杏梨ちゃんは癒されたい

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ご飯を食べてもらいたい 4月29日

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杏梨の家でそうたがご飯を食べている。

金田のために用意したご飯が無駄になったので、お願いして食べに来てもらったのだ。

最近、そうたは痩せた。顔色もあまり良くない。杏梨は食事をちゃんととれているか心配になっていた。





杏梨:ご飯作りすぎちゃった。そうたの好きなれんこんのきんぴらもあるよ

そうた:へぇ~いいな。

杏梨: 食べたければ、明日、私んちに集合!

そうた: えー

杏梨: 来てねー

いちご大福人の金田が帰った後に、メッセージを送ったのだ。

金田さんのばーかっ!
杏梨は心の中で悪態をついて眠りについた。



そして、今、目の前にそうたがいる。
美味しい美味しいっと言いながら、もりもりとご飯を食べている。

あ~なんか餌付けしてるみたいで可愛い。

ついつい口元がほころんでしまう。

「最近コンビニ飯ばっかで、こういうの食べたかったんだよ~、味噌汁が心にしみる~」

そうたが泣き真似をする。

「そう?よかった。
あの…そうた、言いたくなかったらいいんだけど…彼女さんは?」

メッセージを送った後に、今日が祝日だと気づいた。大学生なら休みだろう。もしも、邪魔をしてしまったなら申し訳ない。

毎回のことながら、ついつい自分勝手にそうたを頼ってしまう自分が杏梨は情けなかった。
こんなに弱くなかったはずなのに、ごめんねそうた

そうたは食べるのをやめ、
「あー彼女…は別れたいって言われて、嫌いって言われたんだ。
だから~もう彼女はいないから気にしなくていいよっ」
悲しそうに言った。

「俺料理しないから、こういうご飯本当に身も心も癒されるわ~杏梨ちゃんさいこーっ」
わざと声を明るくして、言ってくれる。

そうたは優しい。杏梨の心がじわ~と温かくなった。

「ふふっそうたが美味しいって食べてくれるの嬉しい。」
「金田さんは食べたことないよ~」
自嘲気味に言ってしまう。

「んっなんで?」

「外食ばっかでお家デートしたことない。昨日初めて家に来たけど、いちご大福人で滞在時間10分だったの」
なぜか頭の上にいちご大福をのせた金田の姿が思い浮かんだ。絶対に現実ではあり得ない光景だ。

「はっ?どういうこと?」

杏梨は昨日の出来事をそうたに伝えた。

慰めてくれると思ったが、返ってきたのは反対の反応だった。

「ふっ杏梨、めっちゃ好かれてるじゃん。どんな冷酷彼氏だよって思ってたけど、心配してた俺がむしろかわいそうだわ~」

笑いながら言うそうたに杏梨は意味がわからなかった。

「えっ?でもすぐ帰ったよ」
「金田さんは仕事で朝早かったのと、もしかして杏梨も仕事だと思ったんじゃないか?」

「いちご大福1個だったよ」
「自分がもらったのを食べずに大事に杏梨に持ってきたからだろ?」

「可愛くしたのに、何もしてこなかったよ?脚は寒いとか言われるし」
「一回触ったらずっと触りたくなるだろ?脚は風邪引かないか心配したんじゃないか?」

そうたははぁーっとため息をついた。
「ねぇ、杏梨ってこんなおばかな子だっけ?面白いんだけど」
けらけらと笑いだす。

「いちご大福とかもろ杏梨が好きそうなものじゃん?甘いものすきって教えた?」
「教えてないよ?」

「一緒に食べたことは?」
「一緒に食事いくといつもデザートがでてくるかな」
なぜかいつもいつの間にか注文されている。

「それだわ~杏梨は普段はしっかりしてるのに、甘いの食べるときものすごく顔がゆるんで幸せそうで可愛いんだよな~」
「食べてるときじっと見られてるだろ?」

確かに…視線を感じることはある。

「あっちだって、他に男作るって言われて、どきどきしてたんじゃないか?」

「杏梨も歩みよらないと他の男と遊んでると思われちゃうぞ?
あー今俺といるけど、ごめんな」

そうなんだろうか?
そうなんだろうか?
女友達には恋愛話はしない。自慢だと思われて悪口を言われたことがあるからだ。

金田の話を具体的にしたのはそうたが初めてだ。

私少しは好かれてるんだろうか?

「せっかくGW始まるし、一緒にいたいって言ってみたら?
もし、冷たくされて傷ついたら、俺が責任とって癒すから…どんといけっ!」

善は急げだ~と言うそうたの横で
杏梨はスマホを握りしめた。

杏梨: 
金田さん、お仕事中にすみません。
忙しいのに昨日は来てくださってありがとうごさいました。とても嬉しかったです!
GWお時間あるときありますか?
私は金田さんと一緒にいたいです。人混みとか嫌だったら、良かったらまた私の家に来ませんか?


杏梨はどきどきしながら、送信ボタンを押した。










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