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7章 次への引き継ぎと暗躍の者達

198 お代理様とお雛様

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 私はルディンの出した結論に対して私は説明を求めた。
 もちろん声を出すと盗聴されるので、頭の中で直接話しかけた。

 まずクルセイダーズの装備に関してだ。
 今回私の使った魔法は全力では無いものの、かなり強力な威力を持っているものを使用した。
 その魔法の直撃を受けてほぼ無傷だったのだ。
 
 陣形を崩し足止めが出来た要因は、外れた魔法が地面を抉(えぐ)ったからだ。
 吹っ飛ばすことが出来たのも、外れた魔法が発生させた爆風によるものだった。
 つまりクルセイダーズに魔法が効いていない。
 これは魔法が主力の魔族にとって致命的になりかねない。

 次に神の残滓による攻撃力。
 時間を戻す前の奇襲では、側面からとはいえ一部の部隊は体勢を立て直して戦った。
 そこで戦ったの中には、かなり上位の騎士部隊もいたのだ。
 ところが完全に圧し負けていた。

 永劫の回帰使用後は逆に相手が混乱していたため、神の残滓による攻撃をほとんど受けなかった。
 だから勝てたのだ。

 そして相手は本気を出してきていない。
 今回はゴーレムやその他の神の遺物が使用された形跡が無い。
 奇襲は迅速な行動が求められるので、ゴーレムの使用は出来なかったのかも知れない。
 つまり次に戦うときは出してくることになるだろう。
 今のような状況で、より強い兵器を出してこられたら対処するのはかなり困難だ。

 さらに奇襲そのものをルディンは怪しんでいる。
 私達にわざと勝たせたのではないだろうかと。
 永劫の回帰を使える私に対して奇襲をかけること自体、あまりにおかしな話なのだ。

 初戦の勝利によってこちらが敵に与えた打撃は三千程度。
 森に隠れていた敵部隊は殲滅前に逃げ出したので、結局はその程度に終わった。
 五十万を擁する兵力をもつクルセイダーズにとって、三千は大した痛手では無い。
 これを捨て駒に、本番に向けての仕込みを入れてきたのかもしれない。

 現在、我が軍の士気はかなり高まっている。
 そして好戦的になっているのだ。
 次の戦いでは勝てると踏んで、前のめりに戦うことになるだろう。
 しかし実のところ敵が弱いわけでは無い。
 慎重さを失えば、相手の策に嵌まることになる。

 敵の軍師は用意周到で、平気で捨て駒を使う狡猾で危険な人物。
 これがルディンが答えた内容だ。

 たった一回戦っただけでここまで分析するルディンに、さすがにちょっと引いた。
 まあ、つまりは油断せず気を引き締めていけば負けないのよね。
 私はルディンにそう伝えたものの、相変わらず考え込んでいるルディン。
 私が助言できるようなことは何も無いので、難しいことは任せておくことにしよう。
 問題が起きたら永劫の回帰を使用すれば良いのだ。

 そして目的地であるエンプティモに近づいてきた。
 予備兵力として待機状態の帝国軍をあちこちで見かけるようになった。
 すれ違いざまに見かける視線は、友軍に対するそれでは無い。
 今にも襲いかかってきそうな攻撃的な視線だった。

 決戦に備え軍を三つに分ける。
 そしてそれぞれの指揮権を私と四天王二人が受け持つ。
 主力は私の部隊、そして状況に応じて四天王の部隊を投入することになる。

 ただし歩く盗聴機である私は基本的に仕事をしていない。
 直属部隊の指揮はヴェネスが担当しているので、あくまでも名目上だ。
 会議はタレンティに任せている。
 私の仕事は安全確認後の定期的なセーブと、慰安のために歌って回ることぐらいになった。
 
 そしてついに帝国軍の主力と合流する位置まで来た。
 帝国軍は作戦会議の招集をかけてきた。
 魔神ギスケも会議に出るらしい。

 しかし当然のごとく私は出られない。
 作戦がもろバレになるからだ。
 なんと不便な体だろう。
 私はタレンティに賢者の杖を渡し、代理人として出席してもらうことにした。







 狡猾無双に注意らしい。
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