上 下
144 / 262
6章 魔王の息子と最後の無双

145 風光明媚な復興の後

しおりを挟む
 今回の遠征メンバーは僕、ジキル、パメラ、カシムだ。
 そして僕の側には常にルディンがいる。
 そうなるのが当たり前のように見事に希望の家メンバーで固まった。
 豆スープを啜っていたメンバーが、気がつけばずいぶん遠いところまで来てしまった。
 僕のわがままに付き合って・・・。

 帝国首都トレンテまではサリアとブリューデンも一緒だ。
 しかし帝国軍と合流した後は、遊撃部隊としていったん待機してもらう。
 魔領は魔法を使う魔族が沢山いる上に、飛龍のような魔物もかなり生息している。
 炎竜で乗り込んだら対空攻撃を受けたり、空中戦になる可能性がある。

 ギスケも部下に対して魔領での飛龍の使用を禁止している。
 自分が移動するときは魔法陣で防御障壁を張るので平気らしいけどね。
 僕も防御障壁は展開可能だけど、常時使い続けたら魔力がいくらあっても足りない。
 魔力をケチってショボい障壁を張ると、強力な対空攻撃が来た時に結局防御しきれないし。

 そして僕達はトレンテに到着する。
 ブリューデンをトレンテの正門前に着ける。
 予定通りサリアとブリューデンは別の場所で待機だ。
 到着予定を伝えていたので、帝国の騎士達が整列して出迎えてくれた。
 ざっとみて百人は並んでいる。

 僕を含めた四人は騎士達が整列する前を歩く。
 僕達が進むごとに、騎士が自分たちの持っている槍を掲げ直す。
 規律のとれた動きだ。
 魔神ギスケの息がかかっている部隊なのだろう。
 間違いなく強い。

「お迎えに上がりました。
 オキス様、トルポップの村では失礼いたしました。」

 僕は記憶を辿る。

「イリンさんでしたよね。
 わざわざありがとうございます。」

「礼などんでもございません。
 我が主がオキス様とお目にかかれるのを楽しみにしております。
 お供の方々もこちらへ。」

 神魔砲でクレーターと化したトルポップの村、そこでギスケと共にいた人物だ。
 その時はギスケの護衛という話だったのだけど、顔を見てもしばらく思い出せなかった。
 まあ一度しか会ってないし仕方が無いか。

「ところで主というのは?」

「もちろん、エスフェリア陛下です。」

 そうか、帝国の騎士からギスケの部下の前に皇帝の臣下だよね。
 ブリデイン王国ではあまり身分云々が五月蠅くなかったので、僕はそういう意識が薄い。

「もしかして案内って、皇帝陛下の所ですか?」

「はい、そのように仰せつかっております。」

 僕達は豪華な馬車に案内された。
 帝国の宮殿まで、これに乗っていくらしい。

 今いる首都トレンテが魔王アストレイアに滅ぼされてから11年だ。
 僕が馬車の窓から見た光景は、そんな過去があるなんて思えないほどの繁栄ぶりだった。
 僕達は馬車に揺られながらイリンさんにトレンテの繁栄ぶりの要因を質問した。

 イリンさんはどうやって復興していったのかを熱く語ってくれた。
 皇帝エスフェリアが魔神ギスケと共に首都を奪還しそして復興させる、まるで物語のような本当の話だ。
 さっき会ったときとは人が違うような迫力で熱弁するイリンさん。
 そして馬車は宮殿に到着する。
 まだ語り足りなさそうなイリンさんだったが、仕事は忘れていない。
 すぐに案内係に戻る。

 そして僕達はオブリエン帝国皇帝エスフェリアと謁見するのだった。







 もしや豆スープが無双の秘訣か?
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜

月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。 蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。 呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。 泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。 ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。 おっさん若返り異世界ファンタジーです。

ひだまりを求めて

空野セピ
ファンタジー
惑星「フォルン」 星の誕生と共に精霊が宿り、精霊が世界を創り上げたと言い伝えられている。 精霊達は、世界中の万物に宿り、人間を見守っていると言われている。 しかし、その人間達が長年争い、精霊達は傷付いていき、世界は天変地異と異常気象に包まれていく──。 平凡で長閑な村でいつも通りの生活をするマッドとティミー。 ある日、謎の男「レン」により村が襲撃され、村は甚大な被害が出てしまう。 その男は、ティミーの持つ「あるもの」を狙っていた。 このままだと再びレンが村を襲ってくると考えたマッドとティミーは、レンを追う為に旅に出る決意をする。 世界が天変地異によって、崩壊していく事を知らずに───。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。 だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。 一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...