365日のこまり。

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41日目 毛

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 『毛』
 それは身体を守るために日々成長し、皮膚の表面に鎮座するもの。
 彼らはいわば身体を守る兵隊ともいえよう。

 しかし、世の中には無駄毛と呼ばれる毛がある。
 毎日無惨に剃られていく毛もある。
 ダンディーさをアピールするために、選別され伸ばされる毛もある。
 永久に脱毛される毛もある。
 溶かされて排水溝に消えていく毛もある。
 朝剃っても、夜には存在を主張する生命力にあふれた毛もある。

 毛  それは赤ちゃんにもご老人にもあるもの。

 時として、自在に色彩変化し、人々を楽しませ、また悲しませる。

 それはある34歳の女性の毛の物語。

 ◆

 最近サボってたから、何か短くなった気がする。
 高校生位のときからずっと大事に育ててるのに。
 液ずっと塗ってるのに。

 なぜー?

 こまりはまつ毛に美容液を塗っていた。

 髪の毛、眉毛、脇毛、腕や足、指の毛

 色々な毛が生えているが、こまりが20年近く、大事に毎日美容液を塗り続けて、育てているのはまつ毛だけだ。

 お化粧めんどいし、マスカラ塗るの苦手だし、私は何よりも長い期間君たちを育ててきたのよー?

 ふいに目を擦って、選りすぐりの長めの子が役目を終えて抜けていくと悲しくなる。

 毛差別、毛区別は申し訳ないけど許してよ。ごめんね。エチケットなのよ。

 こまりは丁寧にまつ毛美容液を塗った。

 ぬりぬり。

 塗っていたブラシの方に毛がついてきて、こまりはため息をついた。

【今日できたこと】
 ・役目を持って生えてきてくれた毛に謝る。

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