365日のこまり。

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78日目 はんだ付け

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 こまりは中学生の頃、すごく好きだった感覚がある。

 思えばその感覚を再体験するのにかなりの時間を要した。

「私もやりたいんですよねー。やらせてくれないかなぁ。無理かなぁ……あー、でも一回でいいからやらせてもらえないかなー」

 そんなことを短期バイトの仕事の帰り道にパートさんと話していた。パートさんはその作業が熱くてこわいらしく、共感はしてもらえなかった。特に根回しはしていない。本当だ。

「たちばなさん、今日はんだ付けしてみますー?」

 そう声をかけられたとき、とても嬉しかった。ずっとやりたかったから。

 それは短期バイトとして入った製造業の会社で、こまりは簡単な作業を行っていた。シール貼ったり、割ったり、キャップつけたり。

 はんだ付けは中学生の頃にラジオか何かを作って以来したことがなかった。

 あの金属が溶ける不思議な感覚。本当に楽しい!快感!

「えっえっえっ、いいんですか!めっちゃ嬉しいです!いつの間に私の心読んだんですかー?」

 腕に金属が飛んで熱いとかどうでも良いくらい楽しくて、そして案外上手かったらしく、しばらくはんだ付けをすることができた。

 10円玉位の範囲に15個位の部品を綺麗につけなくてはいけないときは、苦しんだけれど。達成感はやばかった。

 本当に楽しかった。

 はんだ付け、またやりたい。マジで。

 マジで。


【今日できたこと】
 ・楽しい思い出を思い出す。
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