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第一八章
レベル271 パイレーツ諸島連邦の現在
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「それで、こんな所まで避難してきたと?」
なんか定期的に逃げている気がするな。
えっ、さっさとロゥリと、ねんごろになったらいいだろだって?
冗談じゃねえ! ロゥリみたいなのが増えてみろ! それこそ、あの夢みたいにオレが齧られて、なくなっちゃうだろ!
というか正夢じゃないだろうな?
過去には、未来視という、夢で未来を知るスキルがあったらしい。
まあオレにあったら、ラピスが持っている創造神のカードに記載されるはず。
ないよな? なかったはずだよな? あいつまた、何か隠していないだろうな。
なお、オレが逃げてきた場所は、パイレーツ諸島連邦の港に浮いている空母、クイーンウィルマ号のブリッジである。
「しかし、しばらく見ないうちに、随分、人が増えているな」
そこから見える甲板の上では、大勢の人々が動き回っている。
空母の中の部屋も、ほぼ満席状態だとの事。
これ、普通の空母より広いはずなんだが。
それが埋まっているって、どんだけ~。
「船の製造には人手が大量に必要ですからね」
今、この空母では、船の製造を急ピッチで行っている。
本来、艦載機が発進するカタパルトの部分を凹型に削って、その間でメタルな船舶を製造している。
あまりにも受注が多いので、鉱石Mでは基礎部分のみを作って、あとは各自手作業という段取り。人が大勢必要になってくる訳だ。
なにせ、今までは木造船が主流だったのだが、まあ、沈没率が非常に高い事。
海の中にもモンスターがウヨウヨいる上に、海のモンスターは巨大な奴が多い。
見つかれば、木造船では太刀打ちできない。
必死で逃げるか、近寄るまでに撃退するか、どちらにしろ海に出るのは命懸けであった。
だが、我らがメタルな船舶、非常に強固である。
物自体が鉄なみの硬さを誇る上に、ラピスとダンディの知識を総動員し強度を増す加工をしているので、例えモンスターに襲われようと、沈没する事はめったにない。
そりゃもう、あちこちから注文が殺到する理由ですよ。
このメタル船を使えば、今まで見てるだけだった海洋資源を手に出来るのだ。
目の前に美味しそうなお魚さんが泳いでいるのに、見ている事しか出来ず飢えている国民。
内陸の国々からは、世界の果てと揶揄され蔑まれてきた。
一面を海という壁に遮られているので、取引できる国も少なく常に足元をみられている。
そんな海洋諸国にとっては、どんな事をしてでも手に入れたい至玉の一品。
それがあれば、海が壁でなくなり、恵みの大地となる。
もう、内陸の国々から蔑まれる事はなく、むしろ、その力関係は逆転しつつある。
この空母のおかげで、海洋諸国の経済は一変したのだ。
海辺が近いため塩害で多くの作物は育たず、食べるものにも困っていた。
海岸沿いで漁をするにも、あまり獲れない上にモンスターの襲撃まである。
だが、今や船の上からいくらでも獲り放題。
国民が食べる以上の魚介類が集まってくる。
海路を用いて、それらを様々な国へ輸出する事も可能になった。
今までは、隣接する内陸の国々以外に売れず、散々、値段を叩かれてきた。
それが、自分達で売り主を決める事が出来るようになった訳だ。
さらに、海路を利用すれば、大量に、素早く、輸送が行える。
バカにされてきた内陸の国々からも、逆に頭を下げて輸送を頼まれる次第。
今やもう、このクイーンウィルマ号は海洋諸国にとって、なくてはならない存在。
それこそ、海神様と崇め奉られるのも頷ける。
この船の中に拠点を構えれば、別に魔境を開拓する必要はないかもしれない。
「しかし、メタルな素材はどうしたんだ?」
だが、それには一つ問題があった。
そう、船舶の素材となるメタル鉱石が不足していたのだった。
メタル鉱石とは、普通に土に埋まっている訳ではなく、異世界オリジナルの鉱物。
ダンジョンと呼ばれる、迷宮でしか採れないものであった。
「ああ、それでしたら、いくつかの国でメタル製のダンジョンが見つかったらしいですよ」
それらは、今まで見向きもされていなかったダンジョン。
なにせ、洞窟全体がメタルで出来ている。
モンスターもメタル製がほとんどで、硬く、普通の攻撃が効きやしない。
態々、そんなダンジョンに向かってもいい事はない。
