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2 救世主あらわる①
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ここは自由領域にあるリモート・ウォーリアの訓練センターである。
巨大なスクリーンに映し出された訓練中のリモート・ウォーリアを、詰襟の制服を着た数人の男たちが見上げていた。
広大な部屋の前方の一段低くなっているフロアーに、等身大のロボットを動かすにしては大掛かりな密封型のコックピットが複数台設置され、この中で操縦の訓練を行なっているのだ。
コックピットは本物とまったく同じものだが、スクリーンやモニターに映し出される映像は本物と同じように再現されたCGが使われている。
訓練センターのリモート・ウォーリアは強兵たちがしていたゲームのロボットに似ているが、さらに洗練されている。人間がヘルメットを被っているかのような目や鼻も口も無いシンプルな頭部のデザインは精悍な感じになっているし、肩には何に使うのかわからない小型のドリルが半分格納された状態で装備されている。色も白一色以外に赤や青などもあって、胸の部分にはコックピットと同じ番号が大きく描かれていた。
「キィーン」
操縦者以外の者が見ることができる巨大スクリーンに、猛スピードで飛行する二体の恐竜型モンスターが映し出された。このモンスターは、あのゲームに出てくるシッポにリングが付いたやつと同じもののようだ。
「ドシュッ、ドシュッ、バァアアァ~ン、ジュクシー!」
胸に03と描かれた赤とグレーのツートンカラーのリモート・ウォーリアが、構えた銃から二発の光弾を発射すると、瞬時に二体の恐竜型モンスターを打ち抜いた。
「さすがは三船長官のお嬢さんですね!」
黒縁メガネをかけたインテリ風の田村が、隣にいた白い軍帽をかぶり綺麗に黒い口髭を生やした長身の男に声をかけた。
「ハハハ、身内のわたしが言うのもなんだが、動く標的に対しての射撃はフソウでも一、二を争うのだよ」
男は、風貌に似あわず照れたように気さくに笑いながら答えた。だが、この男こそ地下都市フソウを代表する責任者、三船平七郎司令長官なのである。長官と言ってもまだ若い、三十代中頃である。そして、今03号機のコックピットで操縦訓練を受けている三船水樹の父でもあった。
「バシッ、ドゴッ、バキッ!」
今度は巨大スクリーンに、02と描かれたうすいブルーのリモート・ウォーリアが、海上を舞台にモンスターと格闘している姿が映し出された。手に武器を持たずに、キックとパンチだけで相手を攻撃している。02号機がモンスターの一瞬の隙をついて強力な回し蹴りを放つとモンスターの体が吹っ飛ばされて海面に大きな水柱が上がった。それを見ていた田村が、
「七海ヒビキ――、彼の格闘戦能力もずば抜けているな」
と驚嘆していると三船長官も、
「ああ、今日やって来るもうひとりと合わせて、実践タイプのリモート・ウォーリアで地上を偵察する予定だが、最強のメンバーがそろったな」
と満足そうな笑みを浮かべた。それを聞いた田村は、なぜかちょっと驚いたように、
「もうひとりというのは、例の?」
と聞き返した。
「操縦系統の反応速度が遅い!これがリモート・ウォーリアの性能の限界なのか?」
17歳の七海ヒビキは、コックピットの中で違和感を覚えていた。ヒビキは長身の割には整った女性的な顔立ちをしていて、とある歌劇団の男役のような雰囲気の(この時代では)好青年である。
「フッ、オレの操縦技術に、リモート・ウォーリアの方が付いてこれなくなるとはな……」
ヒビキが、肩のあたりまでの長い髪をかき上げながら自分の中の世界に陶酔していると、ビィイーッと外部からの呼び出しのブザーが鳴り響いた。
巨大なスクリーンに映し出された訓練中のリモート・ウォーリアを、詰襟の制服を着た数人の男たちが見上げていた。
広大な部屋の前方の一段低くなっているフロアーに、等身大のロボットを動かすにしては大掛かりな密封型のコックピットが複数台設置され、この中で操縦の訓練を行なっているのだ。
コックピットは本物とまったく同じものだが、スクリーンやモニターに映し出される映像は本物と同じように再現されたCGが使われている。
訓練センターのリモート・ウォーリアは強兵たちがしていたゲームのロボットに似ているが、さらに洗練されている。人間がヘルメットを被っているかのような目や鼻も口も無いシンプルな頭部のデザインは精悍な感じになっているし、肩には何に使うのかわからない小型のドリルが半分格納された状態で装備されている。色も白一色以外に赤や青などもあって、胸の部分にはコックピットと同じ番号が大きく描かれていた。
「キィーン」
操縦者以外の者が見ることができる巨大スクリーンに、猛スピードで飛行する二体の恐竜型モンスターが映し出された。このモンスターは、あのゲームに出てくるシッポにリングが付いたやつと同じもののようだ。
「ドシュッ、ドシュッ、バァアアァ~ン、ジュクシー!」
胸に03と描かれた赤とグレーのツートンカラーのリモート・ウォーリアが、構えた銃から二発の光弾を発射すると、瞬時に二体の恐竜型モンスターを打ち抜いた。
「さすがは三船長官のお嬢さんですね!」
黒縁メガネをかけたインテリ風の田村が、隣にいた白い軍帽をかぶり綺麗に黒い口髭を生やした長身の男に声をかけた。
「ハハハ、身内のわたしが言うのもなんだが、動く標的に対しての射撃はフソウでも一、二を争うのだよ」
男は、風貌に似あわず照れたように気さくに笑いながら答えた。だが、この男こそ地下都市フソウを代表する責任者、三船平七郎司令長官なのである。長官と言ってもまだ若い、三十代中頃である。そして、今03号機のコックピットで操縦訓練を受けている三船水樹の父でもあった。
「バシッ、ドゴッ、バキッ!」
今度は巨大スクリーンに、02と描かれたうすいブルーのリモート・ウォーリアが、海上を舞台にモンスターと格闘している姿が映し出された。手に武器を持たずに、キックとパンチだけで相手を攻撃している。02号機がモンスターの一瞬の隙をついて強力な回し蹴りを放つとモンスターの体が吹っ飛ばされて海面に大きな水柱が上がった。それを見ていた田村が、
「七海ヒビキ――、彼の格闘戦能力もずば抜けているな」
と驚嘆していると三船長官も、
「ああ、今日やって来るもうひとりと合わせて、実践タイプのリモート・ウォーリアで地上を偵察する予定だが、最強のメンバーがそろったな」
と満足そうな笑みを浮かべた。それを聞いた田村は、なぜかちょっと驚いたように、
「もうひとりというのは、例の?」
と聞き返した。
「操縦系統の反応速度が遅い!これがリモート・ウォーリアの性能の限界なのか?」
17歳の七海ヒビキは、コックピットの中で違和感を覚えていた。ヒビキは長身の割には整った女性的な顔立ちをしていて、とある歌劇団の男役のような雰囲気の(この時代では)好青年である。
「フッ、オレの操縦技術に、リモート・ウォーリアの方が付いてこれなくなるとはな……」
ヒビキが、肩のあたりまでの長い髪をかき上げながら自分の中の世界に陶酔していると、ビィイーッと外部からの呼び出しのブザーが鳴り響いた。
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