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第6章
(番外編) 2人だけの週末② 7月31日
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こおりの眠りは、身体にしがみついてきた彼女の腕の力で妨げられた。
うっすらと目を開けると、あいりが顔をしかめて、自分の身体にすがっていた。こおりは一気に目覚める。
「あいり。どした?痛い?」
彼女の腰に手を当てると、か細い返事が聞こえる。
「薬、切れちゃったみたい。そうちゃん、ごめんね。おトイレ行きたいの」
「ずっと我慢してた?気づかなくてごめんな」
ゆっくり起き上がるのを手伝い、彼女をお姫様抱っこすると彼女が「あっ」と声をあげた。
「どした?痛かった?」
返事は先程の声より更にか細いものだった。
「そうちゃん、あの、ごめんなさい。ベット汚しちゃったみたい。お洋服も」
なんだ、そんなことかと思い、肘でドアを開けてトイレへと急ぐ。
「そんなの全然いいよ。それだけきっと痛かったよな。杏梨がくれたナプキン、トイレに置いてあるから。専用のゴミ箱無くてごめんな。代わりに袋置いてるから」
気にしなくていいのに、あいりは自分がトイレに行くことよりも、こおりの服や身体を汚していないか気にしている。
「大丈夫だよ。いいからトイレ行きな?着替え新しいの持ってきて、ドアの前に置いとくから。もし立てなかったら嫌かもだけど、トイレの中入るから呼んでな?」
あいりは頷いてトイレの中によろよろと消えて行く。
こおりは急いであいりが着れそうな服を探し、「置いとくよ?」と声を掛けてドアの前に置いた。
お湯を沸かしながら、薬を飲む前に食べれそうなものはあるか、キッチンを探し回る。
前にあいり用に買ってあったスープやゼリー飲料なら食べやすいかもしれない。
温かいハーブティーを淹れて、あいりの様子を見に行ってみる。
「あいり、大丈夫?」
彼女から返事はなくて、こおりはドアをノックした。それでも返答はない。
「あいり、ごめんな。入るよ?」
鍵はかかっていなかった。少しだけ開けて中を見ると、彼女は壁にもたれかかり床にへたりこんでいた。服がそのままなのを見ると、そこまでもたどり着けなかったようだ。
「あいり、大丈夫か?ごめんな、もっと早くくれば良かった」
ドアを開けて、彼女を抱き起こして顔を見ると、彼女は目をつぶって震えながら、静かに涙を流していた。
こおりはトイレの内外を行き来して、あいりを手伝った。
あいりが何回も「ごめんなさい」しか、言わないので、
こおりは彼女に「ありがとうって1回言ってくれれば十分だよ」と言って、ソファーに寝かしたあいりの頭を撫でた。
食べ物を食べさせようとしたが、あいりが気持ち悪いといって拒むので、温かいお茶と数口のゼリー飲料で妥協する。鎮痛剤を飲ませてベットのシーツを替えに行った。彼女が必要なときに直ぐとれるように、ティッシュや嘔吐用の袋、飲み物等を用意して部屋を整えた。
「あいり、ベット行こうか」
首が少し動くのが見えたので、こおりは再び彼女を抱いて寝室に戻った。寝かせて、タオルケットを掛けるとあいりの手がこおりの腕に触れる。
あいりの手は夏なのにひんやり冷たかった。
「どした?」
「そうちゃん、わがまま言ってもいい?」
彼女と目線を合わせて、「もちろんいいよ」とこおりは優しく言う。
「寂しいから隣にいてほしいの」
あまりに簡単な我が儘だったので、こおりは一瞬何を言われたのかわからなかった。
固まったこおりにあいりは「だめ?」と言いながら、触れていた肌の接触面積を多くする。
「もちろんいいよ。洗濯と買い物のときだけ、少しいなくなるのはいい?」
「ずっといてくれなきゃ……やだ」
あいりが濡れた目でじっと見つめてくるので、こおりはスマホを手の届く場所に置いて、あいりの隣に滑り込む。
「あいりちゃん、ここでスマホから必要なものネット注文するのはいい?あんまりずっと酷ければ明日一緒に病院いこうね?」
「んー……」
あいりが返事代わりにくっついてきたので、こおりは彼女の身体を受け入れた。
うっすらと目を開けると、あいりが顔をしかめて、自分の身体にすがっていた。こおりは一気に目覚める。
「あいり。どした?痛い?」
彼女の腰に手を当てると、か細い返事が聞こえる。
「薬、切れちゃったみたい。そうちゃん、ごめんね。おトイレ行きたいの」
「ずっと我慢してた?気づかなくてごめんな」
ゆっくり起き上がるのを手伝い、彼女をお姫様抱っこすると彼女が「あっ」と声をあげた。
「どした?痛かった?」
返事は先程の声より更にか細いものだった。
「そうちゃん、あの、ごめんなさい。ベット汚しちゃったみたい。お洋服も」
なんだ、そんなことかと思い、肘でドアを開けてトイレへと急ぐ。
「そんなの全然いいよ。それだけきっと痛かったよな。杏梨がくれたナプキン、トイレに置いてあるから。専用のゴミ箱無くてごめんな。代わりに袋置いてるから」
気にしなくていいのに、あいりは自分がトイレに行くことよりも、こおりの服や身体を汚していないか気にしている。
「大丈夫だよ。いいからトイレ行きな?着替え新しいの持ってきて、ドアの前に置いとくから。もし立てなかったら嫌かもだけど、トイレの中入るから呼んでな?」
あいりは頷いてトイレの中によろよろと消えて行く。
こおりは急いであいりが着れそうな服を探し、「置いとくよ?」と声を掛けてドアの前に置いた。
お湯を沸かしながら、薬を飲む前に食べれそうなものはあるか、キッチンを探し回る。
前にあいり用に買ってあったスープやゼリー飲料なら食べやすいかもしれない。
温かいハーブティーを淹れて、あいりの様子を見に行ってみる。
「あいり、大丈夫?」
彼女から返事はなくて、こおりはドアをノックした。それでも返答はない。
「あいり、ごめんな。入るよ?」
鍵はかかっていなかった。少しだけ開けて中を見ると、彼女は壁にもたれかかり床にへたりこんでいた。服がそのままなのを見ると、そこまでもたどり着けなかったようだ。
「あいり、大丈夫か?ごめんな、もっと早くくれば良かった」
ドアを開けて、彼女を抱き起こして顔を見ると、彼女は目をつぶって震えながら、静かに涙を流していた。
こおりはトイレの内外を行き来して、あいりを手伝った。
あいりが何回も「ごめんなさい」しか、言わないので、
こおりは彼女に「ありがとうって1回言ってくれれば十分だよ」と言って、ソファーに寝かしたあいりの頭を撫でた。
食べ物を食べさせようとしたが、あいりが気持ち悪いといって拒むので、温かいお茶と数口のゼリー飲料で妥協する。鎮痛剤を飲ませてベットのシーツを替えに行った。彼女が必要なときに直ぐとれるように、ティッシュや嘔吐用の袋、飲み物等を用意して部屋を整えた。
「あいり、ベット行こうか」
首が少し動くのが見えたので、こおりは再び彼女を抱いて寝室に戻った。寝かせて、タオルケットを掛けるとあいりの手がこおりの腕に触れる。
あいりの手は夏なのにひんやり冷たかった。
「どした?」
「そうちゃん、わがまま言ってもいい?」
彼女と目線を合わせて、「もちろんいいよ」とこおりは優しく言う。
「寂しいから隣にいてほしいの」
あまりに簡単な我が儘だったので、こおりは一瞬何を言われたのかわからなかった。
固まったこおりにあいりは「だめ?」と言いながら、触れていた肌の接触面積を多くする。
「もちろんいいよ。洗濯と買い物のときだけ、少しいなくなるのはいい?」
「ずっといてくれなきゃ……やだ」
あいりが濡れた目でじっと見つめてくるので、こおりはスマホを手の届く場所に置いて、あいりの隣に滑り込む。
「あいりちゃん、ここでスマホから必要なものネット注文するのはいい?あんまりずっと酷ければ明日一緒に病院いこうね?」
「んー……」
あいりが返事代わりにくっついてきたので、こおりは彼女の身体を受け入れた。
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