365日のこまり。

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8日目 推しを探して三千里

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推してるものはありますか?

立花こまりはありません。34歳、激しく熱したことがない生ぬるい人生です。

趣味が欲しいと言い続け、少し好きになっては気づかぬ間に熱が冷めを繰り返しています。

これがあれば、嫌なこと全部忘れられる!

そんな幸せ絶頂になれる推しが欲しい。

全く好きなものがないって訳ではないけれど、すぐ冷めるのです。ぬるいのです。

そこで「推し探しの旅」に出ることにしました。ちなみに収入なしなので、探している内はお金がかからない範囲内で探しましょう。

まずは手軽なところから…漫画を読みあさってみます。

素敵な世界を作り出してくれた漫画家さん、素晴らしい。キャラクターの成長やストーリー展開に胸が熱くなり、その一方で自分自身のダメ加減さに落ち込み、悲しい場面では一緒に涙しました。

昔は漫画で泣くことなかったのに、これは歳だろうか。

家に籠って読んでるだけなのに、人生1周してきたかのような体験だ。

次にアニメやドラマ、映画等の動画だ。スマホ画面をテレビに同期させたりもできるし、観るだけなので楽です。

ストーリーだけでなく、歌が好きになったり、世界観がより五感に働きかけてくる。スポーツ物だったりすると、ついつい身体を動かしたくなる副効果もある。また、可愛い女の子が出てくると、目の保養で心がデトックスされると共に、あんな風になりたいと目標ができて自分磨きへのモチベーションが上がる。

ただし、漫画も同様だか、こまりの心の傷に触れるテーマだと、嫌な思い出を思い出してしまう。

地雷が多すぎるな。34年の人生で地雷を増やし続けただけだった気がしてくる。


いつの間にか夕方だ。さて、今日は好きなもの見つけられただろうか。というか、スマホとテレビで完結しているのでほぼ動かず1日が終わってしまった。

うん、あの人は可愛かったし、あの人は格好良かったし、楽しかった。

さて、今後も継続して推していけるだろうか?

部屋をぐるりと見渡してみる。漫画に小説、キャラクターのぬいぐるみが並んでいる。
それらに統一性はあまりない。
そのとき好きで買って、幸せな気持ちになって、今も好きなものたちだ。ただ、今現在はそこまでの情熱はないかもしれない。

一過性の情熱じゃないといいきれるか。
貴重なお金を捧げられるか。
他のことは何も考えずに幸せな気持ちに浸れるか

うーん、保証はできない。元々が飽き性な性格だ。飽きる可能性は多々ある。

気長に探していこう。
今まで楽しむことに罪悪感を覚えてきたけれど、これからは積極的に自分が何が好きなのか見つけだしていこう。

楽しいお金の使い方ができるようになれば、お金を稼ぐ際にかかるストレスも上手く解消できるようになるだろう。

去年は、休みの日も何をしていても仕事が頭から離れなかった。

頭の中のオンオフボタンをパチンと押せるように、全力で推せる推しを探していこう。

酷使した目をアイマスクで温めながら、こまりはふふふと笑うのだった。


【今日できたこと】
・嫌なことを忘れて、感動できる瞬間があった。




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