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第2章

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「マロン、サロン、エルフ族という存在とはどういうものなのかしら。この世界には魔族や人間族、それにエルフ族と天族が存在するのは知っているのだけれど、先程のエルフ達…あなた達も含めてどういう関係なのかしら?」


本来なら私自身が把握している筈の情報を二人に訊ねる事自体あり得ない事とは重々承知の上、改めてと言う雰囲気を出して訊ねてみた。
目の前にいる二人は一瞬互いを見つめた後でサロンが口を開いた。


「アレーレ様、ご存じのはずとは思われますが、この世界はそれぞれの種族は常に対等な存在でございます。それを象徴するのが『円卓会議』というモノです」


円卓会議、サロンが言う会議とはこういうことらしい。
各種族の代表が定例会議を開きそれぞれの種族の事や、現状の問題点、今後の事について話し合う場だというのだ。
これはこの世界を平和に解決する為大昔、それぞれの種族が決めたことなのだという。


「それは理解したけれど、では何故彼方達はこのゴードン家に侍女として仕えているの?」


疑問点はまだある。
侍女として使えるのはいいとしても、あのエルフの舞をしていた人達は何故いるのだろうか。
しかも私に対する忠誠心が半端なく強い。
どういう事なんだろう。


「私たちエルフは当然ながら各種族と同等の立場でございます。しかしながらここに使えるエルフ達はアレーレ様に助けて貰った御恩をお返しする者や、アレーレ様の人となりに惚れ込んだ者が残り、仕えているのです」


え……? でも私って悪役令嬢でしょ、悪役ってことは色々意地悪したりしてるのよね……。
どうしてそんな人間が恩とか好かれるとかになってことになっているのよ。
これじゃ、まるで徳のある人物みたいじゃない。


「私は決してやさしい人間ではなくてよ。嫌な事も命じているわけで、彼方達も苦労している筈じゃなくて?」
「そんなことは決してありません。私共侍女はアレーレ様に既に身も心も捧げております。アレーレ様のご命令であれば何にでも耐えうる覚悟がございますっ」


ん~っと……ちょっと待って。
ちょっと……整理させて。
結局悪役令嬢っていう流れでも結果的にはいい人になってるってことの理解でいいのかしら。
これって私から『いい人』オーラってのが出ている所為なのかしら。
それとも女神エクアが言っていた『魔力』の力の所為なのかしら。
ちょっとエクアと話がしたくなってきちゃったわ。
このままじゃ何だか気持ちが悪くてこの後どう過ごすべきか、どういうキャラで行けばいいのかさっぱり分からない。
これって設定ミスって言う事じゃないのかしら。


「「アレーレ様……」」


黙ったまま俯いている私を心配してか二人が私の名前を呼んだ。
私は顔を上げて作り笑いをして二人を安心させようとした。


「大丈夫よ。少し迷っ……じゃなくて、考え事、そう、考え事をしていただけなの。お話は以上よ。二人共ご苦労だったわね、下がりなさい」


「「はい、アレーレ様」」


何て従順でいい子たちなのよっ。
一礼した二人は静かに私の書斎を後にした。
私はため息をついて今後の方針を考える事に。
取り敢えず女神エクアと話すためにはどうすればいいのか考えていると急に目の前が真っ暗になってしまった。

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