室での出来事。
フィリップ王太子が国王と王妃の前で跪いている。
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「お前はいつまで子供のような振る舞いをするつもりだ、フィリップっ! メリーザとの婚約は以前より決まりきったことでは無いか。それをお前は学園の、皆の居る前で彼女に罵声を浴びせたというではないか。一体どういうことなのだ?」
国王は声を大きくして王太子に詰め寄った。
自分は悪いことをしたつもりはない王太子は首を傾げて話をし始めた。
「何を仰っているのです、陛下。私は真実を公にしただけで御座います。あの者は貴族令嬢を辱め裏で暗躍している悪女で御座います。そのような者が妃などと到底理解できるわけが御座いませんっ」
「何を言っているのだ。何処にそのような証拠があるというのだ、フィリップ」
「それは私に密書が届いていたのです。そこには私の愛するアリーシャの名も記されていたのです。それに私は元々あのような悪女と婚約するなどと嫌だったので御座います」
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