365日のこまり。

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90日目 友達ってどこからどこまで?

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 こまりはぼんやりとしていた。

 特に今日絶対やるべきことがない平和な平日。誰からの連絡もない。それは当たり前だ。こまりが自ら全部連絡手段を絶ったのだから。

 もとよりこまりは『友達』ってどこからどこまでを言うのかがわからなった。

 特に大々的に虐められたことはないし、長期的な仲間外れになったこともない。多少1人でいる孤独な期間を過ごしたことはあるが、その間もかえって気を遣わずに楽に過ごせて苦にならなかった。

 いつも『行動に移す勇気』だけは持ち合わせているので、出会いには事欠かない。但し、一生付き合える親友とか、何でも話せるマブダチとかそういう人は出来ない。

 人間的に魅力がないのだろう、とこまりは思っている。

 一緒にいて面白くない人と仲良くしようなんて、こまりでも思わない。こまり自身嫌いな自分を何のメリットもなく好きになってくれる人なんていない。

 友情と恋愛は少し別で、こまりには恋愛の方が簡単だ。

 相手を観察して、何をしたら喜ぶのかを考察して、実行に移す。好意を伝える。

 人によっては、友達を作ることも同じことなのかもしれないが、こまりには別に思えるし上手くいかない。

 もしかしたらこまりにも友達っぽい人はいたかもしれない。

 10代の頃から文通とたまの面会を繰り返した韓国人の友達
 ――いきなり連絡が取れなくなった。誰に対してもSNSを返信していないので、何か良からぬ事があったのかもしれない。彼女が元気に生きていてくれさえすればそれでいい。

 新卒で入った職場で仲良くなった子
 ――結婚式も行ったし、出産祝いも送った。こまりがアカウントを消してから、連絡は来ていない。

 大学が一緒だった友達の多い明るい子
 ――何年もずっとほぼ毎日連絡を取り合っていたし、距離は遠かったが、時々会って遊んだ。
 今年の年賀状に『いつでも連絡待ってるね』と書かれていた。

 人よりは少ないけれど、他にも友達っぽい人はいた。

 それでも、自分から連絡して確実に喜んでくれる人が分からなくて、こまりは誰にも連絡しない。

 一生付き合える友達を持つことは、こまりの憧れだ。


【今日出来たこと】
 ・ネガティブな思考になったが、ネガティブな行動はしなかった。
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