37 / 52
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
37 労せずに牢の方へ参ろうか?
しおりを挟む
俺がエスフェリアの元に戻ると、彼女はなにやら書状をしたためていた。
そして近くに控えていた侍女のアグレスが俺に状況を説明する。
まず宮廷魔術師サイアグが帝都の人間を避難させるよう提案し、それが受け入れられたようだ。
エスフェリアの知っているパターンには存在しないことらしい。
いつもだと帝都の人間は、ほとんどがアストレイアの魔法によって皆殺しにされるという。
アストレイアの対人魔法は恐ろしく強力かつロングレンジな精神魔法で、その影響下に入った人間は発狂して死ぬという。
魔法抵抗を持つ装備で多少は時間が稼げるらしいのだが、それほど長くは保たないようだ。
そして数が少ない。
アグレスはミサンガのようなものを入れに差し出す。
どうやらそれが魔法抵抗アイテムらしい。
「いや、俺はいらない。
たぶん必要ないと思う。
俺には回復魔法がまともに効かなかったらしいから、アストレイアの魔法の影響も受けない可能性が高い。
それはアグレスが付けておいてくれ。」
「アグレス、受け取っておきなさい。
確かに言われてみれば、ギスケが精神魔法の影響を受けていたことは一度もありませんでした。
精神が強靱だからだと思っていたのですが、なるほど、そもそも魔法の影響を受けていなかったのですね。」
エスフェリアが納得した表情をする。
もしかして俺は、パターンの中でアストレイアの魔法を食らったことがあるのか?
準備は着々と進んでいる。
エルシアも先の事情ですでに帝都を出発している。
エスフェリアの味方となる人物は後から集結出来るように、上手く仕込みを入れているようだ。
さらに第二皇子ベルグレストがバリアムード公爵領へ早々に避難したらしい。
動きが早いな、おい。
どのパターンでも第二皇子は速攻で避難して生き残るらしい。
ゴキディンの続報もある。
奴は取り調べで無実を訴え、証拠を突きつけられても、陰謀だ嵌められたなどと供述しているらしい。
二進も三進もいかない状況だったのだが、魔族の侵攻して来たことによりそれどころでは無くなった。
結果として裁判無しでブリューンベルド監獄というところに送られることになったようだ。
哀れゴキディン。
そんな話を一通りアグレスから聞いたところで、エスフェリアの作業が終了したようだ。
書状をアグレスに渡す。
そしてアグレスはそれを持って部屋を出て行った。
「さて、これから忙しくなります。」
「ああ、分かってる。
で、次は何をすればいいんだ?」
「とりあえず私たちはこれから、以前ギスケが入っていた牢に閉じ込められます。
何があっても抵抗しないでください。」
「・・・。
第二皇子派の仕業か?」
「はい。
ですが、大した障害ではありませんので大丈夫です。」
そんな話をエスフェリアとしていると、ドアをノックする音が聞こえる。
エスフェリアが入室の許可を出す。
するとあからさまに貴族臭のする中年の男が立っていた。
「失礼いたします、エスフェリア殿下。
皇帝陛下から、殿下を安全な場所へ移すように仰せつかりました。
緊急のこと故、なにとぞご容赦を。」
「分かりました。
ギスケも連れて行きますが、よろしいですね?」
「はい、こちらへ。」
中年男に連れられ、俺とエスフェリアは部屋の外へ出た。
部屋の外には兵士が四人ほどいた。
兵士達は俺たちを取り囲むように配置につく。
「護衛でございます。
お気になさらず。」
中年男の貴族が言う。
意図は見え見えだが、黙ってついて行くことにした。
そして俺たちは、五つ星ホテルの方へ連れて行かれる。
懐かしいな、顔すら知らぬ先輩達は元気だろうか?
そして近くに控えていた侍女のアグレスが俺に状況を説明する。
まず宮廷魔術師サイアグが帝都の人間を避難させるよう提案し、それが受け入れられたようだ。
エスフェリアの知っているパターンには存在しないことらしい。
いつもだと帝都の人間は、ほとんどがアストレイアの魔法によって皆殺しにされるという。
アストレイアの対人魔法は恐ろしく強力かつロングレンジな精神魔法で、その影響下に入った人間は発狂して死ぬという。
魔法抵抗を持つ装備で多少は時間が稼げるらしいのだが、それほど長くは保たないようだ。
そして数が少ない。
アグレスはミサンガのようなものを入れに差し出す。
どうやらそれが魔法抵抗アイテムらしい。
「いや、俺はいらない。
たぶん必要ないと思う。
俺には回復魔法がまともに効かなかったらしいから、アストレイアの魔法の影響も受けない可能性が高い。
それはアグレスが付けておいてくれ。」
「アグレス、受け取っておきなさい。
確かに言われてみれば、ギスケが精神魔法の影響を受けていたことは一度もありませんでした。
精神が強靱だからだと思っていたのですが、なるほど、そもそも魔法の影響を受けていなかったのですね。」
エスフェリアが納得した表情をする。
もしかして俺は、パターンの中でアストレイアの魔法を食らったことがあるのか?
準備は着々と進んでいる。
エルシアも先の事情ですでに帝都を出発している。
エスフェリアの味方となる人物は後から集結出来るように、上手く仕込みを入れているようだ。
さらに第二皇子ベルグレストがバリアムード公爵領へ早々に避難したらしい。
動きが早いな、おい。
どのパターンでも第二皇子は速攻で避難して生き残るらしい。
ゴキディンの続報もある。
奴は取り調べで無実を訴え、証拠を突きつけられても、陰謀だ嵌められたなどと供述しているらしい。
二進も三進もいかない状況だったのだが、魔族の侵攻して来たことによりそれどころでは無くなった。
結果として裁判無しでブリューンベルド監獄というところに送られることになったようだ。
哀れゴキディン。
そんな話を一通りアグレスから聞いたところで、エスフェリアの作業が終了したようだ。
書状をアグレスに渡す。
そしてアグレスはそれを持って部屋を出て行った。
「さて、これから忙しくなります。」
「ああ、分かってる。
で、次は何をすればいいんだ?」
「とりあえず私たちはこれから、以前ギスケが入っていた牢に閉じ込められます。
何があっても抵抗しないでください。」
「・・・。
第二皇子派の仕業か?」
「はい。
ですが、大した障害ではありませんので大丈夫です。」
そんな話をエスフェリアとしていると、ドアをノックする音が聞こえる。
エスフェリアが入室の許可を出す。
するとあからさまに貴族臭のする中年の男が立っていた。
「失礼いたします、エスフェリア殿下。
皇帝陛下から、殿下を安全な場所へ移すように仰せつかりました。
緊急のこと故、なにとぞご容赦を。」
「分かりました。
ギスケも連れて行きますが、よろしいですね?」
「はい、こちらへ。」
中年男に連れられ、俺とエスフェリアは部屋の外へ出た。
部屋の外には兵士が四人ほどいた。
兵士達は俺たちを取り囲むように配置につく。
「護衛でございます。
お気になさらず。」
中年男の貴族が言う。
意図は見え見えだが、黙ってついて行くことにした。
そして俺たちは、五つ星ホテルの方へ連れて行かれる。
懐かしいな、顔すら知らぬ先輩達は元気だろうか?
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる