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第四話③
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「ディルンガル王子!大丈夫ですか!?」
「あ、ああ。大丈夫、私は大丈夫だ、大事ない。それよりぶつかってきた彼女のほうは大丈夫だろうか?怪我などしてはないだろうか?」
帯同していたメイド長(以下デニスと呼ぶ)の声掛けをスルーしてぶつかった女子生徒を気に掛ける弟の姿を見ていた私。
なんて可愛げある優しい弟なの!?
という妄想はいいとして。
凄く立派な男の子になったわね…、えらいわ、我弟よ…。
て…。うん。
…知ってる、これは主人公と攻略対象者との初めての邂逅イベント、だったわね確か。
「君、大丈夫か?ほら、手を」
弟が右手を差し出すと、彼女はその手を取ってゆっくりと立ち上がった。
「申し訳ありません。私の不注意でぶつかってしまって…」
「それはいいんだ。それより怪我はないだろうか?もし怪我をしているのなら保健室まで同行させてもらうが…」
「だ、大丈夫です。お気遣い有難うございます。しかしもうすぐ式が始まりますのでこの辺で失礼いたします」
彼女はそういうと深々と一礼した後、小走りで会場へ向かってしまった。私達は茫然とその後ろ姿を見つめていた。
あれ?このイベントって確か弟が主人公と仲良くなるきっかけだった気がするんだけど。
それにお互い名前をいう場面だったはず。
なんでこんな感じで終わったんだろうか。
それよりゲームで最大の違いはメイド長はゲームでは本来私に帯同するはずだった、のでは??。
しかし今の世界では弟に帯同していることになっている。
また弟は彼女が会場へ行こうとすると一緒に行くと言い出し、姉である私を置き去りにしてたはずだが…。
そして私(悪役王女)はそのことが気に入らないと癇癪して主人公を入学式の後、本人を呼び出して取り巻き達と一緒になって集団で虐める手はずになっていた、これがゲームならの話だ。
しかし現実はそうならないでいる。
これが乙女ゲーム『プリリべ』の世界観と全く違う世界線なのだろうか…。
というかこれが現実だったとしたら私と弟は結ばれちゃったりするんだろうか?
考えたくもない。
可愛い弟だというのは認めるが、結婚、夫??
無理だって。
だから近親相姦反対なんだってっ!!??
心の叫びは虚しさが残るだけということは前世の私が自室でゲーム画面に向かって話してることと同一である。
「ゲームと全然違うじゃない…。どういうこと?」
「え?姉上様?何を言っているのですか?げ、ゲームってなんですか?」
「あ、あ~、き、気にしないで。ひ、独り言よ、独り言…。それより入学式に間に合わなくなるわ。会場へ急ぎましょう」
「はい、姉上様。デニス、すまないが後で先ほどの令嬢の情報を調べておいてくれないか。少し気がかりなことがあるんだ…」
デニスにそうお願いすると彼女は一礼した後姿を消した。帯同しなくていいの?デニス…。一体どこに行くのやら。まるで忍者のような姿消しね。
そういえばゲーム設定では暗部たんとうだったかしら…。
うる覚えであまり覚えていないのだけれど。
現在でもそんなお仕事をしているのかしら…。
入学式は学園長のご挨拶や、ご来賓(高位貴族達)の挨拶が終わり、学園生徒会長の入学の祝辞が終わって式は終了となった。
この後は特に何もなくそれぞれ帰路に就く予定になっていた。
(ゲームのイベントでは)私はこの後アフロディーテを呼び出しいじめをするのだが、呼び出すきっかけを失っていた為(とうよりそもそもそんなことする気もなかったが)何もせず弟と待ち合わせている校門へ向かった。
「姉上様、お疲れ様です。さ、急ぎ城へ戻りましょう。お疲れのお身体を癒さなければいけませんので」
「ええ、ありがとう。それよりディルのほうはもう用事とかはないのかしら?」
「用事、ですか…・特にないですね。デニス、私の事後の何かあったか?」
黙って静香視して隣で帯同していたデニスに質問すると、特にない、とのことだった。やっぱりゲームとは違う世界線になっている、だろうか。
あまりにもゲームとの差が激しいというか、そもそも私が悪役王女でなくなった時点でこの世界はゲームの世界とは違うということを理解しなければならない、そう思った。
とにもかくにも、これで学園入学、そして第一日目は終了したのだった。
「あ、ああ。大丈夫、私は大丈夫だ、大事ない。それよりぶつかってきた彼女のほうは大丈夫だろうか?怪我などしてはないだろうか?」
帯同していたメイド長(以下デニスと呼ぶ)の声掛けをスルーしてぶつかった女子生徒を気に掛ける弟の姿を見ていた私。
なんて可愛げある優しい弟なの!?
