13 / 80
第1章
12
しおりを挟む
「マロン。暫く一人にして頂戴。何かあれば呼ぶから」
「畏まりました、アレーレ様。それでは失礼いたします」
マロンは深々と頭を下げて大きな扉を静かに閉じた。
私は何冊か適当に書棚から取り出し席に着いて読み始めた。
どの本も味気ない……と言うより全くなってないのだ。
ただ男同士が手を繋いでどこか旅行に行く話や、隠れて抱き合うだけの話や、魔族討伐の前夜お酒を酌み交わすありきたりの話やら……。
一体全体何なの、よこれはっ。
「前のアレーレはこれを読んで何を思っていたのかしら。全然面白くも萌えもない。これじゃただの子供の作文ね」
そう独り言を呟いているとコンコンとドアをノックする音が部屋に鳴り響いた。
私は部屋にあった時計を目にすると既にお昼時間が過ぎていたようだ。
くだらないと思いつつも本に気を取られてしまい時間の事をすっかり忘れてしまっていた。
「はい。どうぞ」
「失礼致します。お昼のご用意が出来ました」
「分かったわ。すぐ行きます」
私は手にしていた本をそっと静かに閉じた。
「アレーレ様。お昼のご用意が整いましたのでお迎えにあがりました」
澄ました顔をしながらマロンがそう言って一礼した。
私は席を立ちマロンの前で立ち止まると、ご苦労様、と労いの言葉を掛けた。
マロンの案内で食堂に着くと既にお父様が座って私の事を待っている様子。
お父様は笑顔で私を見ると席に座るように私に声を掛けた。
「書斎で勉強とは感心だな、アレーレよ」
開口一番出たのがこの言葉だった。
勉強と言うより部屋中にあったあの味気ないBL本を読みふけっていただけ、何て言える訳もない私は笑顔で会釈した。
目の前に出されたお料理を見て心の中で『凄いお料理だわ。流石貴族ってことね』と感心してしまった。
「それでは頂こうか」
「はい、お父様」
大きなテーブルに私とお父様の2人だけの食事。
周りには侍女たちが数名立ったまま私たちの食事風景を凝視している。
なんだか人に見られている食事っていうもの落ち着かないものね。
私とお父様は黙ったまま、ただ食器とフォークの重なる音だけが静かに鳴り響いていた。
黙ったままの食事も前世でも当たり前だったけれど、転生してもこの恥ずかしさと言うか虚しさってて言うのは変わらないものなのね、私はそう思いながらスプーンでスープを掬い口元に運んだ。
「ところでアレーレよ。この後時間はあるのか?」
お父様がそう訊ねて来た。
本日の私の行動予定について特に何もないか近くにいた侍女に訊ねた。
すると侍女は手帳のようなものをポケットから取り出し私にこの後の予定がないことを伝えてくれた。
「特に何もないようですわ。お父様」
「おお、そうか。実はこれから国王陛下にご挨拶に行かねばならんのだ。其方の成人祝いのお言葉を頂戴することになってな。だから私と一緒についてきてはくれまいか」
いきなり国王様の御前に行くことになってしまった私は心の中でため息をついてしまった。
まだ転生して2日目の出来事って言うのにいきなり国王様と面会することになるとは……。
私とお父様は食事を済ませよそ行きのドレスに着替えると屋敷の前に止まっていた馬車に乗り込みお城に向かった。
馬車に揺られること数分、お父様に連れられてやって来たのは大きなお城の門の前。
門番が馬車の運転手と何やら話を交わすと再び馬車が動き出した。
私の目の前に現れた光景に私は唖然としてしまった。
流石は一国の王様のお城。
東京ディ〇ニーランドの白〇姫のお城なんか目じゃないわ。
つい庶民的な事を考えてしまう私ってやっぱり貴族の娘としては失格なのかしら、そう自暴自棄になってしまったのだった。
「畏まりました、アレーレ様。それでは失礼いたします」
マロンは深々と頭を下げて大きな扉を静かに閉じた。
私は何冊か適当に書棚から取り出し席に着いて読み始めた。
どの本も味気ない……と言うより全くなってないのだ。
ただ男同士が手を繋いでどこか旅行に行く話や、隠れて抱き合うだけの話や、魔族討伐の前夜お酒を酌み交わすありきたりの話やら……。
一体全体何なの、よこれはっ。
「前のアレーレはこれを読んで何を思っていたのかしら。全然面白くも萌えもない。これじゃただの子供の作文ね」