だったのだが、急にメタルの価値が上昇。
元々、そういった所は岩山で構成された場所がほとんどで、土地としての利用価値は低く、人も住み着かない。
だが、それが金となるとなったら話は変わる。
そんな所にある国は貧しい場合が多く、これ幸いにと発掘を推し進める。
今まで邪魔だった土地が急に金に生る木に変わったのだ。
そりゃ、力の入れようも変わってくる。
空母で作られる船舶により、海洋諸国は一気に発展を遂げる。
それにより生み出されたお金は、船の製造、メタル鉱石の購入に充てられる。
貧しかった海洋諸国や、メタルダンジョンがある国々が、一気に活気づく。
この空母一隻で巨大な経済圏が出来上がっていくのだった。
「ウサギさんが、経済で世界を支配する。なんて言ってましたけど、なんとなく分かった気がしますわね」
一部の人間だけが儲けるだけなら、それで終わりだ。
それ以上、先はない。
誰もがその一部の人間を羨み、妬み、ただ敵だけが増えていく。
だが、周りを巻き込み、大勢を豊かにする。
巻き込んだ人が多ければ多いほど、安全は高まっていく。
豊かになった人々は、自然、オレ達の味方になってくれる。
「フフッ、海洋諸国やメタル資源国、共に私が居なければ立ち行かない。それは、この竜王ウィルマが、それらの国を支配したも同然。でしょうかね?」
「悪い笑みを浮かべてるなあ……あまりやり過ぎるなよ。高く飛び過ぎた鳥は着地点を見失う、一つ間違えれば急降下だからな」
「ああ、そうでした、これをお返しないといけませんわね」
ん? これは、鉱石Mのカード。
えっ、これがないとメタル船舶を作れないんじゃね?
「ウサギさんが、大量にとって来られましたので」
そう言って複数の鉱石Mのカードを見せてくるウィルマ。
んん? ラピスじゃ普通の鉱石しかゲットできないはず。
異世界補正がかかって、モンスターの性能が元と大幅に代わるのは、オレがゲットした時だけのはず。
ラピスがゲットしても、オレのみたいに変形や変質はしないんじゃね?
「なんか、裏技を見つけたみたいですよ」
またかアイツ……ほんと、幾つ隠し事を持っているんだ。
ウサギは病気や怪我を隠す習性があるとは聞いたが、都合が悪い事を隠すのは、この習性が関わっているのだろうか。
問えばきちんと答えてはくれるんだが、話が確信に迫ると、いつも上手くはぐらかされているような気もする。
なんか定期的に逃げている気がするな。
えっ、さっさとロゥリと、ねんごろになったらいいだろだって?
冗談じゃねえ! ロゥリみたいなのが増えてみろ! それこそ、あの夢みたいにオレが齧られて、なくなっちゃうだろ!
というか正夢じゃないだろうな?
過去には、未来視という、夢で未来を知るスキルがあったらしい。
まあオレにあったら、ラピスが持っている創造神のカードに記載されるはず。
ないよな? なかったはずだよな? あいつまた、何か隠していないだろうな。
なお、オレが逃げてきた場所は、パイレーツ諸島連邦の港に浮いている空母、クイーンウィルマ号のブリッジである。
「しかし、しばらく見ないうちに、随分、人が増えているな」
そこから見える甲板の上では、大勢の人々が動き回っている。
空母の中の部屋も、ほぼ満席状態だとの事。
これ、普通の空母より広いはずなんだが。
それが埋まっているって、どんだけ~。
「船の製造には人手が大量に必要ですからね」
今、この空母では、船の製造を急ピッチで行っている。
本来、艦載機が発進するカタパルトの部分を凹型に削って、その間でメタルな船舶を製造している。
あまりにも受注が多いので、鉱石Mでは基礎部分のみを作って、あとは各自手作業という段取り。人が大勢必要になってくる訳だ。
なにせ、今までは木造船が主流だったのだが、まあ、沈没率が非常に高い事。
海の中にもモンスターがウヨウヨいる上に、海のモンスターは巨大な奴が多い。
見つかれば、木造船では太刀打ちできない。
必死で逃げるか、近寄るまでに撃退するか、どちらにしろ海に出るのは命懸けであった。
だが、我らがメタルな船舶、非常に強固である。
物自体が鉄なみの硬さを誇る上に、ラピスとダンディの知識を総動員し強度を増す加工をしているので、例えモンスターに襲われようと、沈没する事はめったにない。
そりゃもう、あちこちから注文が殺到する理由ですよ。
このメタル船を使えば、今まで見てるだけだった海洋資源を手に出来るのだ。
目の前に美味しそうなお魚さんが泳いでいるのに、見ている事しか出来ず飢えている国民。
