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第5章 帰還
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森の中の洞窟の中に入るルク。
ゆっくりと下降してルクの足が地面に到着した。
私はルクの背中から手のひらに乗り移りそのまま地面に足を付けた。
ルクは再び光を放ちどんどん小さくなって人間の姿に変身した。
「ここは……其方と初めて会った場所…だな」
そう、この洞窟で私はルクと出会った。
目を開けると大きなドラゴンが居て驚いたことがついこの間のように思える。
私はあたりを見回したが何も変わった様子はなかった。
「では、参るか」
「はい。帝国のお城はこの先で御座います」
私はルクを先導する形で前に歩きルクは私の後ろを歩いていた。
まだお昼を少し過ぎた時間。
飛んでいた時間は数時間しか経っていなかった。
確かにドランゴンとなって空を飛べば一瞬にして目的地に到着してしまうんだ、私はそう思いながら前を歩いていた。
帝国の城下町に到着した私たちはそのまま馬車でお城へ向かうことにした。
城下の街並み、凄く懐かしく感じた。
国を追放されてからまだ2か月も経ってないというのになんだか懐かしい感じがする。
「エリーザ。ここは凄くいい街並みだな。全て計算された街に見える」
ルクは窓の外を見つめながらそう言った。
この城下町は技師たちに作らせた要塞を兼ねて作られている。
もし敵陣が攻めて来ても直ぐに城には辿り着けないようわざと入りくんだ道をつくっているのだ。
城下町の大門からお城までの道のりは複雑且つ時間が掛かる。
馬車を使っても2時間程度かかってしまう。
歩きとなればもっと時間が掛かるよう設計されていた。
「そうですね。この街は作られた街です。一件見た目は美しく見えても、軍隊が押し寄せてきても時間稼ぎが出来るよう設計されているのです」
「なるほどな。だから家々がこんなにも複雑に入り組んでいるのか。作られた要塞。なるほど、納得がいく」
ルクは両腕を組みながら感心した様子でそう言った。
私は馬車に揺られながら国王である父とその王太子である兄にどのような顔であったらいいのだろうと不安で一杯だった。
馬車は私の体感時間よりも早くお城に到着した。
「では、私は此処で待つことにしよう。ドラゴンの王子が行き成り国王と接見するのは危険だからな。私には此処に来る理由もない。エリーザ、もし何かあればこれを強く握りしめるのだ」
ルクはそう言って私に小さな小石のようなものを渡した。綺麗な緑色をした小石。これを握りしめると光を放ち始めた。
「そうだ、そのように強く握りしめると光が放たれる。私はそれを目印に飛んで行ける。いいか、危なくなったらそうするのだぞ」
「はい…ルク様。行って参ります」
馬車を降りて私はルクに一礼するとルクは笑顔で手を振った。
私は門番の所へ行くと兵たちが数名私を取り囲むようにお城の中へ私を案内する。
私は先導されるままお城の中へ入って行った。
お父様と、お兄様の待つ王の間へ。
ゆっくりと下降してルクの足が地面に到着した。
私はルクの背中から手のひらに乗り移りそのまま地面に足を付けた。
ルクは再び光を放ちどんどん小さくなって人間の姿に変身した。
「ここは……其方と初めて会った場所…だな」
そう、この洞窟で私はルクと出会った。
目を開けると大きなドラゴンが居て驚いたことがついこの間のように思える。
私はあたりを見回したが何も変わった様子はなかった。
「では、参るか」
「はい。帝国のお城はこの先で御座います」
私はルクを先導する形で前に歩きルクは私の後ろを歩いていた。
まだお昼を少し過ぎた時間。
飛んでいた時間は数時間しか経っていなかった。
確かにドランゴンとなって空を飛べば一瞬にして目的地に到着してしまうんだ、私はそう思いながら前を歩いていた。
帝国の城下町に到着した私たちはそのまま馬車でお城へ向かうことにした。
城下の街並み、凄く懐かしく感じた。
国を追放されてからまだ2か月も経ってないというのになんだか懐かしい感じがする。
「エリーザ。ここは凄くいい街並みだな。全て計算された街に見える」
ルクは窓の外を見つめながらそう言った。
この城下町は技師たちに作らせた要塞を兼ねて作られている。
もし敵陣が攻めて来ても直ぐに城には辿り着けないようわざと入りくんだ道をつくっているのだ。
城下町の大門からお城までの道のりは複雑且つ時間が掛かる。
馬車を使っても2時間程度かかってしまう。
歩きとなればもっと時間が掛かるよう設計されていた。
「そうですね。この街は作られた街です。一件見た目は美しく見えても、軍隊が押し寄せてきても時間稼ぎが出来るよう設計されているのです」
「なるほどな。だから家々がこんなにも複雑に入り組んでいるのか。作られた要塞。なるほど、納得がいく」
ルクは両腕を組みながら感心した様子でそう言った。
私は馬車に揺られながら国王である父とその王太子である兄にどのような顔であったらいいのだろうと不安で一杯だった。
馬車は私の体感時間よりも早くお城に到着した。
「では、私は此処で待つことにしよう。ドラゴンの王子が行き成り国王と接見するのは危険だからな。私には此処に来る理由もない。エリーザ、もし何かあればこれを強く握りしめるのだ」
ルクはそう言って私に小さな小石のようなものを渡した。綺麗な緑色をした小石。これを握りしめると光を放ち始めた。
「そうだ、そのように強く握りしめると光が放たれる。私はそれを目印に飛んで行ける。いいか、危なくなったらそうするのだぞ」
「はい…ルク様。行って参ります」
馬車を降りて私はルクに一礼するとルクは笑顔で手を振った。
私は門番の所へ行くと兵たちが数名私を取り囲むようにお城の中へ私を案内する。
私は先導されるままお城の中へ入って行った。
お父様と、お兄様の待つ王の間へ。
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