365日のこまり。

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94日目 創作の悲しさ (『犯人は私です』製作)

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 こまりは夢を見ていた。
 詳細は思い出せないが、海が出てきて、スリルがあって、何やらミステリアスな夢だった。最後は死んだ筈の女の人が生きていて終わる。脈絡も意味も何もない夢。

 でも、何だかドキドキわくわくして楽しい時間の余韻は、一言の台詞をこまりに残した。

『私が犯人です』

 頭の中にぱっと思い浮かんだのは、探偵が何故かこの一言をいう場面。それだけだった。

 ミステリーで、探偵が出てきて、推理して解決するけど何故か犯人は探偵。

 何だそれ? 

 恐らく、かなり考えればそういった内容の物語を作ることは可能であろう。

 だが、単純なことしか考えられないこまりの頭では到底無理だった。

 代わりに思い浮かんだのは、『犯人は私です』という物語。

 似ているようで異なる言葉。

 内容に至っては真逆にも近い。ただ、悲しいストーリー。

 悲しい事件があった後で、そんなのは書きたくないのに、思い浮かんだ情景を文字に直してしまう。

 止まらない止まらない止まらない。

 バットエンドの結末が読み手を不快にさせないように、厳重に防護線を張る。

 何故書いてしまったのか。
 これが創作を始めてしまったことによる弊害か。

 意図せずとも倒れたドミノは止まらない。

 創作は時として悲しい。


【今日出来たこと】
 ・登場人物のために悲しむ
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