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平穏と実家とエトセトラ
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今週の金曜日が終わり彼はリビングのソファに座りながらテレビを観ていた。
私も彼もお風呂を済ませて私は自室でパソコンと睨めっこ。
何故かというと、この間実家の母から連絡が来て一度戻ってくるように言われてしまったのだ。
当然彼にはこのことを言わないといけない。
でもその前に新幹線の予約などを済ませてお金も払わないと彼が気を使って私にお金を渡しかねない。
「……よし。これで予約と送金完了っと……さて、行くか……」
静かにパソコンの画面を閉じて椅子から立ち上がると部屋のドアノブに手を掛けた。
ゆっくりドアを開けて彼の居る所へ向かう。
「あの、涼太さん。お話が、あります」
彼が私の方に目をやると不思議な表情で見つめる。
私は彼の横にちょこんと座って俯いたまま話を始めた。
「あの、ですね。実は、この間、母から連絡があったのです。それで一度福岡に戻って来いって。ですから来週の月曜日に3日間家を空けます。それだけ、です」
「そうなのですか。それは急ですね。う~ん……あ、そうだ。僕も一緒に行って良いですか? 一度ご挨拶をしないといけませし。」
「え……? で、でも平日、ですよ?」
「来週であれば問題ないです。丁度福岡のお客様と会いに行けますし。仕事の一環として。出張扱いにすれば問題ないです」
そういう意味で言ったんじゃねーよ。
なんで一緒についてくるんだよ。
空気読めよ、空気を……。
「そう、なんですね……ははは」
「茜さん? いいですか? 僕もついて行って」
嫌だ……とは言えないでしょーよ。
もう……あ、そうしたらあれ訊いてやるっ!!
「分かりました。だけど条件があります」
「また、ですか?」
「はい。また、です」
「何でしょうか、今度の条件とは」
ふふふ、童貞め……今度こそお前の偽りの仮面を剥がしてやるんだから……。
「私のこと、どう思ってますか?」
「え……? どう、とは?」
「どう、は、どう、と言うことです。どうなんですか?」
彼は私の質問の意味が分かっていないのか、顎に手を当てて黙り込んでしまった。
頭いいんでしょーに。それくらい分かりなさいよっ!!
何んで分かんないのよ。
分かるでしょーよ。
マジで分かんない、んなことないわよね?
あり得ない……、童貞だからってこれくらいの事ちゃんと理解してよねっ!
「あの、もしかして『好きかどうか』と言うことですか?」
「……そう、なりますね……」
「好きです」
「はい……?」
「いえ、だから、好きです。茜さん」
「即答ですね。涼太さん」
「勿論です。愛してます。茜さん」
「薄っぺらく聞こえます。涼太さん」
「事実です。茜さん」
「分かりました。涼太さん」
この糞童貞めぇぇぇえ、なんなんだぁぁぁぁぁ!
こいつの思考回路、どうなってやがるんだぁぁぁ!
マジいかれてる……マジ最低……でも……嬉しい……ぽっ……。
って私完全にこいつに惚れこんでんじゃんっ!
心臓バクバクいってるし、顔は熱いし、口元が自然と緩みまくるしぃぃ!
何だか悔しい。
何だか犯されてるみたいに感じちゃってる。
なんだ、これ?
私はどうしてこうなっちゃった??
私も彼もお風呂を済ませて私は自室でパソコンと睨めっこ。
何故かというと、この間実家の母から連絡が来て一度戻ってくるように言われてしまったのだ。
当然彼にはこのことを言わないといけない。
でもその前に新幹線の予約などを済ませてお金も払わないと彼が気を使って私にお金を渡しかねない。
「……よし。これで予約と送金完了っと……さて、行くか……」
静かにパソコンの画面を閉じて椅子から立ち上がると部屋のドアノブに手を掛けた。
ゆっくりドアを開けて彼の居る所へ向かう。
「あの、涼太さん。お話が、あります」
彼が私の方に目をやると不思議な表情で見つめる。
私は彼の横にちょこんと座って俯いたまま話を始めた。
「あの、ですね。実は、この間、母から連絡があったのです。それで一度福岡に戻って来いって。ですから来週の月曜日に3日間家を空けます。それだけ、です」
「そうなのですか。それは急ですね。う~ん……あ、そうだ。僕も一緒に行って良いですか? 一度ご挨拶をしないといけませし。」
「え……? で、でも平日、ですよ?」
「来週であれば問題ないです。丁度福岡のお客様と会いに行けますし。仕事の一環として。出張扱いにすれば問題ないです」
そういう意味で言ったんじゃねーよ。
なんで一緒についてくるんだよ。
空気読めよ、空気を……。
「そう、なんですね……ははは」
「茜さん? いいですか? 僕もついて行って」
嫌だ……とは言えないでしょーよ。
もう……あ、そうしたらあれ訊いてやるっ!!
「分かりました。だけど条件があります」
「また、ですか?」
「はい。また、です」
「何でしょうか、今度の条件とは」
ふふふ、童貞め……今度こそお前の偽りの仮面を剥がしてやるんだから……。
「私のこと、どう思ってますか?」
「え……? どう、とは?」
「どう、は、どう、と言うことです。どうなんですか?」
彼は私の質問の意味が分かっていないのか、顎に手を当てて黙り込んでしまった。
頭いいんでしょーに。それくらい分かりなさいよっ!!
何んで分かんないのよ。
分かるでしょーよ。
マジで分かんない、んなことないわよね?
あり得ない……、童貞だからってこれくらいの事ちゃんと理解してよねっ!
「あの、もしかして『好きかどうか』と言うことですか?」
「……そう、なりますね……」
「好きです」
「はい……?」
「いえ、だから、好きです。茜さん」
「即答ですね。涼太さん」
「勿論です。愛してます。茜さん」
「薄っぺらく聞こえます。涼太さん」
「事実です。茜さん」
「分かりました。涼太さん」
この糞童貞めぇぇぇえ、なんなんだぁぁぁぁぁ!
こいつの思考回路、どうなってやがるんだぁぁぁ!
マジいかれてる……マジ最低……でも……嬉しい……ぽっ……。
って私完全にこいつに惚れこんでんじゃんっ!
心臓バクバクいってるし、顔は熱いし、口元が自然と緩みまくるしぃぃ!
何だか悔しい。
何だか犯されてるみたいに感じちゃってる。
なんだ、これ?
私はどうしてこうなっちゃった??
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