365日のこまり。

tonari0407

文字の大きさ
上 下
37 / 103

38日目 言いたいことは笑いと共に伝えたい(タコヤキ・マン製作)

しおりを挟む
 こまりは久々にフィットネスバイクを濃いでいた。

 長く放置プレイをされて、俺は寂しかったぜ、お嬢ちゃん。

 フィットネスバイクはそう言っている気がした。少しペタルのネジがゆるんでいて、音がしたのでしめなおした。

 適度に負荷をかけた状態のペダルを回しながら、こまりはスマホを手に持っていた。

 何か、思い浮かんだわ。

 こまりはスマホに文字を打ち始めた。

『タコヤキ・マン』
 それはこまりが数年前に戯れに描いた絵だ。何となく設定をつけて、3枚位ハガキに描いた。

『3ミニッツ活動ヒーロー』その言葉が何となく気に入っていた。
 物事をなし得るために頑張るのに、それが逆にやる気を奪うという矛盾が何か良かった。

 彼は、やるぞー!って武器の爪楊枝を抜くと、やる気が抜けるのだ。

 まぁ、アホらしい。でもこまりはそういうアホなことが好きだ。

 日常の中で伝えたいことを彼に代弁してもらおうと描いてみたが、思いの外、彼はへっぽこなヒーローだった。というか、ヒーローと呼べるのかさえわからない感じだった。

 1話目を書き終わったところで、フイットネスバイクが

 手ばっかり動かして、あんよは止まってるぜ、お嬢ちゃん。

 と言ってきた。

 1度に2つの事は不器用だからできないわ。と思いながら、声なら出せるかもと思って、音声入力て書くことを試みた。

 アホらしい言葉を口に出して笑わないでいられる程、こまりの笑いのツボは深くなかった。

 いや、無理だわ。

 諦めて手入力で打ち続ける。

 わしは使わんのカーイ?と部屋の隅に眠るノートパソコンが声をかけてきた。

 彼は家電量販店の店員が「動画もみるのイライラするくらい、スペック低いですけど、本当にいいんですか?」と何度も聞くほど、のんびりちゃんだ。

「勉強用なので問題ないです」といって迎え入れて、仕事を辞めてからはのんびりさせている。

 君を立ち上げている内に、スマホで打ち終わっちゃうのよ。ごめんね。とこまりは思った。

 何とか、3話まで打ち終わって、タコヤキ・マンを世に解き放った。

 自己満足のなんちゃって小説の出来上がりよ。

 伝えたいことは真面目な顔じゃなくて、笑いながらすっと心に染み透るような形で伝えたい。

 でもまだ、タコヤキ・マンでどう伝えるかわかんないわー。とこまりは思った。

 彼は限界値が低すぎる。助手のジョニーや店主の手をかりることも今後出てくるだろう。

 そろそろ、漕がないかい?お嬢ちゃん。

 フィットネスバイクが声をかける。

 こまりは音楽をかけて、バイクを漕ぎ始めた。

【今日できたこと】
 ・笑う
 ・バイクを漕ぐ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

鬼母(おにばば)日記

歌あそべ
現代文学
ひろしの母は、ひろしのために母親らしいことは何もしなかった。 そんな駄目な母親は、やがてひろしとひろしの妻となった私を悩ます鬼母(おにばば)に(?) 鬼母(おにばば)と暮らした日々を綴った日記。

ふるは ゆう 詩歌集2024

ふるは ゆう
現代文学
2023年と2024年に入選、入賞した。短歌と詩をまとめて詩歌集としました。

処理中です...