7 / 7
7 若人サロン②
しおりを挟む
「なにっ! 強兵は新成人なのに、リモート・ウォーリアの戦闘訓練を受けているだとぅ…… 見かけないと思ったら、そういう事だったのか」
その話を聞いて、強兵と同い年の坂江正吉は少しショックを受けたようだ。
「普通、新成人はリモート・ワーカーの訓練から始めるもんだけどな」
「さすがは、一人だけ異次元の強さだっただけの事はあるわね、私たちはリモート・ワーカーで地下都市の拡張や修復工事をやっているのよ」
強兵の話を聞いた蒼井と環奈も、興味深そうに驚いている。
「リモート・ワーカーというのは、なんです?」
「武装が付いてない作業用のロボットだよ、リモート・ウォーリアとほぼ同じ立体スクリーンの操縦席から遠隔操作できる」
「オレたちの先輩方は、いまのフソウよりも安全な深層の地下に、新たな都市を建設しているんだ」
「でも、強兵がリモート・ウォーリアの訓練センターに配属されたとは驚いたな、今のフソウではリモート・ウォーリアでの戦闘よりも地下都市での繁栄に力を入れているからな」
「乱暴な言い方をすれば、人工太陽とエターナルがあれば、人類は地下で生きていかれるんだからな」
強兵は、自由領域が宇宙人との戦闘に備えて緊迫している様子を想像していたので、意外に感じた。
彼が、今受けている訓練は、近く行われる少数のリモート・ウォーリアによる地上の強行偵察を想定したものである。
もちろんその事を外部に漏らすことは出来ないが、みんなが地上のことについて、今どう思っているのかとても興味があった。
「自由領域の人たちは、地上の事について普段どう思っているんです? リモート・ウォーリアを使って地上の事を調べたらいいんじゃないでしょうか?」
「ああ、そういう話はもう何年も前から聞くけど実際は難しいだろうね、フソウの事が地上にバレるリスクも多少あるし、なんといっても市長が、宇宙人との戦闘に反対しているんだからね」
市長が、宇宙人との戦闘に反対している! 強兵は意外すぎる話に仰天した。
「でも、地上の事について調査したり、宇宙人との戦闘に備えたりするのは必要な事だと思う、オレだって、今でも工事の作業をしながらリモート・ウォーリアの操縦技術を磨いているんだからな!」
蒼井勇輝は、いつでもフソウのために戦えるように鍛錬を続けているのだった。
さすがは強兵の尊敬する兄貴分の蒼井先輩である。
「あっ! それと訓練センターに、個別居住領域では聞いた事がない強い操縦者がいるのですが、あの人たちはいったいどうなっているんでしょう?」
「それは、たぶん自由領域で育った人間だろう、自由領域にも例外的に子供がいるんだよ」
「一般的には、有力者の家系の子孫だよ」
有力者の子孫! それを聞いて強兵は、納得した。
三船水樹は長官の娘だし、もしかしたら七海ヒビキも、有力者の子供なのかもしれない。
「良かったら、場所を代えて別の所で話さないか? ここは混雑していて、どうもいけない」
「街の中をドライブするのもいいんじゃない?」
蒼井と環奈の提案により、数人で街の中に繰り出す事になった。
自由領域では、自動運転の無人タクシーが市民の交通手段になっていて、自分で運転しなくても目的地に行く事ができる。腕時計型の端末を使って空いている無人タクシーを呼び寄せて、好きな時に利用する事ができるので、個人でクルマを所有する必要もないのである。
蒼井勇輝が、目的地をドライブにセットすると、強兵たちを乗せた無人タクシーは、滑らかに加速し始めた。
訓練センターと自分の部屋を行き来するだけの生活だった強兵にとっては、新鮮な体験である。
しばらく走っても、地底の中を未来的な建物が、どこまでも続いていて壮観である。それらは、人工太陽に照らされて昼間の地上のように明るい。
「わぁぁーー!」
フソウの都市は、強兵が想像していたよりも発展していて大きかった。ざっと見ただけで、ありとあらゆる食べ物の店や、コンビニにスーパーなどの販売店、映画館やテーマパークなどの娯楽施設、おもちゃ屋や模型店まである。
「自由領域では、意外と娯楽が発達しているんですね」
「窮屈な地下での生活には、娯楽が重要だからね」
地下都市の中で、新しい文化が花開いると言ってもいいだろう。
だが、これは本当の繁栄なのだろうか? 強兵は、外の景色を眺めながら、心の中がモヤモヤした気持ちになった。
