15 / 21
被災者
しおりを挟む
東日本大震災が起こり、原発が爆発した。
それからしばらくして放射能の問題が様々なところで発信されるようになった。
私たち原発被災者はあっと言う間に「ばい菌扱い」となった。
私の愛する故郷ももちろん「ばい菌を蒔き散らかす場所」とされた。
車のナンバーでその土地から避難して来た者だとわかると、ホテルも、貸し駐車場も、コンビニやファミレスですらも断られる始末だと聞いた。
私も、祖母も、母も、たくさんの病院での診察を断られた。
「放射能がうつるから近づくな」と県外に避難した家族の子供が転校先の学校で虐められ、結局は福島に戻ってくると言うケースも良くあった。
「どうせ福島にいれば皆、同じだから」と。
でも、全然同じではなかった。
私たちのように、「原発付近に住んでいた者」と、そうじゃない人々の心には越えられない溝があった。
それは今でも完全には埋まっていないと正直感じる。
仕方ない。
そういうものだから。
人の心と言うのはそういう風に出来ているのかもしれない。
どちらもだ。
「どうせ私たちの気持ちなんてわからないでしょう」と言う気持ち、でちらも、なのだ。
「原発が近かったんだから補助してもらえることが多くていいよね」と言う気持ち。
「そんなものはいらないから、家もまだ、なんとか戻れる土地であって欲しかった」と言う気持ち。
それからしばらくして放射能の問題が様々なところで発信されるようになった。
私たち原発被災者はあっと言う間に「ばい菌扱い」となった。
私の愛する故郷ももちろん「ばい菌を蒔き散らかす場所」とされた。
車のナンバーでその土地から避難して来た者だとわかると、ホテルも、貸し駐車場も、コンビニやファミレスですらも断られる始末だと聞いた。
私も、祖母も、母も、たくさんの病院での診察を断られた。
「放射能がうつるから近づくな」と県外に避難した家族の子供が転校先の学校で虐められ、結局は福島に戻ってくると言うケースも良くあった。
「どうせ福島にいれば皆、同じだから」と。
でも、全然同じではなかった。
私たちのように、「原発付近に住んでいた者」と、そうじゃない人々の心には越えられない溝があった。
それは今でも完全には埋まっていないと正直感じる。
仕方ない。
そういうものだから。
人の心と言うのはそういう風に出来ているのかもしれない。
どちらもだ。
「どうせ私たちの気持ちなんてわからないでしょう」と言う気持ち、でちらも、なのだ。
「原発が近かったんだから補助してもらえることが多くていいよね」と言う気持ち。
「そんなものはいらないから、家もまだ、なんとか戻れる土地であって欲しかった」と言う気持ち。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
目覚めぬ悪夢:性感染症の罠
卍ェリーナジョリー
エッセイ・ノンフィクション
28歳の広告ディレクター、エリカは、都会で孤独を感じながらも魅力的な男性カズキと出会い、彼との関係にのめり込む。しかし、体に異変が現れ、性感染症にかかっていることが発覚。梅毒に感染したエリカは、カズキとの関係に苦しみながらも、自分の人生を見つめ直し、再生の道を歩み始める。性感染症の恐怖と向き合い、彼女がたどる成長と自己再生の物語。
もう会えないの
うた子
エッセイ・ノンフィクション
2011年3月11日、東日本大震災により、福島第一原子力発電所は事故を起こした。
私は、その原発事故のあった町に住んでいた。
事故により、放射能を巻き散らかすこととなった原発から逃れる為、着の身着のまま避難を余儀なくされた。
その当時、家では、二匹の犬を飼っていた。
すぐに帰って来ることが出来るから。
だから大丈夫。
少しの間だけ、待っていてね。
しかし、その約束は果たされることはなかった。
私たちは、すぐにその家へ、故郷へ戻ることは許されなかった。
何週間も、何カ月も、その土地に入ることは出来なかった。
自宅に帰ることすら、許可が必要になった。
真っ白な防護服とマスク、手袋、そして靴を包み込むビニール袋を身につけて。
その時、私が見たものは。
腐女子看護師の日常
とっぽ
エッセイ・ノンフィクション
看護師……それは白衣の天使。人々の癒やしであり、人々の苦痛を取り除き、日々笑顔を絶やさず聖母のごとき博愛精神で人々を包み込む清らかな職業。
一方、腐女子……それは腐臭漂う末期のヲタク。BがLしてれば人生ハッピー。火のないところに煙を立たせてなんぼな火起こし職人。
これは、腐女子兼看護師な主人公・とっぽが、日々襲い来るキラキラ同僚との会話やリアル社会への適応に苦しみながらも、必死に現代を生きていく、希望と愛の物語である───。(クソッ、夜勤だ!深夜アニメがリアタイできねぇ!)
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
平成元年カナダ・バンクーバー行き
イマガーDC
エッセイ・ノンフィクション
前書き その2 “福岡国際空港”
昨日から平成元年にタイムスリップしている。この時は昭和天皇崩御でとにかくえらい騒ぎだった。自粛ムードの真っ最中、名だたるテレビ番組は退屈で、僕もレンタルビデオ屋に走った。人気の作品は貸し出し中の札ばかりで、中に見つけた“ウエルター”という邦画(もう、この言い方も古いのかな)を借りて楽しむ。案外面白かった。実はカナダに行くまでにセルフディフェンスというか、何か格闘技を経験した方が良いだろうと小倉高橋ボクシングジムに通った。自分のペースでトレーニングが進められ、学生時代のような集団練習でないところに惹かれてボクシングを楽しんだ。その経験もあったせいか、現役のプロボクサーが演じた役はリアリティにあふれ興奮した。
さて、僕はというとカナダはおろか外国に出たこともなく航空券を買うのも大学を出た友人に頼った。わざわざ福岡市の生協関連の旅行代理店を紹介してもらい大韓航空の1番安いチケットを買ったのだった。今思えば小倉でも買えたのだろうが、高速バスで行った博多は随分都会に感じられた。その時にワーキングホリディの説明会に参加した気がする。そこから、週刊プロレスに宣伝が載っていたバッシュ=Troopのコブラという靴を買う。生活したバンクーバーではスケボー少年たちからよく履いているバッシュの銘柄を聞かれた。結果、それから5年ほどを履いてボロボロになってから捨てた。
福岡空港へは両親に送ってもらう。航空機に乗り込んでからも両親の姿が見えた。分からないとは思ったがMA-1を裏返してオレンジの色を窓に押し付けてここにいる事を示した。1年後に帰国して聞いたが全く覚えていない、との事で可愛がっていた犬にも死ぬほど吠えられた。こいつ(モモ)も僕も覚えていなかった。僕は少し泣いた。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる