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一章 チュートリアルな第一層
14 僕の方へ向いている、ムキムキ筋肉の向き
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4日目の朝。僕は武器屋へ向かった。いつも通りムキムキ親父が出迎える。
「おう、まだ無事みたいだな。今日は何が欲しい?」
おそらくこの武器屋には、沢山の客が来ているはず。コミュ障からの意見としては、いちいち顔を覚えないで欲しいなあと思う。しかしもう手遅れだ。いっそ仮面でも買おうかな・・・。
「すみません、今日はちょっと教えて欲しいことが。金属片とか木材片が欲しいですが。」
「金属片?鍛冶スキルでも鍛えるのか?まあいい。」
親父はそういった素材が手に入る場所を教えてくれた。街外れにそういった細かい物が売られている場所があるらしい。僕はドモりながら、お礼を言って店を出た。
街外れに行くと親父が言っていたように、ジャンクパーツのようなもの売られている露店がいくつかあった。20世紀の秋葉原みたいな雰囲気だ。僕はキョロキョロしながら目的の物を探す。金属パーツは量り売りのようだ。欲しいのは細長くて、出来れば先が鋭い物だ。皿に必要な物を載せて店主に渡すと、天秤で重さを量った。店主の言葉は値段をぼそっと言うだけだ。この雰囲気この無駄のなさ、僕は好きだ。
木材片も探す。ゴミ置き場のような所にあった。ご自由にお持ちくださいと書いてある。どうやらタダのようだ。さらに中古工具も購入する。かなり汚れてはいるけれど、十分に使える。こうして欲しいものは一通り揃った。
僕は用水路の周囲にある微妙な空間へ移動した。ここは人通りが無く落ち着く。そして工作を開始する。大した小物では無い。ひたすら木片に金属片を埋め込むだけだ。鋭さが足りない物はヤスリで削る。出来た物を魔法の袋に放り込む。よし、作業完了だ。
僕はダンジョンへ突入する。ソルトシールに来てから、全く朝食をとっていないような気がするけれど、まあいいや。そしてダンジョンを痴呆さながらに徘徊しながら獲物を探す。いた、コボルト5匹。
僕は投石でコボルトAに先制攻撃をする。命中、胸部にめり込む。この投石というのは侮ってはいけない。布を振り回すことによって生じた遠心力によるブーストは、石の破壊力を何倍も強化する。ファンタジー世界で石を投げている人はほとんど出てこない。しかし銃器が登場する前の戦争の主役は投石と弓矢だ。創作物でほとんど出てこないのは・・・たぶん格好悪からだろう。
残りのコボルト4匹が僕に突撃してくる。僕は木片と金属片で作った撒菱(まきびし)をバラバラっと放る。コボルトB、C、Dが撒菱を踏んづける。「ギョハァ」という奇妙な悲鳴を上げ転倒していく4匹。コボルトEだけは迂回している。僕はコボルトEに投石をする。サイドステップで躱すコボルトE。僕は武器を槍に持ち替えて接近戦に備える。しかしコボルトEは近づいてこない。警戒しているんだろうか。
木の棒を掲げるコボルトE。その体がうっすらと輝いている気がする。そして次の瞬間、飛んでくる火の玉。「ウワワ」必死に避ける。火の玉は僕の肩を掠(かす)める。頬にチリチリという熱を感じる。もしかして・・・ヤバい1匹は「コボルトメイジ?」だ。僕は再び投石に切り替え石を打ち出す。見事に避けられていく。こうしている間に、他のコボルト達が、足に刺さった撒菱を引き抜いて立ち上がる。
コボルトメイジは再び魔法の体勢に入る。僕は決死の突撃をする。コボルトメイジの前に炎の玉が浮かび上がる。僕はそれを無視し、槍を構えたまま突っ込む。サクっという微妙な感覚。胸を貫通、コボルトメイジは絶命したはずだ。僕は残りの4匹の殲滅に入る。
他の4匹は起き上がってはいた物の、裸足に突き刺さった金属片の効果は絶大だった。痛みで素早い動きが出来ない。僕は槍で1匹、また1匹と始末していった。想定外の出来事があったけれど、何とか勝利した。地味すぎるけれど撒菱は使える。
拾得品
コボルトメイジの核 × 1
コボルトの核 × 4
コボルトの爪 × 2
コボルトメイジの角 × 1
魔法石(小) × 1
コボルトメイジの角?僕はドロップを拾いながらふと思った。もしかして1匹だけ角が生えていたのかな。気がつかなかった。アレが噂のレアなんだろうか?あと、魔法屋でちらっとみた魔法石らしきものもドロップした。これは後で魔法屋のおねえさんのところへ持って行こう。
しかしこんな所でファンタジー世界の魔法の王道、ファイヤーボールを食らうことになるとは。全くの想定外だった。1日目とか2日目に出会っていたら、人生のエンディングを迎えていた気がする。そうなるとスタッフロールの出演者部分が、あまりに少なすぎて涙目になるところだ。
