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4月7日 スタートライン
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私は部屋の壁に一枚の紙を貼った。
【私、立花こまりは誓います。1年後の今日に自分を好きになっていなければ、自分の人生に終止符をうちます。20✕✕年4月7日】
立花こまり、34歳、無職、自己肯定感ゼロ。仕事は12月に辞めた。げっそりと痩せていた身体はみるみる内にまるくなり、8キロ太った。止まっていた生理は来るようになったが、嬉しくもなんともない。
今の自分が嫌いだ。というか物心ついた頃から自分を好きだったことがない。「生きたくない」という気持ちの上に立ちながら、嫌々人生を生きてきた。不謹慎な話だから周りの人には言わないけれど、「生きたい」と思っている人は本当にいるのだろうかと思ってしまう。生きたいと思える人を羨ましいと思う。
不登校からの高校中退、その後なんとか大学に進学し就職したものの仕事が続かない。ストレスで発熱したり、声がでなくなったり、逃げるように体調不良を繰り返す。生きるために働くのに、そもそも生きていたくない。
では死ねばいいのだか、死にいたるまでにはいたらず、なんと34年も生きてしまった。今後もその願いが叶うまで苦しみ続けるのだろうか。今度こそは定年まで勤めると思った仕事も辞めて、今の私は脱け殻のようになっている。自分が恥ずかしくてたまらなくなり、SNSも全て止めて人との交流をたった。
本日は暖かく天気の良い木曜日だ。洗濯をして掃除をする。ふと鏡に映った自分の顔みて、ため息をついてしまう。たるんだ頬や顎、くすんだ顔にシミが目立つ。目は充血ししょぼしょぼする。髪の毛は艶がなくぼさぼさだ。美容院に最後に行ったのはいつだろうか。
そして私は思い立つ。今は4月。春は好きだ。桜を綺麗と感じる心はまだ私にはある。もう少しだけ、もう少しだけ頑張ってみよう。
ペンをとり紙に誓いの言葉をつづった。
自分が期限と罰をつけないと動かない人間なのを私は知っているから。
【私、立花こまりは誓います。1年後の今日に自分を好きになっていなければ、自分の人生に終止符をうちます。20✕✕年4月7日】
立花こまり、34歳、無職、自己肯定感ゼロ。仕事は12月に辞めた。げっそりと痩せていた身体はみるみる内にまるくなり、8キロ太った。止まっていた生理は来るようになったが、嬉しくもなんともない。
今の自分が嫌いだ。というか物心ついた頃から自分を好きだったことがない。「生きたくない」という気持ちの上に立ちながら、嫌々人生を生きてきた。不謹慎な話だから周りの人には言わないけれど、「生きたい」と思っている人は本当にいるのだろうかと思ってしまう。生きたいと思える人を羨ましいと思う。
不登校からの高校中退、その後なんとか大学に進学し就職したものの仕事が続かない。ストレスで発熱したり、声がでなくなったり、逃げるように体調不良を繰り返す。生きるために働くのに、そもそも生きていたくない。
では死ねばいいのだか、死にいたるまでにはいたらず、なんと34年も生きてしまった。今後もその願いが叶うまで苦しみ続けるのだろうか。今度こそは定年まで勤めると思った仕事も辞めて、今の私は脱け殻のようになっている。自分が恥ずかしくてたまらなくなり、SNSも全て止めて人との交流をたった。
本日は暖かく天気の良い木曜日だ。洗濯をして掃除をする。ふと鏡に映った自分の顔みて、ため息をついてしまう。たるんだ頬や顎、くすんだ顔にシミが目立つ。目は充血ししょぼしょぼする。髪の毛は艶がなくぼさぼさだ。美容院に最後に行ったのはいつだろうか。
そして私は思い立つ。今は4月。春は好きだ。桜を綺麗と感じる心はまだ私にはある。もう少しだけ、もう少しだけ頑張ってみよう。
ペンをとり紙に誓いの言葉をつづった。
自分が期限と罰をつけないと動かない人間なのを私は知っているから。
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