その話を聞いて、強兵と同い年の坂江正吉は少しショックを受けたようだ。
「普通、新成人はリモート・ワーカーの訓練から始めるもんだけどな」
「さすがは、一人だけ異次元の強さだっただけの事はあるわね、私たちはリモート・ワーカーで地下都市の拡張や修復工事をやっているのよ」
強兵の話を聞いた蒼井と環奈も、興味深そうに驚いている。
「リモート・ワーカーというのは、なんです?」
「武装が付いてない作業用のロボットだよ、リモート・ウォーリアとほぼ同じ立体スクリーンの操縦席から遠隔操作できる」
「オレたちの先輩方は、いまのフソウよりも安全な深層の地下に、新たな都市を建設しているんだ」
「でも、強兵がリモート・ウォーリアの訓練センターに配属されたとは驚いたな、今のフソウではリモート・ウォーリアでの戦闘よりも地下都市での繁栄に力を入れているからな」
「乱暴な言い方をすれば、人工太陽とエターナルがあれば、人類は地下で生きていかれるんだからな」
強兵は、自由領域が宇宙人との戦闘に備えて緊迫している様子を想像していたので、意外に感じた。
彼が、今受けている訓練は、近く行われる少数のリモート・ウォーリアによる地上の強行偵察を想定したものである。
もちろんその事を外部に漏らすことは出来ないが、みんなが地上のことについて、今どう思っているのかとても興味があった。
「自由領域の人たちは、地上の事について普段どう思っているんです? リモート・ウォーリアを使って地上の事を調べたらいいんじゃないでしょうか?」
「ああ、そういう話はもう何年も前から聞くけど実際は難しいだろうね、フソウの事が地上にバレるリスクも多少あるし、なんといっても市長が、宇宙人との戦闘に反対しているんだからね」
市長が、宇宙人との戦闘に反対している! 強兵は意外すぎる話に仰天した。
「でも、地上の事について調査したり、宇宙人との戦闘に備えたりするのは必要な事だと思う、オレだって、今でも工事の作業をしながらリモート・ウォーリアの操縦技術を磨いているんだからな!」
蒼井勇輝は、いつでもフソウのために戦えるように鍛錬を続けているのだった。
さすがは強兵の尊敬する兄貴分の蒼井先輩である。
「あっ! それと訓練センターに、個別居住領域では聞いた事がない強い操縦者がいるのですが、あの人たちはいったいどうなっているんでしょう?」
「それは、たぶん自由領域で育った人間だろう、自由領域にも例外的に子供がいるんだよ」
「一般的には、有力者の家系の子孫だよ」
有力者の子孫! それを聞いて強兵は、納得した。
三船水樹は長官の娘だし、もしかしたら七海ヒビキも、有力者の子供なのかもしれない。
「良かったら、場所を代えて別の所で話さないか? ここは混雑していて、どうもいけない」
「街の中をドライブするのもいいんじゃない?」
蒼井と環奈の提案により、数人で街の中に繰り出す事になった。
自由領域では、自動運転の無人タクシーが市民の交通手段になっていて、自分で運転しなくても目的地に行く事ができる。腕時計型の端末を使って空いている無人タクシーを呼び寄せて、好きな時に利用する事ができるので、個人でクルマを所有する必要もないのである。
蒼井勇輝が、目的地をドライブにセットすると、強兵たちを乗せた無人タクシーは、滑らかに加速し始めた。
訓練センターと自分の部屋を行き来するだけの生活だった強兵にとっては、新鮮な体験である。
しばらく走っても、地底の中を未来的な建物が、どこまでも続いていて壮観である。それらは、人工太陽に照らされて昼間の地上のように明るい。
「わぁぁーー!」
フソウの都市は、強兵が想像していたよりも発展していて大きかった。ざっと見ただけで、ありとあらゆる食べ物の店や、コンビニにスーパーなどの販売店、映画館やテーマパークなどの娯楽施設、おもちゃ屋や模型店まである。
「自由領域では、意外と娯楽が発達しているんですね」
「窮屈な地下での生活には、娯楽が重要だからね」
地下都市の中で、新しい文化が花開いると言ってもいいだろう。
だが、これは本当の繁栄なのだろうか? 強兵は、外の景色を眺めながら、心の中がモヤモヤした気持ちになった。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる