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1章 幼き魂と賢者の杖

14 在庫内容が無いよう

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 職人見学のおかげで、この地域の技術レベルを多少なりとも把握できた。
 前世の知識チートで儲ける算段もいくつか思いついた。
 しかし割り算の時のような失敗があるので、もう少し様子を見てからにしたい。
 カティアさんの許可をもらい、いつもの四人で雑貨屋のグラマンさんを手伝いに行くことにした。

 グラマンさんに頼まれた仕事は、商品の捜索だった。
 かなり昔に倉庫に入れたものが最近必要になり、場所が分からなくなって困っているらしい。
 他の仕事が忙しいから手が回らないとのこと。

 頼まれた商品は特徴があるので、見ればすぐ分かるのが救いだった。
 しかし、ただ見つければいいというものでは無い。
 こういうことが起こらないようについでに対策もしておこうと思う。

 まずは三人に指示を出し倉庫の中を確認してもらい、僕は商品の在庫の場所がわかりやすいようにラベルを付けたり配置図を作った。
 そうこうしているうちに、目的のものを奥の箱の中から発見した。
 複雑な模様が描かれたさかずきだ。

 ミッションコンプリート、グラマンさんに報告する。

「・・・。」

 グラマンさんがまた変な顔をしている。

「ああ・・・ありがとう。配置図まで作ってくれるとは思わなかった。
 これで棚卸しが楽になるよ。
 いつも面倒くさくなっていい加減に済ませてしまうんだ。」

 なるほど、明らかに新古の回転がおかしくなっている在庫があったのはそのせいか。
 それと杯もそうなんだけど、使い道がさっぱり分からないものが沢山あった。
 明らかに食卓に上るような杯ではないし、調度品としても微妙だ。
 謎の雑貨屋だ。

 バイト料は希望の家に支払われることになる。
 僕たちはアップルパイをご馳走になった。
 この世界にもあったのかアップルパイ。
 希望の家の食生活を基準にものを考えていた。
 ところが町ではもっとマシなものを食べていることを知り、少し悲しくなった。
 そういえばビスケットとか普通にくれたし。

 仕事が軌道に乗った希望の家は他の子達に任せて、町の仕事を優先することに決めた。
 希望の家に帰る前に、ギルドを遠巻きに見て回ることにした。

 町にはお約束、商業ギルド、職人ギルド、冒険者ギルドがある。
 中でも冒険者ギルドと言われると、ワクワクする響きに聞こえる。
 しかし所属しているほとんどのメンバーが、町中の何でも屋的なクエストを引き受けている状態だ。

 魔物のいるような場所へ冒険に出ると当然死人が出る。
 死んだら終わりで割に合わない。
 だから町で安全なクエストを引き受ける名ばかりの冒険者ばかりなのだ。

 もちろん冒険をまじめにやっている冒険者もいる。
 そういう冒険者は化け物といえるぐらい本当に強いらしい。
 魔物とやり合っても生きて帰れるんだから、化け物なのは納得するところだ。
 実物を見てみたいけど、まだ会ったことは無い。

 僕もいずれ町から出て行くことになるだろう。
 その時は冒険者ギルドに入ることになるのかな。
 いや、商業ギルドに入って、行商しながら旅をするという手もあるな。





 お使いクエスト無双!・・・あんまりやりたくないなあ。
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