という妄想はいいとして。
凄く立派な男の子になったわね…、えらいわ、我弟よ…。
て…。うん。
…知ってる、これは主人公と攻略対象者との初めての邂逅イベント、だったわね確か。
「君、大丈夫か?ほら、手を」
弟が右手を差し出すと、彼女はその手を取ってゆっくりと立ち上がった。
「申し訳ありません。私の不注意でぶつかってしまって…」
「それはいいんだ。それより怪我はないだろうか?もし怪我をしているのなら保健室まで同行させてもらうが…」
「だ、大丈夫です。お気遣い有難うございます。しかしもうすぐ式が始まりますのでこの辺で失礼いたします」
彼女はそういうと深々と一礼した後、小走りで会場へ向かってしまった。私達は茫然とその後ろ姿を見つめていた。
あれ?このイベントって確か弟が主人公と仲良くなるきっかけだった気がするんだけど。
それにお互い名前をいう場面だったはず。
なんでこんな感じで終わったんだろうか。
それよりゲームで最大の違いはメイド長はゲームでは本来私に帯同するはずだった、のでは??。
しかし今の世界では弟に帯同していることになっている。
また弟は彼女が会場へ行こうとすると一緒に行くと言い出し、姉である私を置き去りにしてたはずだが…。
そして私(悪役王女)はそのことが気に入らないと癇癪して主人公を入学式の後、本人を呼び出して取り巻き達と一緒になって集団で虐める手はずになっていた、これがゲームならの話だ。
しかし現実はそうならないでいる。
これが乙女ゲーム『プリリべ』の世界観と全く違う世界線なのだろうか…。
というかこれが現実だったとしたら私と弟は結ばれちゃったりするんだろうか?
考えたくもない。
可愛い弟だというのは認めるが、結婚、夫??
無理だって。
だから近親相姦反対なんだってっ!!??
心の叫びは虚しさが残るだけということは前世の私が自室でゲーム画面に向かって話してることと同一である。
「ゲームと全然違うじゃない…。どういうこと?」
「え?姉上様?何を言っているのですか?げ、ゲームってなんですか?」
「あ、あ~、き、気にしないで。ひ、独り言よ、独り言…。それより入学式に間に合わなくなるわ。会場へ急ぎましょう」
「はい、姉上様。デニス、すまないが後で先ほどの令嬢の情報を調べておいてくれないか。少し気がかりなことがあるんだ…」
デニスにそうお願いすると彼女は一礼した後姿を消した。帯同しなくていいの?デニス…。一体どこに行くのやら。まるで忍者のような姿消しね。
そういえばゲーム設定では暗部たんとうだったかしら…。
うる覚えであまり覚えていないのだけれど。
現在でもそんなお仕事をしているのかしら…。
入学式は学園長のご挨拶や、ご来賓(高位貴族達)の挨拶が終わり、学園生徒会長の入学の祝辞が終わって式は終了となった。
この後は特に何もなくそれぞれ帰路に就く予定になっていた。
(ゲームのイベントでは)私はこの後アフロディーテを呼び出しいじめをするのだが、呼び出すきっかけを失っていた為(とうよりそもそもそんなことする気もなかったが)何もせず弟と待ち合わせている校門へ向かった。
「姉上様、お疲れ様です。さ、急ぎ城へ戻りましょう。お疲れのお身体を癒さなければいけませんので」
「ええ、ありがとう。それよりディルのほうはもう用事とかはないのかしら?」
「用事、ですか…・特にないですね。デニス、私の事後の何かあったか?」
黙って静香視して隣で帯同していたデニスに質問すると、特にない、とのことだった。やっぱりゲームとは違う世界線になっている、だろうか。
あまりにもゲームとの差が激しいというか、そもそも私が悪役王女でなくなった時点でこの世界はゲームの世界とは違うということを理解しなければならない、そう思った。
とにもかくにも、これで学園入学、そして第一日目は終了したのだった。
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