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終章 世界の終わりと創世の伝説

227 望見をする冒険者

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 セフィリアさんは見事にカイデウスさんを探し出してくれた。
 行き先が分かっていたので、大したことはしていという態度だった。
 僕としては、さすがにその日のうちに連れてくるとは思っていなかった。

「レイネスの使節というのはあんたか?
 俺がカイデウスだ。
 おっエリッタも来ていたのか。
 久しぶりだな。」

 カイデウスさんは、僕用に用意された客間に入ってくる早々に話しかけてきた。

「はい、僕の名前はアグレトです。
 よろしくお願いします。」

 一応初対面ということになるので自己紹介をする。

「盗賊達時が終わったところで、軍馬に囲まれた時はさすがにビビったぜ。
 急用なのは察するが、オキスからなにか話が来ているのか?」

 カイデウスさんは、オキスが死んだことは知らないようだ。
 まあ、いかに冒険者といえども、帝国側の情報はそう簡単に手に入らないようだ。

「オキス様はお亡くなりになりました。
 今はその後の体制を作ろうとしているところです。」

 僕の言葉にカイデウスさんは目を細める。
 威圧感が膨れあがった気がしてくる。
 カイデウスさんにはいずれ事情を伝えようと思うんだけど、それはレイネスに来てもらってからだ。

「笑えない冗談だ。
 本当なのか?」

「嘘をついても仕方がありません。
 本題に入らせてもらいます。
 カイデウスさんにはレイネスに来ていただきたいのです。」

「俺に何をしろと?」

「帝国にはクルセイダーズの主力が進軍しています。
 いずれ帝国とクルセイダーズの戦いが始まります。
 そしてレイネスは帝国側の援護に動くことになります。
 その時に、柔軟に行動できる即戦力が必要なのです。」

「つまり俺にクルセイダーズと戦えということか?」

「はい。
 エリザさんからの推薦もいただいています。
 協力していただけませんか?」
 
「先生が俺を?」

 エリザさんの名前を出した途端に、カイデウスさんが目を丸くする。


「はい。
 エリザさんもレイネスへ来ることに同意されました。」

「先生が動くのか?
 信じられん。
 どうやって説得したんだ?」

 オキス死亡報告より驚いているように見える。

「エリザさんは別室にいますので、直接話を聞くことも可能ですよ。」

 カイデウスさんから表情が消える。
 まるで戦闘モードだ。

「・・・。
 条件がある。」

「何でしょう?」

「オキスがどうなったのか、詳しく聞かせてくれ。」

「レイネスへ来ていただければ、表向きの話と裏事情を合わせてお伝えします。」

「裏事情か。
 厄介なことになっていそうだな。」

「まあ、ほどほどに。」

「分かった、協力しよう。
 それと即戦力が必要なら、俺の仲間も連れて行こう。
 異論はあるか?」

「いえ、是非お願いします。」

「それと知り合いの冒険者にも声をかけて良いか?
 役に立つ奴らだ。」

「願ってもない。
 一人でも多く人材が欲しいところでしたので。」

「そうか。
 それでいつまで待てる?」

「明日の夕刻にはレイネスへ帰還する予定です。」

「おい、近々(きんきん)過ぎるぞ。
 こうしちゃいられない。
 俺は声かけと準備に動く。」

「もし間に合わない人が出るようでしたら、次の便で来ていただいても大丈夫です。
 しばらくは物資輸送のため、飛行船を定期運行させます。」

「飛行船というと、あのどでかい奴か?
 こっちに戻ってくる時にちらっと見たが、度肝を抜かれたぜ。
 俺たちはあれに乗っていくのか?
 冒険者としての血が騒ぐな。」

 こうしてカイデウスさんのスカウトに成功し、さらにその他の冒険者の協力も仰げそうな状況となった。






 この調子で無双チームを作りたい。
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