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2章 放たれた魔銃と幸運の石

43 黒い石と覚悟の意志

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 王宮の応接室に関係者が集められた。
 まず調査を指示した師匠ことクルデウス卿、調査を行った僕とセフィリアさん。
 今回容疑をかけられたテイラン先輩。
 そして参考人としてブラニカさんとエムルライド教授。
 査察官の人も来ているが、こちらの紹介は割愛する。

「クルデウス卿、捜査に協力するのはやぶさかではありません。
 しかし子供にやらせるのはお遊びが過ぎませんか?」

 最初に口を開いたのはエムルライド教授だった。

「お遊びというのは否定せぬ。
 そう何度もあることでは無い。
 もう少しこの年寄りの道楽につきあってくれぬかの。」

 師匠はいつも通り優しげな笑みを浮かべながら答えた。

「卿にそういわれては、付き合わざるを得ません。
 分かりました、手短にお願いしますぞ。」

 教授が納得したところで本題に入る。

「まず最初にはっきりさせておきたいことがあります。
 ブラニカさん、いつもしているペンダントはどうしました?」

 ブラニカさんは明らかに動揺した声色で答えた。

「今朝、ちょっとゴタゴタしていて、その時に無くしたみたいね。
 家を探せばあるかもしれないわ。
 それがどうしたの?」

「そのペンダントならこれですよ。
 真っ黒になってますが、形は変わっていないですよね。」

 僕は証拠品の中から、黒い石をブラニカさんに見せた。
 その瞬間、彼女は一瞬だけ大きく目を見開いた。

「違うと思うわ。
 今朝までは確かに持っていたわ。」

 完全に声が震えている。 

「事件の直後、僕と会っていますよね。
 その時、あなたはペンダントをしていませんでした。
 ブラニカさんは気を落ち着かせたいときは、ペンダントをいじる癖があるんですよ。
 あの時はペンダントの代わりに、服を掴んでいましたよね。」

「・・・。」

 ブラニカさんは目を閉じて沈黙している。

「正直に話してください。
 いったい何があったんですか?」

「オキス、ブラニカは関係ない。
 追求するのなら僕にしてくれ。」

 堪えきれなくなったテイラン先輩が口を挟む。

「いいのよテイラン。
 所長を殺したのは私です。
 病気の母も今朝息を引き取りました。
 もう隠す意味なんて無いんです。」

「ブラニカ!」

 テイラン先輩が叫ぶ。
 容態が悪いとは聞いていたが、まさかこのタイミングでブラニカさんの母親が亡くなるとは。
 ブラニカさんは、かなり切羽詰まっていたのだろう。

「なんだこの茶番は。
 犯人が自供したんだ、私は帰ってもよろしいか?」

 教授が師匠の方を見る。

「待ってください。
 本題はこれからです。」

 教授に帰ってもらっては、せっかくのお膳立てが無駄になってしまう。

「これ以上何があるというのだ?
 私とてそう暇では無いのだぞ。」

 教授が怒気を孕んだ声を出す。

「当日の皆さんの動きを順序立てて確認していきましょう。」

 この場において、展開を読んでいたかのごとく、相も変わらずニコニコしている白髭の老人がいる。
 さあ、期待に添えるよう最後の詰めの時間だ。




 今回は助っ人無しで事件解決無双が出来るかも。
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