365日のこまり。

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81日目 ラブレター

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【謝罪】シリアス回が続きますが、この作品自体はバットエンドでは終わりません。終わらせません。
 読んでて悲しい気持ちになってしまうようであれば大変申し訳ありません。今後もシリアス回は恐らく時々出てくるかと思いますが、その都度、冒頭に注意書きをしますので、無理に目を通さなくても大丈夫です。


 ラブレターを貰ったことがありますか?
 こまりはある、多分何回か。

 でも今日ポストに届いたラブレターは、読んでいて泣けてきた。
 そんなラブレターは今まで貰ったことがない。

 返事が書けない。
 書けないけれど泣けてくる。だからここに、返事を書かせてください。近日中に届いたことを知らせないといけない。


 彼は大学の同級生で部活仲間だ。
 真面目で不器用、頑張り屋。
 人間関係では努力すればする程空回り。

 何となく自分に似ているから親近感がわいた。

 でも恋愛感情はない。

 サークルも部活もこまりはいくつも掛け持っていて、バイトもやっていた。大学では限られた時間の中でもやりたいことをしたかった。

 大学生に出会いはいくらでもある。
 恋がしたかった。ときめきはいくらでも毎日転がっている。

「お前の言うことなら何でもきいてやるよ」
「何でそんなに俺のこと好きなの?」
「クリスマス予定ある?」
「部活の皆には内緒にしとこうな」

 不意打ちでされたキス
 クリスマス前の待ち伏せ
 家のポストに直接入れられた手紙
 見つからないように繋がれた手

 そんなのは何処でもある。

 でも今日の手紙の彼はそんなことしてこなかった。

 彼との再会はこまりのほんの気まぐれ。

 卒業して何年かして、何人かの友達に連絡をいれてみた。ただ、それだけ。

 彼は遠くに住んでいた。
「今度会いに行ったらデートしてくれる? 」
 と聞かれたので
「デート? それまでに彼氏出来たらデートはできないかも」
 と答えた。

 そのとき丁度5年位一緒にいた彼氏と別れた後で、こまりはフリーだった。その1-2ヶ月後には新しい彼氏が出来て、彼との再会はデートではなくなった。

 彼氏の承諾を得た上での再会。
 久々にみる彼は見るからに緊張していた。「飲んでみたい」と言われてお店に連れていったタピオカは甘過ぎて飲みきれない。

 話を聞くと鬱で仕事をしていないと。
 彼の持っている国家資格は、誰でも羨むトップレベルの資格。
 無理せずゆっくりやっていこうと明るい話をして別れた。

 彼氏公認のメッセージのやり取り。
 こまりも大概メンタル豆腐で不安定。同じような境遇の彼を励ましたり、励まされたりすることでお互いにとってプラスになると思っていた。

 こまりが新たな職種にチャレンジした去年4月、彼は同じように復職を決めた。

 段々どちらも元気がなくなり、知人の自死をきっかけにこまりは崩壊した。

【死なないから心配しないで。自分勝手でごめんね】

 以前から人と連絡するのが辛くなってきたとは伝えていたが、アカウント削除しての完全なるシャットアウト。

 何回か着信があったが、出られなかった。


 そして、今日手紙が届いた。

 書かれていたのは学生時代からの自分への思い。連絡を貰って生きる希望が持てて復職出来たこと。恩人だと思っていると。

 重くて悲しくて申し訳なくて苦しくて

 返事が書けない。


【今日出来たこと】
 ・泣く
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