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第一八章
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「またもや魔皇帝が復活したか……」
円卓を囲むように集まった人々の内、一人がそう呟く。
「邪神を倒さぬ限り、あやつは何度でも蘇る」
「だが、どうやって……」
「確か邪神の弱点は、カード化されているモンスターの攻撃だったと聞く」
ここは救世会と呼ばれ、世界が危機的状況に陥った時、各国の代表が強制的に集められる場所。
人類と魔皇帝の戦いの歴史は、幾度となく繰り返されてきた。
魔皇帝は何度、打倒そうと蘇る。
ようやくその事に気づいた人類は、魔皇帝を倒すのでなく、封印する事により世界の平和を取り戻していた。
しかしそれも、邪神教徒により解かれてしまう。
今再び、戦乱の時代が来ようとしている。
「カードモンスターを大量に召喚し、邪神へ攻撃をしかけるか」
「いや待て、邪神はそのカードモンスターが増えれば増えるほど力をつけるのではないか?」
「邪神を倒すためには、カードモンスターを増やさなければならず、しかし、増やせば邪神がパワーアップしてしまう……いったい、どうすれば」
人々はこの繰り返される歴史に終止符を打つためには、魔皇帝を蘇らせている邪神を倒すしかないと、そう決意したのだった。
しかし、邪神の力は強大で、闇雲に攻撃を仕掛けても犠牲が増えるばかり。
「逆にモンスターカードを排斥すればどうか。そうすれば邪神の力も弱まろう」
「もっと早い段階、そう、それこそ最初の戦いの時にそれが出来ていれば良かったのだろう。だが、今はもう、現実的な話ではない」
モンスターカードとは、モンスターを取り込むことができる一枚の紙。
取り込んだモンスターは、カードの持ち主の指示に従い使役することができる。
今や子供から老人まで、世界中の人々が使っているカード。
生活に根付いたそのシステムを、今更、変えるというのは、それこそ電気自動車がガソリン自動車にとって代わるのより難しい事であろう。
その、カード化されたモンスターの総数が邪神のレベルとなり、増えれば増えるほど、その力は強大になっていく。
だが、邪神にも弱点があり、カード化されたモンスターの攻撃は、邪神に多大なるダメージを与える。
必然、邪神を倒すためには、カードを減らし邪神の力を削ぐか、逆にカードモンスターを増やし総攻撃を掛けるか、の2択になる。
「たった一つだけ、可能性がないことも……」
その時、一人の女性が呟く。
「かつて、ただ一体だけで邪神を追い詰めた事があるモンスター、天空を支配する白銀の竜王」
「――天竜王!?」
「そう、彼女の居場所さえ分かれば……切り札となりうる」
「天竜王のカードは邪神によって、いずこかへ隠されたという。それを何としてでも探し出すのだ!」
かくして、世界中の勇者達による、天竜王カードの大捜査網が敷かれることになった。
――――そして、それはそこあった。
天竜王の名にふさわしく、この世界で最も空に近い場所。
険しい断崖絶壁に囲まれた山々の霊峰。
その頂点にあった小さな祠に厳重なる封をされていたパンドラの箱。
これで世界は救われる。そう思って勇者達は喜び勇んで箱を開ける。
――――だが! そこから飛び出して来たのは天竜王だけではなかった!
「ガウガウ、トウチャンヒデエヨ、トジコメルナンテ!」
「ヨシッ、サッソク、カジリニイコウヨ!」
「マテマテ、クビカラウエハ、カアチャンノダゾッ」
その箱には、天竜王が生んだ無数の子供達も詰まっていたのだった!
天竜王とその子供達。その数、ざっと108ほど。
それらは一斉に飛び立って邪神の元へ向かう。
そして邪神はその子供達に齧られ、世界は平和になるのだった。
めでたしめでたし。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「って、全然めでてくねえよ!」
と、いうところで跳ね起きた。
「ガウガウ、コドモ、ヒャクニン、デキルカナァ……」
「出来てたまるかっ!」
重いと思ったら、寝言を言っているロゥリが腹の上にしがみついている。
クッソこいつ、いつの間に。
って、離れねえ。
おい、起きろ、こんな事に万有引力のスキルを使ってんじゃねえ!
