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好きなところ 5月4日
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金田が帰っていき、杏梨はしばらくベットでぼんやりしていた。
帰り際の金田の言葉が頭の中で繰り返される。
「そっか、まぁでも寂しくなったらそうたくんにしてもらえな」
あんなに、あんなに昨日は、らぶらふだったのに、金田は私がそうたにしてもらっても気にしないのだろうか?
それとも何か気に触る事をしてしまったか。
たこやきは他の男に教えてもらい、
気に入らない映画を無理やり観させ、
勝手に酔っ払ったあげくに、
他の男に電話
朝まで爆睡
もしかしたらえっちも気に入らなかったかもしれない。疲れている金田を無理させてしまったかもしれない。
私、何もかもだめじゃん…。
幸せだった昨日が嘘のように消えていく。
熱い頭を氷水につけたようにどんどん冷えきっていく。
あっ鍵…閉めないと。
金田は鍵を持っていないので、玄関は開けっ放しだ。
杏梨は丁寧に畳んであった重ねて服を順に来た。
金田さん…結構、几帳面?
玄関にいって鍵を閉める。
リビングに行くと、飲み散らかしたワインは綺麗に片付けられ、食器は洗われていた。
片付けてくれたんだ。さらに申し訳ない。
取り急ぎ、金田にメッセージを送る。
杏梨: 片付けありがとうございました。色々とすみませんでした。
ぺこぺこと頭を下げるスタンプもつけておいた。
あー、やっちゃった。
二日酔いか少し頭が痛い。
折角そうたが手伝ってくれたのに、失敗しちゃった。そういえば、金田さん、そうたと何話したんだろう?
電話してからの金田は様子が違った。
そうたにメッセージを送る。
杏梨:そうた、昨日はいきなりほんとうにごめんね。
そうたからすぐ返事がきた
そうた:大丈夫だよ~
杏梨:金田さんと何話したの?
そうた:特になにも。杏梨は心配しなくていいよ
杏梨: またそうたにしてもらえみたいにいわれちゃった…
そうた:杏梨は大丈夫だよ
その後も何を言ってもそうたは大丈夫と言うばかりで、訳がわからなかった。
ぼんやりとテレビをつける。
すると、そこには杏梨の好きなお笑い芸人がでていた。
「あっじんちゃんだっ!」
じんちゃんはコンビを組んでいるお笑い芸人だ。顔が特徴的で一般的には悪い意味で目立つ。
しかし、じんちゃんは容姿でいじめられたこともないし、むしろ見た目でいじられてもとてもポジティブに言葉をかえすのだ。
女の人を口説くのも積極的らしい。
杏梨は自分に自信がないから努力している。
食事も運動もスキンケアもメイクも、全ては弱い自分を守るための防御だ。
きれいじゃない自分は誰にも好かれない。きれいでいなくてはいけない。そんな思いを抱えてずっと頑張ってきた。全ては自分のために。
でも、じんちゃんをみていると、飾らないありのままの自分を好きなってくれる人がいればいいと思った。
じんちゃんが努力していないの訳ではない。
じんちゃんにしかわからない悩みもあるだろう。目に見えるものだけが、その人の本心をあらわしている訳がない。
顔が全てという訳でもない。
ただ、ありのままの自分の存在に自信がもちたくて、杏梨はじんちゃんをみていると勇気づけられた。
私も堂々としたい。何もしなくても自分を好きになりたい。
あっ…急に杏梨は気づいた。
自分が何故金田が気になって、引かれたのかを。
金田さんは全然飾らずにいつもそのまんまなんだ。
私にどう思われるとか関係なく、金田さんなんだ。
いつも動じず、飄々とマイペースな金田、
他の男のように杏梨に媚びることはなかった。
無理して話を合わせたりもなかった。
ただ、じっと杏梨自身を見ているようだった。
ああ、私はいつも真っ直ぐに自分自身を生きている彼だから好きになったんだ。
金田さんは…、こんな私の事好きですか?
