上 下
16 / 16

16 生徒会共

しおりを挟む
長いテーブルが部屋の真ん中に置かれその奥に会長のマライヤ・シャルルが椅子に座っていた。
私はその向かいの席に腰かけるようにフローラに言われて椅子に座った。
マライヤ座る席の両サイドに副会長アルフォンス(男)、風紀委員長オーバン(男)、そして書記フローラ・リンジーがそれぞれ腰かけている。
何とも異様な雰囲気を醸し出している。
男女2名ずつに囲まれるように私の目の前に生徒会役員共が集まっているのだから。


「それで、わたくしに何の用事ですの?」


口火を切ったのは私だった。
このままじゃ埒が明かない。
前世の時なんかはこんな状況になることさえなかったことだがこの世界ではこういうのは貴族としてごく普通の事なのかもしれない。
ただ紅茶を飲んでいるだけ……。
ただそれだけなのに異様な雰囲気にのまれてしまいそうになる。


「ただのお茶会ですわ。今日は貴女と争うつもりはありません。よい茶葉が入ったのでお誘いしたまでですわ」


会長のマライヤがそう言ってカップに口を付けお茶を啜った。  
他の役員たちも続いてお茶を啜る。私は目の前に出されたカップを手にしてお茶を啜る。
確かにおいしいお茶の味。
口の中にいっぱいに広がる濃く深い味がした。
私はカップをおいて深く息を吸ってはいた。そして話し出した。


「今日はこれだけの為にわたくしを?」
「ええ。ただ最近の動向を見ていると貴女の事が少々分からなくなったので、それもついでにお聞きしたいと思いましたの。ねぇ、アルフォンス」
「はい。会長。クラーラさんの最近の動向につきましては―――――」


何か資料を取り出してそれを朗読し始めた。
報告書だろうか。
私の事について話している。
最近の私の行動、それはごく普通の生徒と変わらないものだった。
昔…前の私の悪役非道な行動は見受けられないという報告だった。
それはそうだろう、私はその行動をしないように気を付けてここ数日間過ごしているのだがら。


「と、言うわけで御座います。会長」


アルフォンスが報告を終えると会長が話し出した。


「貴女の行動は極普通の学生と変わらない事が分かりました。改心されたのですか?」
「ええ。わたくしは以前のような振る舞いは致しません」
「それは賢明なご判断ですわ」
「わたくしはそろそろ……」
「あら、そうですの? 折角もっとお話をしたかったのですが……お忙しいのですね。お送りいたしますわ。オーバン、お願いできますか?」
「御意」


オーバンはそう言われると立ち上がり会長に一礼して席を離れると私の横で立ち止まった。
私は席を立ち一礼するとオーバンに案内されるように部屋を後にした。
何だかよく分からない集まりだったな。
つるし上げに似合うかと思ったけど……。


「この先、生徒会は貴方の事をずっと見ていますからね……」


オーバンはそう言って私の元から姿を消した。
その言葉は不気味な一言だった。




しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

nattsu
2017.06.21 nattsu

16話の最後の方、
釣り仕上げ似合うかと~とありますが、
吊るし上げに合うかと~じゃないでしょうか。

続き楽しみにしてます。

杏仁豆腐
2017.06.21 杏仁豆腐

nattsu様
ご指摘有難う御座います。
訂正して更新しました。
続きを楽しみにしてくれて有難う御座います。
宜しくお願い致しいます。

解除
森羅由紀
2017.06.08 森羅由紀

あ、先ほどの誤字は14話のものです。

解除
森羅由紀
2017.06.08 森羅由紀

多分一番最後の征服が制服になってます。

杏仁豆腐
2017.06.21 杏仁豆腐

森羅由紀様
ご指摘有難う御座います。
訂正して修正しました。

解除

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。

藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」 婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで← うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。

悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい

砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。 風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。 イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。 一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。 強欲悪役令嬢ストーリー(笑) 二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。

【完結】転生悪役令嬢は婚約破棄を合図にヤンデレの嵐に見舞われる

syarin
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢として転生してしまい、色々足掻くも虚しく卒業パーティーで婚約破棄を宣言されてしまったマリアクリスティナ・シルバーレーク伯爵令嬢。 原作では修道院送りだが、足掻いたせいで色々拗れてしまって……。 初投稿です。 取り敢えず書いてみたものが思ったより長く、書き上がらないので、早く投稿してみたくて、短編ギャグを勢いで書いたハズなのに、何だか長く重くなってしまいました。 話は終わりまで執筆済みで、雑事の合間に改行など整えて投稿してます。 ギャグでも無くなったし、重いもの好きには物足りないかもしれませんが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。 ざまぁを書きたかったんですが、何だか断罪した方より主人公の方がざまぁされてるかもしれません。

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

めんどくさいが口ぐせになった令嬢らしからぬわたくしを、いいかげん婚約破棄してくださいませ。

hoo
恋愛
 ほぅ……(溜息)  前世で夢中になってプレイしておりました乙ゲーの中で、わたくしは男爵の娘に婚約者である皇太子さまを奪われそうになって、あらゆる手を使って彼女を虐め抜く悪役令嬢でございました。     ですのに、どういうことでございましょう。  現実の世…と申していいのかわかりませぬが、この世におきましては、皇太子さまにそのような恋人は未だに全く存在していないのでございます。    皇太子さまも乙ゲーの彼と違って、わたくしに大変にお優しいですし、第一わたくし、皇太子さまに恋人ができましても、その方を虐め抜いたりするような下品な品性など持ち合わせてはおりませんの。潔く身を引かせていただくだけでございますわ。    ですけど、もし本当にあの乙ゲーのようなエンディングがあるのでしたら、わたくしそれを切に望んでしまうのです。婚約破棄されてしまえば、わたくしは晴れて自由の身なのですもの。もうこれまで辿ってきた帝王教育三昧の辛いイバラの道ともおさらばになるのですわ。ああなんて素晴らしき第二の人生となりますことでしょう。    ですから、わたくし決めました。あの乙ゲーをこの世界で実現すると。    そうです。いまヒロインが不在なら、わたくしが用意してしまえばよろしいのですわ。そして皇太子さまと恋仲になっていただいて、わたくしは彼女にお茶などをちょっとひっかけて差し上げたりすればいいのですよね。    さあ始めますわよ。    婚約破棄をめざして、人生最後のイバラの道行きを。       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆     ヒロインサイドストーリー始めました  『めんどくさいが口ぐせになった公爵令嬢とお友達になりたいんですが。』  ↑ 統合しました

執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~

犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…

断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!

ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。 気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。