僕は撒菱も回収した。再利用リサイクル。そのまま放置すると、他の冒険者にも迷惑がかかるからね。こうして4日目の前半戦を終了した。
「おう、まだ無事みたいだな。今日は何が欲しい?」
おそらくこの武器屋には、沢山の客が来ているはず。コミュ障からの意見としては、いちいち顔を覚えないで欲しいなあと思う。しかしもう手遅れだ。いっそ仮面でも買おうかな・・・。
「すみません、今日はちょっと教えて欲しいことが。金属片とか木材片が欲しいですが。」
「金属片?鍛冶スキルでも鍛えるのか?まあいい。」
親父はそういった素材が手に入る場所を教えてくれた。街外れにそういった細かい物が売られている場所があるらしい。僕はドモりながら、お礼を言って店を出た。
街外れに行くと親父が言っていたように、ジャンクパーツのようなもの売られている露店がいくつかあった。20世紀の秋葉原みたいな雰囲気だ。僕はキョロキョロしながら目的の物を探す。金属パーツは量り売りのようだ。欲しいのは細長くて、出来れば先が鋭い物だ。皿に必要な物を載せて店主に渡すと、天秤で重さを量った。店主の言葉は値段をぼそっと言うだけだ。この雰囲気この無駄のなさ、僕は好きだ。
木材片も探す。ゴミ置き場のような所にあった。ご自由にお持ちくださいと書いてある。どうやらタダのようだ。さらに中古工具も購入する。かなり汚れてはいるけれど、十分に使える。こうして欲しいものは一通り揃った。
僕は用水路の周囲にある微妙な空間へ移動した。ここは人通りが無く落ち着く。そして工作を開始する。大した小物では無い。ひたすら木片に金属片を埋め込むだけだ。鋭さが足りない物はヤスリで削る。出来た物を魔法の袋に放り込む。よし、作業完了だ。
僕はダンジョンへ突入する。ソルトシールに来てから、全く朝食をとっていないような気がするけれど、まあいいや。そしてダンジョンを痴呆さながらに徘徊しながら獲物を探す。いた、コボルト5匹。
僕は投石でコボルトAに先制攻撃をする。命中、胸部にめり込む。この投石というのは侮ってはいけない。布を振り回すことによって生じた遠心力によるブーストは、石の破壊力を何倍も強化する。ファンタジー世界で石を投げている人はほとんど出てこない。しかし銃器が登場する前の戦争の主役は投石と弓矢だ。創作物でほとんど出てこないのは・・・たぶん格好悪からだろう。
残りのコボルト4匹が僕に突撃してくる。僕は木片と金属片で作った撒菱(まきびし)をバラバラっと放る。コボルトB、C、Dが撒菱を踏んづける。「ギョハァ」という奇妙な悲鳴を上げ転倒していく4匹。コボルトEだけは迂回している。僕はコボルトEに投石をする。サイドステップで躱すコボルトE。僕は武器を槍に持ち替えて接近戦に備える。しかしコボルトEは近づいてこない。警戒しているんだろうか。
木の棒を掲げるコボルトE。その体がうっすらと輝いている気がする。そして次の瞬間、飛んでくる火の玉。「ウワワ」必死に避ける。火の玉は僕の肩を掠(かす)める。頬にチリチリという熱を感じる。もしかして・・・ヤバい1匹は「コボルトメイジ?」だ。僕は再び投石に切り替え石を打ち出す。見事に避けられていく。こうしている間に、他のコボルト達が、足に刺さった撒菱を引き抜いて立ち上がる。
コボルトメイジは再び魔法の体勢に入る。僕は決死の突撃をする。コボルトメイジの前に炎の玉が浮かび上がる。僕はそれを無視し、槍を構えたまま突っ込む。サクっという微妙な感覚。胸を貫通、コボルトメイジは絶命したはずだ。僕は残りの4匹の殲滅に入る。
他の4匹は起き上がってはいた物の、裸足に突き刺さった金属片の効果は絶大だった。痛みで素早い動きが出来ない。僕は槍で1匹、また1匹と始末していった。想定外の出来事があったけれど、何とか勝利した。地味すぎるけれど撒菱は使える。
拾得品
コボルトメイジの核 × 1
コボルトの核 × 4
コボルトの爪 × 2
コボルトメイジの角 × 1
魔法石(小) × 1
コボルトメイジの角?僕はドロップを拾いながらふと思った。もしかして1匹だけ角が生えていたのかな。気がつかなかった。アレが噂のレアなんだろうか?あと、魔法屋でちらっとみた魔法石らしきものもドロップした。これは後で魔法屋のおねえさんのところへ持って行こう。
しかしこんな所でファンタジー世界の魔法の王道、ファイヤーボールを食らうことになるとは。全くの想定外だった。1日目とか2日目に出会っていたら、人生のエンディングを迎えていた気がする。そうなるとスタッフロールの出演者部分が、あまりに少なすぎて涙目になるところだ。
僕は撒菱も回収した。再利用リサイクル。そのまま放置すると、他の冒険者にも迷惑がかかるからね。こうして4日目の前半戦を終了した。
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