少し崩れた化粧を落としながら、杏梨は自分にできることを考えていた。
帰り際の金田の言葉が頭の中で繰り返される。
「そっか、まぁでも寂しくなったらそうたくんにしてもらえな」
あんなに、あんなに昨日は、らぶらふだったのに、金田は私がそうたにしてもらっても気にしないのだろうか?
それとも何か気に触る事をしてしまったか。
たこやきは他の男に教えてもらい、
気に入らない映画を無理やり観させ、
勝手に酔っ払ったあげくに、
他の男に電話
朝まで爆睡
もしかしたらえっちも気に入らなかったかもしれない。疲れている金田を無理させてしまったかもしれない。
私、何もかもだめじゃん…。
幸せだった昨日が嘘のように消えていく。
熱い頭を氷水につけたようにどんどん冷えきっていく。
あっ鍵…閉めないと。
金田は鍵を持っていないので、玄関は開けっ放しだ。
杏梨は丁寧に畳んであった重ねて服を順に来た。
金田さん…結構、几帳面?
玄関にいって鍵を閉める。
リビングに行くと、飲み散らかしたワインは綺麗に片付けられ、食器は洗われていた。
片付けてくれたんだ。さらに申し訳ない。
取り急ぎ、金田にメッセージを送る。
杏梨: 片付けありがとうございました。色々とすみませんでした。
ぺこぺこと頭を下げるスタンプもつけておいた。
あー、やっちゃった。
二日酔いか少し頭が痛い。
折角そうたが手伝ってくれたのに、失敗しちゃった。そういえば、金田さん、そうたと何話したんだろう?
電話してからの金田は様子が違った。
そうたにメッセージを送る。
杏梨:そうた、昨日はいきなりほんとうにごめんね。
そうたからすぐ返事がきた
そうた:大丈夫だよ~
杏梨:金田さんと何話したの?
そうた:特になにも。杏梨は心配しなくていいよ
杏梨: またそうたにしてもらえみたいにいわれちゃった…
そうた:杏梨は大丈夫だよ
その後も何を言ってもそうたは大丈夫と言うばかりで、訳がわからなかった。
ぼんやりとテレビをつける。
すると、そこには杏梨の好きなお笑い芸人がでていた。
「あっじんちゃんだっ!」
じんちゃんはコンビを組んでいるお笑い芸人だ。顔が特徴的で一般的には悪い意味で目立つ。
しかし、じんちゃんは容姿でいじめられたこともないし、むしろ見た目でいじられてもとてもポジティブに言葉をかえすのだ。
女の人を口説くのも積極的らしい。
杏梨は自分に自信がないから努力している。
食事も運動もスキンケアもメイクも、全ては弱い自分を守るための防御だ。
きれいじゃない自分は誰にも好かれない。きれいでいなくてはいけない。そんな思いを抱えてずっと頑張ってきた。全ては自分のために。
でも、じんちゃんをみていると、飾らないありのままの自分を好きなってくれる人がいればいいと思った。
じんちゃんが努力していないの訳ではない。
じんちゃんにしかわからない悩みもあるだろう。目に見えるものだけが、その人の本心をあらわしている訳がない。
顔が全てという訳でもない。
ただ、ありのままの自分の存在に自信がもちたくて、杏梨はじんちゃんをみていると勇気づけられた。
私も堂々としたい。何もしなくても自分を好きになりたい。
あっ…急に杏梨は気づいた。
自分が何故金田が気になって、引かれたのかを。
金田さんは全然飾らずにいつもそのまんまなんだ。
私にどう思われるとか関係なく、金田さんなんだ。
いつも動じず、飄々とマイペースな金田、
他の男のように杏梨に媚びることはなかった。
無理して話を合わせたりもなかった。
ただ、じっと杏梨自身を見ているようだった。
ああ、私はいつも真っ直ぐに自分自身を生きている彼だから好きになったんだ。
金田さんは…、こんな私の事好きですか?
少し崩れた化粧を落としながら、杏梨は自分にできることを考えていた。
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