悪役我儘王女から前世の記憶を取り戻しマジメ王女(JK王女)になった途端周りの男共が急に溺愛してきちゃったんだけど!?

杏仁豆腐

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第六話④

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「くそ…。ここまでとは。ええい、仕方ない。これでも喰らってしまえっ」

 魔族は天空高く上がると両腕を広げ大魔法を詠唱しだした。
 このままでは全員に攻撃があたってしまう。私は後衛のメンバーに防御結界を発動するよう指示を出した。

「前衛の方々、大魔法が来るわ。結界内に一時避難して」
「分かりました」
「了解」

 前衛全員が結界の中へ避難した。
 天空で詠唱している魔族は魔法詠唱が終わったのか両腕を地面に向けた。

「これで終わりだ。大魔法『ヘルフレア』」

 魔族から巨大火球が放たれ、私達へ向かってきた。結界魔法を5重かけているが、かなり危険な状態だ。

「これ、持つのか?」
「大丈夫よ。私を信じなさいっ!」
「分かりました。姉上様」

 ディルの不安を取り除くため口から出まかせを言ってしまった。でもこれ大丈夫?ゲームでこんな魔法あったっけ?
 考えていても仕方がない、やるしかないんだ、私…!

「さらばだ、人間共」

 魔族はそう言い放つ。

 巨大火球は結界魔法とぶつかりだした。

 結界大一層、破れる。第二層、破れる。大火球の勢いは止まらず。更に第三層、何とか踏みとどまるが、破れる。そして第四層に到着した。後がなくなる。私はそう思ったその時、アフロディーテが魔法詠唱を始めた。

「何を詠唱しているん?」
「光聖魔法『オーロラ』を発動します!」

 光聖魔法最大防御魔法『オーロラ』。聖女しか発動出来ない特殊魔法だ。彼女はいつの間に会得したのだろう。
 とにかくこれでしのげるはず。光聖魔法『オーロラ』発動。あたりが虹色のカーテンで覆われた。巨大火球はオーロラのカーテンに包まれ消失した。ここが最大のチャンスだ。私は全員に一斉攻撃を命令した。

「全員で最大攻撃を魔族にぶつけなさいっ」
「「「了解っ!!」」」
「こしゃくな…。お前たちの攻撃なんぞ、防ぎぎってくれるわっ」

 魔族はそういうと障壁を展開した。私達はそれぞれの最大攻撃を魔族に対して放った。

「これでも喰らえっ」
「これで終わりだ」
「くたばれっ!」
「これでおしまいですっ」

 皆の攻撃が魔族に直撃。その威力は魔族にとっても予想外で空から地上に多たち付けられた。私は地面にうずくまっている魔族へ最大魔法を放った。

「これで最後ですわっ。水、風の合体魔法『ハリケーン』発動っ」

 魔法は魔族に直撃した。

「うわぁぁぁぁぁ」

 魔族の悲鳴とともに魔族の身体は粒子となりたい気に散らばった。

「終わった…の、ね…」
「ええ、勝ちました。私たちの勝利です」

 私の言葉にディルはそう答えた。他のメンバーもお互い魔族討伐の喜びで抱き合っていた。これでなんとかこの世界を守ることが出来たわ。案外あっけなかった気もするけど、まぁいいか。

「陛下へ討伐のご報告に戻りましょうか」

 私が皆にそういうと全員その場で力尽いたのか腰を落としてしまった。大きな戦いと緊張からの解放で気が緩んだのだろう。かくいう私も疲れて実は動けないでいるのだ。

「皆、疲れ果てております。少し休憩してから王城へ向かいましょう」
「そうね。そうしましょう」

 ディルの提案を受け入れ、皆でしばし休息したのだった。
 あたりを見回すと、魔族との対戦あとで地面はえぐれ、建物は半壊状態、それに空もなんだか薄暗くなっているようだった。
 明日から平和に過ごせるのだろうか。
 また戦いなんてことにならなければいいのだが。
 
 あ、でも私って冒険者やってみたいって思っているのよね。
 お姫様の身分を隠して冒険者登録に行かなきゃね。

 私はそう思いながら大の字に地面に寝そべって空を見上げたのだった。
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