内陸の国々からは、世界の果てと揶揄され蔑まれてきた。
一面を海という壁に遮られているので、取引できる国も少なく常に足元をみられている。
そんな海洋諸国にとっては、どんな事をしてでも手に入れたい至玉の一品。
それがあれば、海が壁でなくなり、恵みの大地となる。
もう、内陸の国々から蔑まれる事はなく、むしろ、その力関係は逆転しつつある。
この空母のおかげで、海洋諸国の経済は一変したのだ。
海辺が近いため塩害で多くの作物は育たず、食べるものにも困っていた。
海岸沿いで漁をするにも、あまり獲れない上にモンスターの襲撃まである。
だが、今や船の上からいくらでも獲り放題。
国民が食べる以上の魚介類が集まってくる。
海路を用いて、それらを様々な国へ輸出する事も可能になった。
今までは、隣接する内陸の国々以外に売れず、散々、値段を叩かれてきた。
それが、自分達で売り主を決める事が出来るようになった訳だ。
さらに、海路を利用すれば、大量に、素早く、輸送が行える。
バカにされてきた内陸の国々からも、逆に頭を下げて輸送を頼まれる次第。
今やもう、このクイーンウィルマ号は海洋諸国にとって、なくてはならない存在。
それこそ、海神様と崇め奉られるのも頷ける。
この船の中に拠点を構えれば、別に魔境を開拓する必要はないかもしれない。
「しかし、メタルな素材はどうしたんだ?」
だが、それには一つ問題があった。
そう、船舶の素材となるメタル鉱石が不足していたのだった。
メタル鉱石とは、普通に土に埋まっている訳ではなく、異世界オリジナルの鉱物。
ダンジョンと呼ばれる、迷宮でしか採れないものであった。
「ああ、それでしたら、いくつかの国でメタル製のダンジョンが見つかったらしいですよ」
それらは、今まで見向きもされていなかったダンジョン。
なにせ、洞窟全体がメタルで出来ている。
モンスターもメタル製がほとんどで、硬く、普通の攻撃が効きやしない。
態々、そんなダンジョンに向かってもいい事はない。
だったのだが、急にメタルの価値が上昇。
元々、そういった所は岩山で構成された場所がほとんどで、土地としての利用価値は低く、人も住み着かない。
だが、それが金となるとなったら話は変わる。
そんな所にある国は貧しい場合が多く、これ幸いにと発掘を推し進める。
今まで邪魔だった土地が急に金に生る木に変わったのだ。
そりゃ、力の入れようも変わってくる。
空母で作られる船舶により、海洋諸国は一気に発展を遂げる。
それにより生み出されたお金は、船の製造、メタル鉱石の購入に充てられる。
貧しかった海洋諸国や、メタルダンジョンがある国々が、一気に活気づく。
この空母一隻で巨大な経済圏が出来上がっていくのだった。
「ウサギさんが、経済で世界を支配する。なんて言ってましたけど、なんとなく分かった気がしますわね」
一部の人間だけが儲けるだけなら、それで終わりだ。
それ以上、先はない。
誰もがその一部の人間を羨み、妬み、ただ敵だけが増えていく。
だが、周りを巻き込み、大勢を豊かにする。
巻き込んだ人が多ければ多いほど、安全は高まっていく。
豊かになった人々は、自然、オレ達の味方になってくれる。
「フフッ、海洋諸国やメタル資源国、共に私が居なければ立ち行かない。それは、この竜王ウィルマが、それらの国を支配したも同然。でしょうかね?」
「悪い笑みを浮かべてるなあ……あまりやり過ぎるなよ。高く飛び過ぎた鳥は着地点を見失う、一つ間違えれば急降下だからな」
「ああ、そうでした、これをお返しないといけませんわね」
ん? これは、鉱石Mのカード。
えっ、これがないとメタル船舶を作れないんじゃね?
「ウサギさんが、大量にとって来られましたので」
そう言って複数の鉱石Mのカードを見せてくるウィルマ。
んん? ラピスじゃ普通の鉱石しかゲットできないはず。
異世界補正がかかって、モンスターの性能が元と大幅に代わるのは、オレがゲットした時だけのはず。
ラピスがゲットしても、オレのみたいに変形や変質はしないんじゃね?
「なんか、裏技を見つけたみたいですよ」
またかアイツ……ほんと、幾つ隠し事を持っているんだ。
ウサギは病気や怪我を隠す習性があるとは聞いたが、都合が悪い事を隠すのは、この習性が関わっているのだろうか。
問えばきちんと答えてはくれるんだが、話が確信に迫ると、いつも上手くはぐらかされているような気もする。
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