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5章 希望の家と集う仲間

137 決行しても結構ですか?

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 僕達が神の遺跡の封印を解くと、一つ困った問題が生じる。
 フェイベル王国でもあったのだが、神魔砲が大爆発するのだ。
 前回は民間人がいない山奥だったが、今回は事情が異なる。
 無関係な人を巻き込むのは避けたい。

「ブリデイン王国の神聖区から、市民の避難をさせて欲しいんです。
 フェイベル王国では神の遺跡の封印解除で、結構な規模の爆発が起こりました。
 人的被害は最小限に抑えたいんです。
 ブリデイン王国の冒険者ギルドに襲撃の情報をリークしてください。」

 僕はそうカイデウスさんにお願いした。

「なるほどな、それなら協力できる。
 事前情報で冒険者を配備させて、炎竜が来たタイミングで一斉避難する状態には持っていけると思う。」

「よろしくお願いします。
 前回の規模から考えると、神聖区の外まで避難すれば大丈夫なはずです。」

「まかせておけ。」

 これで一安心だ。
 できるだけ犠牲者が出ないことを願いたい。
 しかし今回は相手が王国の精鋭が相手だ。
 人を・・・殺すことになるだろう。

 カイデウスさんは仲間と合流しブリデイン王国を目指すことになった。
 彼らの移動ルートだと五日で王国までたどり着けるという話だ。
 ということで、作戦の決行は一週間後となった。
 遺跡町を結構な期間留守にしているが、通信機で一応の連絡は取れている。
 今のところ特に問題は発生していないようだ。
 僕はクルセイダーズと戦う可能性に備えて、必要な指示を出しておいた。

 残った時間で動きの確認や訓練を行う。
 ちなみに訓練中に賢者の杖無しでジキルと手合わせをしてみたら、見事にボロ負けした。
 ジキルの力量はカイデウスさんの遙か上をいっている。
 逆に賢者の杖ありだと僕がかなり優勢だ。

 訓練の間、カシムがリプリアに話しかけまくっていた。
 リプリアは迷惑そうにはしていないものの、かなり困惑していたようだ。
 僕の同郷の友人となれば無下には出来ないという態度だった。
 前世に置き換えると中学生が女子大生にアタックしている状況だ。
 まあ止める理由も無いのだが、これ以上困った状況になるようなら何とかしなければならないだろう。

 そしてついに決行の日が訪れた。
 サリアとエリッタを残し、僕達はブリューデンに乗り出発する。
 最初の懸案事項は、要塞化した神の遺跡にどの程度の対空攻撃能力があるかだ。
 フェイベル王国の時は、内部情報を魔族サイドが調べていたので問題なかったけれど、今回は事前情報がほとんど得られなかった。
 そもそも神魔砲の完成度すら偽情報を掴まされていたぐらいだ。
 もはや臨機応変に対処するしかない。

 近づくブリデイン王国の首都ロブルトン、久々に帰ってきた。
 まさか上空から街の様子を一望することになるとは、王国で暮らしていたときは考えもしなかった。
 そんな感慨にふけっていると異変に気がつく。
 街に一般人がいない、いるのは兵士だけだった。

 街の状況は気になるが、考えている暇はない。
 僕は魔術回路を編む。
 ブリューデンに乗った僕達は、要塞化された神の遺跡の上空近くまで来た。
 現時点で僕の最大級の爆撃魔法を放つ。 

 魔法が命中し要塞の屋上が吹き飛び瓦礫の山と化す。
 たぶんある程度魔法に対する対策を施した素材で作ってあるのだろうけど、賢者の杖ブーストの前に敵は無い。
 下のフロアだった部分が露出する。
 そこにだめ押しでブリューデンのブレスの追撃。
 反撃が来ないことを確認すると、僕達は飛び降りた。
 風の魔法で落下の衝撃を吸収する。

 全員降下が完了した。
 辺りを見回すものの誰もいない。
 お出迎えが無くて拍子抜けしたけれど、とにかく侵入に成功した。







 目立ちすぎてスネーク無双は不可能だ。
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