上 下
3 / 34

2-1

しおりを挟む
光に包まれて目を開けると私は大きなベッドの上に座っていました。
お姫様がよく使っているようなベッドです。
お部屋の中も綺麗で大きな鏡があったので近くまで行きました。
鏡の前に立つ私は何時のも私でしたが着ている服は西洋のドレス姿でした。
髪型も変わってないし、顔も変わってません。

「異世界に着いたのかな?」

ふと口から発した言葉。
手に握られていたガラケー携帯を見つめるといきなり着信音が鳴り響きました。

「ふぉふぉふぉ、どうじゃ。異世界を満喫できておるか?」
「爺…神様。今さっきついたんだと思います。此処は異世界なんですか?」
「そうじゃよ。異世界フィールということろじゃ」
「フィール……本当に異世界につ言っちゃったんだ、私……」
「それじゃ、私は仕事が残っておるのでの。また何かあったら連絡するといいぞよ…ではな」

つーつーつー。

電話はぷつりと切れてしまいました。

取り敢えずここはどんな屋敷なのか、見学することにしました。
大きなドアを開けると長い廊下が現れました。
赤いじゅうたんの上を歩きながら周りをちらちら見ながら。
歩いていると大きな扉の前に着きました。
開けてみると、大きな食堂のような場所でした。

「こんな大きな食堂見たことが無い」

私は長テーブルと椅子に手を置いていると大きな声が聞こえてきました。

「舞…舞…! 舞は何処だ?」
「私…のこと…?」

するとバンと勢いよくドアを開けて男性が入ってきました。

「おお!舞。此処にいたのか。探したぞ」
「え……? 何方様」
「何を言っている。私だ。其方のフィアンセだ」

えーー!!私のフィアンセ??
眼の色が青く透き通っていて、鼻筋はしゅっとしている。
髪の毛は金色。
どう見ても外国人、ヨーロッパにいるような紳士な男性が目の前に…!

「どうしたのだ?何かあったのか?今日は私と出掛ける日だろう」
「え…そうなんですか?」
「何をぼさっとしている。さっさと出掛けるぞ」

ええー!マジで…!?
私は心臓バクバク状態でしかも手を握られました。
恥ずかしさで頭の中は真っ白。
それに頬が赤くなっているのが分かりました。

「では行くぞ」
「その前に、貴方は、何方ですか?」
「何?私の名を忘れたというのか?舞よ。私はこの国の皇太子だ。名を知らんと申すのか?」

この国の皇太子?
あ、そう言えば皇太子って国の王様の子供のことだよね。
確か…名は……レイキス……様。
何で知っているんだろう。
でも頭の中でその名前が出てきたのです。
これも神様の力の所為なのでしょうか。

「存じております。レイキス様」
「おお、やっとわかったか。では行くぞ」
「どこに行くんですか?」
「今日は其方と私で国王殿下に挨拶に行くのだ。そう言っていただろう?」
「ええー!そうなんですか!?」
「何を言っているんだ。とにかく時間が迫っている。馬車の中で話をしよう」

そう言って私の手を引っ張り屋敷から出ることになりました。
異世界に来て、フィアンセがいて、私は一体これからどうなるんだろう、不安かありません………。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

二人の男爵令嬢の成り上がり!でも、結末は──

naturalsoft
恋愛
オーラシア大陸の南に姉妹国と呼ばれる二つの国があった。 西側のアネーデス王国 東側のイモート王国 過去にはお互いの王族を嫁がせていた事もあり、お互いにそれぞれの王族の血が受け継がれている。 そして、アネーデス王国で周辺国を驚かすニュースが大陸を駆け抜けた。 その国のとある男爵令嬢が、王太子に見初められ【正しい正規の手続き】を踏んで、王太子妃になったのである。 その出来事から1年後、隣のイモート王国でも、その国の男爵令嬢が【第一王子】の【婚約者】になったと騒がれたのだった。 しかし、それには公衆の面前で元婚約者に婚約破棄を突き付けたりと、【正規の手続きを踏まず】に決行した悪質なやり方であった。 この二人の結末はいかに── タイトルイラスト 素材提供 『背景素材屋さんみにくる』

王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。 メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。 なんかこの王太子おかしい。 婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪『役』令嬢ってなんですの?私は悪『の』令嬢ですわ。悪役の役者と一緒にしないで………ね?

naturalsoft
恋愛
「悪役令嬢である貴様との婚約を破棄させてもらう!」 目の前には私の婚約者だった者が叫んでいる。私は深いため息を付いて、手に持った扇を上げた。 すると、周囲にいた近衛兵達が婚約者殿を組み従えた。 「貴様ら!何をする!?」 地面に押さえ付けられている婚約者殿に言ってやりました。 「貴方に本物の悪の令嬢というものを見せてあげますわ♪」 それはとても素晴らしい笑顔で言ってやりましたとも。

断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!

ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。 気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。

婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。

藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」 婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで← うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。

処理中です...