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48日目午後 自らのために身を捧げる
しおりを挟むこまりは早めに家を出た。到着したのは予約の15分前。少し早いが、事前にすることがあるのはわかっていたので中に入った。
こまりは献血センターに来ていた。
質問事項に答えて、体重測定をして医師の問診を受ける。事前の採血で問題なければ、献血が行える。
今日は成分献血予定だ。身長が低いこまりは、体重が足りないので400mlの全血献血はできない。成分献血をすることが多い。
薬を飲んでいたり、体重が40キロに満たないと献血は行えない。できた時はあったはずなのに、何だかんだしていたら、6年もご無沙汰してしまった。
人様に自分の身体の成分を捧げるのだから、当然下手なものは差し出せない。今は薬も飲んでいないし、体調も申し分ない。そのため、ようやく献血に来ることができた。
献血前後は至れり尽くせりだった。事故が起こらないようにスタッフの方がずっと見ていてくれる。水分補給も推奨される。成分献血は多少時間がかかるので、テレビやDVDを観ることができる場合も多い。
ただ、別にこまりは献血が好きな訳ではない。針で刺されるのは苦手だし、血が抜けていく感覚はもっと苦手だ。刺されるときはいつも顔を背ける。
では、何故献血をするのか。それは自分のためだ。それは別に自分が今後献血を必要としたときのためではない。自分の周りの人が献血を必要としたときに、引け目を感じず、自分が後悔しないようにするためである。別に人に良く思われようとか、人のためになりたいとか、そういうのではなく、ただ、自分のために献血をする。
献血はしようと思ったときにいつでも出来る訳ではない。年齢も体重も既往歴も海外渡航歴もその他もろもろも、基準を満たしていなければ献血はできない。
また献血をしたら、一定期間をあけなければ、献血はできない。つまり、人生で献血できる最大の回数は決まっていて、それは減ることはあっても増えることはないのだ。
だから、暇人の今がチャンス。こまりは今献血をする。自分が後で後悔しないために。
100回位してみたいな。
簡単な採血結果も時系列で確認できるし。
帰宅したこまりは本日の夕御飯を決めた。
トマトと梅の冷製カッペリーニ
すでに作ってある副菜は一緒に食べればいい。
献立理由は単純。ただ、食べたくなったから。
こまりは今日も欲望のままに生きている。
【今日できたこと】
・外に出て少し人と話した(問診等)
・ありがとうといわれた
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