52 / 262
3章 冒険の始まりと動き出す王国
52 試しの剣の件
しおりを挟む
基礎訓練と受け身に明け暮れていた僕は、ようやく基本的な型を教えてもらえることになった。
剣術の基本だ。
とはいっても、ひたすら素振りだった。
魔法の修行もクルデウス師匠から課されている。
忙しい。
そしてある日、たっぷりの笑顔を称えた師匠からこう言われた。
「そろそろ実戦を経験してみよ。
明日以降は実習期間とする。
冒険者ギルドへ行って、依頼を一つ片付けよ。
条件は街の外の依頼であること、それだけじゃ。
仲間を募っても構わぬ。」
とうとう実戦演習となった。
そしてエムストロム教官に実戦演習の話をした。
「まだ基本すら教えていないのだ。
時期尚早だと俺は思うがな。
しかしクルデウス卿のご意向とあらば送り出すしかあるまい。
街の外へ出る前に教会へ行ってこい。
そこで祈りを捧げておけ。
それと年の問題で見つけにくいとは思うが、仲間は必ず連れて行け。」
教官はまだ実戦演習には不安があるようだ。
確かに体術においては戦闘で敵を倒すようなレベルには無い。
ただし僕のジョブは魔術師ということになるはずなので、そもそも肉弾戦には不向きなのだ。
仲間が必要だとは思う。
しかし教官が言っている通り、七歳の子供とパーティーを組んでくれる仲間が出来るかどうか微妙なところだ。
僕は教官から言われた通り、とりあえず教会へ行くことにした。
王国の教会は大きい。
一応、デイボンの町にも教会はあったのだけれど桁が違う。
神聖区にいくつもの建物が建ち並び、その中に祈りを捧げる為の礼拝施設があった。
礼拝施設を尋ねると、祭服を着ている人物が話しかけてきた。
「カンド聖堂へようこそ。
私は司祭を務めているハルデオンです。
ご用はお祈りですか?」
ハルデオン神父は柔らかな感じの人物だった。
「申し遅れました、オキスと申します。
一度礼拝をしたいと思いましてこちらに来ました。」
「そうですか。
それではこちらへどうぞ。」
僕は礼拝堂へ案内された。
荘厳(そうごん)な作りが歴史の長さを感じさせる。
部屋の備品を掃除をしているシスターと目が合う。
会釈してきたので僕も返す。
そこで祈りを捧げようと近づくと、なにやら光っているモノがある。
小さな箱らしき物から光が漏れる。
何だろうとさらに近寄ると、さらに光が強くなった。
「なんと、ご神体が!」
神父がうわずった声を上げた。
もしかしてご神体とやらは魔族に反応したりするのだろうか?
僕が戦々恐々としていると、
「試しの剣を、試しの剣を持ってきてください。」
そうハルデオン神父がシスターに告げた。
試しの剣って勇者選別のアレだろうか?
無い無い、僕は心の中でそう思った。
もしや勇者無双か。
剣術の基本だ。
とはいっても、ひたすら素振りだった。
魔法の修行もクルデウス師匠から課されている。
忙しい。
そしてある日、たっぷりの笑顔を称えた師匠からこう言われた。
「そろそろ実戦を経験してみよ。
明日以降は実習期間とする。
冒険者ギルドへ行って、依頼を一つ片付けよ。
条件は街の外の依頼であること、それだけじゃ。
仲間を募っても構わぬ。」
とうとう実戦演習となった。
そしてエムストロム教官に実戦演習の話をした。
「まだ基本すら教えていないのだ。
時期尚早だと俺は思うがな。
しかしクルデウス卿のご意向とあらば送り出すしかあるまい。
街の外へ出る前に教会へ行ってこい。
そこで祈りを捧げておけ。
それと年の問題で見つけにくいとは思うが、仲間は必ず連れて行け。」
教官はまだ実戦演習には不安があるようだ。
確かに体術においては戦闘で敵を倒すようなレベルには無い。
ただし僕のジョブは魔術師ということになるはずなので、そもそも肉弾戦には不向きなのだ。
仲間が必要だとは思う。
しかし教官が言っている通り、七歳の子供とパーティーを組んでくれる仲間が出来るかどうか微妙なところだ。
僕は教官から言われた通り、とりあえず教会へ行くことにした。
王国の教会は大きい。
一応、デイボンの町にも教会はあったのだけれど桁が違う。
神聖区にいくつもの建物が建ち並び、その中に祈りを捧げる為の礼拝施設があった。
礼拝施設を尋ねると、祭服を着ている人物が話しかけてきた。
「カンド聖堂へようこそ。
私は司祭を務めているハルデオンです。
ご用はお祈りですか?」
ハルデオン神父は柔らかな感じの人物だった。
「申し遅れました、オキスと申します。
一度礼拝をしたいと思いましてこちらに来ました。」
「そうですか。
それではこちらへどうぞ。」
僕は礼拝堂へ案内された。
荘厳(そうごん)な作りが歴史の長さを感じさせる。
部屋の備品を掃除をしているシスターと目が合う。
会釈してきたので僕も返す。
そこで祈りを捧げようと近づくと、なにやら光っているモノがある。
小さな箱らしき物から光が漏れる。
何だろうとさらに近寄ると、さらに光が強くなった。
「なんと、ご神体が!」
神父がうわずった声を上げた。
もしかしてご神体とやらは魔族に反応したりするのだろうか?