そう独り言を呟いているとコンコンとドアをノックする音が部屋に鳴り響いた。
私は部屋にあった時計を目にすると既にお昼時間が過ぎていたようだ。
くだらないと思いつつも本に気を取られてしまい時間の事をすっかり忘れてしまっていた。
「はい。どうぞ」
「失礼致します。お昼のご用意が出来ました」
「分かったわ。すぐ行きます」
私は手にしていた本をそっと静かに閉じた。
「アレーレ様。お昼のご用意が整いましたのでお迎えにあがりました」
澄ました顔をしながらマロンがそう言って一礼した。
私は席を立ちマロンの前で立ち止まると、ご苦労様、と労いの言葉を掛けた。
マロンの案内で食堂に着くと既にお父様が座って私の事を待っている様子。
お父様は笑顔で私を見ると席に座るように私に声を掛けた。
「書斎で勉強とは感心だな、アレーレよ」
開口一番出たのがこの言葉だった。
勉強と言うより部屋中にあったあの味気ないBL本を読みふけっていただけ、何て言える訳もない私は笑顔で会釈した。
目の前に出されたお料理を見て心の中で『凄いお料理だわ。流石貴族ってことね』と感心してしまった。
「それでは頂こうか」
「はい、お父様」
大きなテーブルに私とお父様の2人だけの食事。
周りには侍女たちが数名立ったまま私たちの食事風景を凝視している。
なんだか人に見られている食事っていうもの落ち着かないものね。
私とお父様は黙ったまま、ただ食器とフォークの重なる音だけが静かに鳴り響いていた。
黙ったままの食事も前世でも当たり前だったけれど、転生してもこの恥ずかしさと言うか虚しさってて言うのは変わらないものなのね、私はそう思いながらスプーンでスープを掬い口元に運んだ。
「ところでアレーレよ。この後時間はあるのか?」
お父様がそう訊ねて来た。
本日の私の行動予定について特に何もないか近くにいた侍女に訊ねた。
すると侍女は手帳のようなものをポケットから取り出し私にこの後の予定がないことを伝えてくれた。
「特に何もないようですわ。お父様」
「おお、そうか。実はこれから国王陛下にご挨拶に行かねばならんのだ。其方の成人祝いのお言葉を頂戴することになってな。だから私と一緒についてきてはくれまいか」
いきなり国王様の御前に行くことになってしまった私は心の中でため息をついてしまった。
まだ転生して2日目の出来事って言うのにいきなり国王様と面会することになるとは……。
私とお父様は食事を済ませよそ行きのドレスに着替えると屋敷の前に止まっていた馬車に乗り込みお城に向かった。
馬車に揺られること数分、お父様に連れられてやって来たのは大きなお城の門の前。
門番が馬車の運転手と何やら話を交わすと再び馬車が動き出した。
私の目の前に現れた光景に私は唖然としてしまった。
流石は一国の王様のお城。
東京ディ〇ニーランドの白〇姫のお城なんか目じゃないわ。
つい庶民的な事を考えてしまう私ってやっぱり貴族の娘としては失格なのかしら、そう自暴自棄になってしまったのだった。
0
お気に入りに追加
857
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?
もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。
王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト
悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
もしもゲーム通りになってたら?
クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが
もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら?
全てがゲーム通りに進んだとしたら?
果たしてヒロインは幸せになれるのか
※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。
※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる