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第3章
大事なもの 6月21日
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「私のせいで全然寝れなかったよね。ごめんね。こおりくんの前でなんないようにずっと我慢してたのに。なんで、私こんなに駄目なんだろう」
翌朝、疲れた顔で泣きそうになりながらそう言うあいりに、こおりは申し訳なくて仕方がなかった。
「1人で苦しませて、悩ませてごめん。これからは苦しいのちゃんと見せて?ごめんな」
何が恋の応援だ。そんなことよりすべき事が自分にはあった。
「今日は早く戻れるようにするから」
本当は1人にさせたくなかったが、これからのためには仕方がなくて、身を切る思いで家を出た。
出社したこおりは、一番に上司に相談しに行った。
こおりが働く会社は小さい会社だ。実はその中でも数人は子育て等の理由でリモートで働いている。こおりは上司に自分もリモートワークをしたい旨を伝えた。
「何か事情があるのか?
知ってるとは思うが、リモートだとなかなか新規のプロジェクトは任せにくくなる。新しいことは会社内で直接打ち合わせしながら、調整していくことも多いからな。
最近、仕事も意欲的で職員からの評判も良かったから期待してたんだけど、いいのか?今はあまり変わらないが、後々の給与にも関係してくるぞ?時代的にリモートに移行はしていく流れではあるから、絶対とは言えないけど、今現在の状態からは出世のチャンスが少なくなるとは思う」
上司は優しかった。そう言われることもわかっていた。でもこおりの心は決まっていた。
「はい、それでも今大事にしたいことがあるんです。申し訳ありません。もちろん今やっている仕事には支障がないようにします。よろしくお願いします」
真っ直ぐなこおりの目に、上司は「応援するよ。準備整ったら今日からリモートでいいから、早く帰んなさい」と優しく言ってくれた。
段ボールに会社の荷物を抱えて、家に着いたのは15時過ぎだった。お昼を食べる時間も惜しかった。あいりはびっくりしていたが、早めの帰宅に少し嬉しそうだった。
「お腹空いたでしょ?」とあいりがチャーハンを作ってくれて、2人で食べた。
「こおりくん、在宅なんて、本当に良かったの?私のせいでごめんね」
あいりが心配そうに聞いてくるので、こおりはこたえた。
「もちろん。一番大事な人の近くにいられるとか、幸せの極地。家でも仕事頑張って稼ぐから心配しないで。
もう1人では泣かせないから」
その言葉にあいりが涙ぐんだので、
「いつでも、いくらでも、今でも、俺の匂い嗅いでいいよ。安心するんだろ?」
と言ってこおりはおどけてみせた。
翌朝、疲れた顔で泣きそうになりながらそう言うあいりに、こおりは申し訳なくて仕方がなかった。
「1人で苦しませて、悩ませてごめん。これからは苦しいのちゃんと見せて?ごめんな」
何が恋の応援だ。そんなことよりすべき事が自分にはあった。
「今日は早く戻れるようにするから」
本当は1人にさせたくなかったが、これからのためには仕方がなくて、身を切る思いで家を出た。
出社したこおりは、一番に上司に相談しに行った。
こおりが働く会社は小さい会社だ。実はその中でも数人は子育て等の理由でリモートで働いている。こおりは上司に自分もリモートワークをしたい旨を伝えた。
「何か事情があるのか?
知ってるとは思うが、リモートだとなかなか新規のプロジェクトは任せにくくなる。新しいことは会社内で直接打ち合わせしながら、調整していくことも多いからな。
最近、仕事も意欲的で職員からの評判も良かったから期待してたんだけど、いいのか?今はあまり変わらないが、後々の給与にも関係してくるぞ?時代的にリモートに移行はしていく流れではあるから、絶対とは言えないけど、今現在の状態からは出世のチャンスが少なくなるとは思う」
上司は優しかった。そう言われることもわかっていた。でもこおりの心は決まっていた。
「はい、それでも今大事にしたいことがあるんです。申し訳ありません。もちろん今やっている仕事には支障がないようにします。よろしくお願いします」
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「もちろん。一番大事な人の近くにいられるとか、幸せの極地。家でも仕事頑張って稼ぐから心配しないで。
もう1人では泣かせないから」
その言葉にあいりが涙ぐんだので、
「いつでも、いくらでも、今でも、俺の匂い嗅いでいいよ。安心するんだろ?」
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