僕が戦々恐々としていると、
「試しの剣を、試しの剣を持ってきてください。」
そうハルデオン神父がシスターに告げた。
試しの剣って勇者選別のアレだろうか?
無い無い、僕は心の中でそう思った。
もしや勇者無双か。
0
お気に入りに追加
622
あなたにおすすめの小説
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~
すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》
猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。
不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。
何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。
ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。
人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。
そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。
男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。
そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。
(
最弱クラスからの逆転冒険者ライフ! ~不遇スキルで魔王討伐?! パーティーは奇形・単眼・屍喰鬼(グール)娘のハーレム!?~
司条 圭
ファンタジー
普通の高校2年生、片上勇二は軽トラに轢かれそうになった子犬を助けた……つもりで、肥溜めに落ちて窒息死する。
天国に行くかと思いきや、女神様に出会い、けちょんけちょんにけなされながら異世界へ強制的に転生することに。
しかし、聖剣にも匹敵するであろう「強化」スキルのおまけつき!
これなら俺も異世界で無双出来る!
ヒャッホウしている勇二に、女神は、ダンジョンの最深部にいる魔王を倒せなければ、次の転生はミジンコだと釘を刺されてしまう。
異世界に着いたのは良いが、貰った「強化」スキルは、自分の能力を増幅させるもの!
……かと思いきや、他者が使ったスキルを強化させるためのスキルでしかなかった。
それでいて、この世界では誰でも使えるが、誰も使わない……というより、使おうともしない最弱スキル。
しかも、ステータスは並以下、クラスは最弱のノービス。
しかもしかも、冒険者ギルドに薦められた仲間は3本目の腕を持つ奇形娘。
それから立て続けに、単眼娘、屍喰鬼(グール)娘が仲間になり、色モノパーティーに……
だが俺は、心底痛感することになる。
仲間の彼女たちの強い心と卓越した能力。
そして何より、俺のスキル「強化」の持つ潜在能力を……!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
異世界コンビニ☆ワンオペレーション
山下香織
ファンタジー
コンビニのお店ごと異世界へと転移してしまったサオリのサバイバルは突然始まった。
魔物との遭遇、ライフラインやお店の発注システムの謎、神様、勇者、魔王、妖精、そして天使の存在。
異形が蔓延る見知らぬ地で、騎士団のランドルフやトレジャー・ハンターのエリオット等、様々な出会いを経て成長して行くサオリ。
やがて天使を味方につけ、天使の羽根ペンを手に入れたサオリはこの世界で生きる術を見つけたかに見えたが、
魔王アランの存在と、この世界の『魔王一年ルール』に巻き込まれて行く。
無欲のクリスと不思議な貯金箱
小日向ななつ
ファンタジー
感情表現が薄い少女、クリスが通う魔術学園で大きな事件が起きた。
それは友達が先生の出来心で行った儀式によって貯金箱に変えられてしまったという事件だ。
しかも先生は自分をフッた元彼に復讐しようと禁術に手をつけていた。
とんでもないことが目の前で起き、クリスは困惑する。
だが、禁書に呪いを解く方法が書かれていた。それはどこかに飛び去っていったルミナスコインを集めれば、友達は元に戻れるということだ。
こうなったら旅に出るしかない。
ルミナスコインを求め、クリスは友達の姿を戻す旅に出る。
様々な出会いと別れを得て成長する少女達をご覧あれ!
この作品は重複投稿しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる