365日のこまり。

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53日目 涙と冷たさに耐えても食べたいハンバーグ

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 冷たい。もう止めたい。

 こまりは右手の冷たさに耐えていた。正直もうそろそろ止めてもいいかなと思ったけれど、いかんいかんと首を振り、挽き肉を捏ね続ける。

 こまりはハンバーグを作っていた。

 挽き肉系の料理は好きだ。ハンバーグも餃子も焼売も。ただ、冷蔵庫で冷やされた挽き肉を捏ねる作業は好きにはなれない。最初は良くても段々冷たさが増してくる。この作業は苦行である。

 玉ねぎのみじん切りも苦手だ。細かくなった彼らはぽろぽろと好き勝手に散らばるし、涙が出てくる。フードプロセッサーを使ってもいいのだが、前に使ったときに粉砕され過ぎてペースト状になってしまった。

 そんな数々の苦難を乗り越えてまで、こまりはハンバーグが食べたかった。何故なら好きだから。

 絹豆腐でかさ増ししたので、少し柔らかくはなるがたっぷりと食べられる。大根おろしとお肉に合う専用のポン酢もスタンバイオーケーだ。

 ナスの味噌汁に中華春雨サラダも作ってある。

 今日は大根おろしの和風ハンバーグ。君に決まり。

 出来上がったハンバーグのタネを冷蔵庫にしまい、手を良く洗ったこまりはお茶を入れて一服した。


【今日できたこと】
 ・日々夏に近づく中で冷たさに耐える。
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