神様の都合で異世界に飛ばされ令嬢にされた挙句、婚約破棄されました。

5-1

キンバリー家の養女となった私。
多くの事が変わっていきました。

まずリンさんから『舞様』と呼ばれるようになったのです。
私がいくらその言い方はやめてほしいと言っても聞き入れてもらえませんでした。
何でも侯爵令嬢としての名を恥じぬよう社交面の勉強もするようにと言われてしまいました。

私の毎日の行動は朝起きたら新しいお父様とお母様との朝食から始まり、リンさんから社交の勉強を丸一日ずっと続けています。

偶に街の様子を見学するという名目で馬車に乗り商店街を見回ることもしました。
一人では外出することも出来ません。
常に使用人かガードマンが私の傍にいるのです。
正直退屈でした。

でもお父様の顔に泥を塗るようなことは消して品てはいけないと思い頑張りました。

あと、神様にもこうなった経緯を話しました。
神様は相変わらず忙しいらしく私の話をちゃんと聞いてはくれませんでした。
あとこっそりですが、神通力の訓練もしています。

また王国で悪人扱いされるのは御免です。
相手の心を普通の時でも読めるようにしておくことで自分を守ることをしようと思ったのです。
最初の時はどうしても心の声が聞き取れなくて苦労しました。
訓練にはリンさんを利用しました。
リンさん、すみません…。


毎日訓練していくとだいぶ慣れてきたのか、心の声が聞き取れるようになりました。
訓練の成果はばっちりです。
リンさんの考えていることが判るようになると自分が次何をしたらいいのかが手に取るようにわかります。
神通力、恐るべきです。

そうして毎日を過ごしていたある日。
お父様が私を王様との接見を命じられました。
まだ王様にはあったことがありませんでした。
接見の日は明後日行くことになりました。
パーティーを開くということになり私はリンさんにさらなる教育を施されました。

「王様の前で恥はかけませんよ。舞様」
「…ええ、分かってます。頑張ります」
「テーブルマナーもしっかり覚えて頂きます。後は社交ダンス、これは必須です。パーティ―には様々な方々がご出席されるとのことです。お相手の殿方とのダンスもあるでしょう。しっかり覚えて頂きますので…」
「わかりました。宜しくお願い致します。リンさん」

中々大変です。
貴族の娘も。

ダンスの練習、テーブルマナー、しゃべり口調、色々勉強して明日私は王様に会いに行きます。
そこで何が話されるのか私は知りません。
お父様には緊張せず今まで通りすればいい、と言われました。
ですが、お父様の心の声が聞こえてきます。

『明日は舞の婚約者を選定する日。大丈夫だろうか…』

こ、婚約者ぁ～！
ついにキンバリー家の跡取り、婿を迎え入れることになりそうなのです。
当日がとても心配です。
何事も無ければいいのですが…頑張ります。