「ガウゥ……ソロソロ、デキタカナ?」
目をショボショボさせながらそう聞いてくる。
なにが? えっ、子供? 出来る訳ねえだろがっ!
えっ、こうやってくついていれば出来るのだろうって?
…………ああ、そうだよ。これだけでそのうち出来る、きっと出来る。うん、真実は話さないでおこう。
エクサリーは、こないだの同盟締結の時にコンサートを開いたせいで、あちこちからお呼ばれがかかるようになり、カユサル並みに世界を飛び回っている。
オレは追放されている事になっているので付いて行けていない。
ラピスはなにやら、サキュバスのフフを連れて旅行中だ。
なんでもあの魔境山脈の向こう、フフの里帰りに付き合っているそうな。
二人だけならスピードを駆使して、あの危険なエリアも突破出来るだろうとかで。
アポロ達も精霊魔法の強化の為に、大自然が溢れている場所を巡っている。
なんでもダンディの言う事には、精霊を強化する為には、その力が最も上がる場所に行くのがいいとかで。
炎の精霊を強化する為には、火山の火口。氷の精霊なら氷山の頂点に等。
その為、開拓も休止状態になっているので、ついでにカシュアも現在、里帰り中。
要は、今ここには、オレとロゥリぐらいしか居ない理由だ。
寝てる間に色々されたら溜まったもんじゃない。
「まずいな、コイツが知識を仕入れる前になんとかしないと」
円卓を囲むように集まった人々の内、一人がそう呟く。
「邪神を倒さぬ限り、あやつは何度でも蘇る」
「だが、どうやって……」
「確か邪神の弱点は、カード化されているモンスターの攻撃だったと聞く」
ここは救世会と呼ばれ、世界が危機的状況に陥った時、各国の代表が強制的に集められる場所。
人類と魔皇帝の戦いの歴史は、幾度となく繰り返されてきた。
魔皇帝は何度、打倒そうと蘇る。
ようやくその事に気づいた人類は、魔皇帝を倒すのでなく、封印する事により世界の平和を取り戻していた。
しかしそれも、邪神教徒により解かれてしまう。
今再び、戦乱の時代が来ようとしている。
「カードモンスターを大量に召喚し、邪神へ攻撃をしかけるか」
「いや待て、邪神はそのカードモンスターが増えれば増えるほど力をつけるのではないか?」
「邪神を倒すためには、カードモンスターを増やさなければならず、しかし、増やせば邪神がパワーアップしてしまう……いったい、どうすれば」
人々はこの繰り返される歴史に終止符を打つためには、魔皇帝を蘇らせている邪神を倒すしかないと、そう決意したのだった。
しかし、邪神の力は強大で、闇雲に攻撃を仕掛けても犠牲が増えるばかり。
「逆にモンスターカードを排斥すればどうか。そうすれば邪神の力も弱まろう」
「もっと早い段階、そう、それこそ最初の戦いの時にそれが出来ていれば良かったのだろう。だが、今はもう、現実的な話ではない」
モンスターカードとは、モンスターを取り込むことができる一枚の紙。
取り込んだモンスターは、カードの持ち主の指示に従い使役することができる。
今や子供から老人まで、世界中の人々が使っているカード。
生活に根付いたそのシステムを、今更、変えるというのは、それこそ電気自動車がガソリン自動車にとって代わるのより難しい事であろう。
その、カード化されたモンスターの総数が邪神のレベルとなり、増えれば増えるほど、その力は強大になっていく。
だが、邪神にも弱点があり、カード化されたモンスターの攻撃は、邪神に多大なるダメージを与える。
必然、邪神を倒すためには、カードを減らし邪神の力を削ぐか、逆にカードモンスターを増やし総攻撃を掛けるか、の2択になる。
「たった一つだけ、可能性がないことも……」
その時、一人の女性が呟く。
「かつて、ただ一体だけで邪神を追い詰めた事があるモンスター、天空を支配する白銀の竜王」
「――天竜王!?」
「そう、彼女の居場所さえ分かれば……切り札となりうる」
「天竜王のカードは邪神によって、いずこかへ隠されたという。それを何としてでも探し出すのだ!」
かくして、世界中の勇者達による、天竜王カードの大捜査網が敷かれることになった。
――――そして、それはそこあった。
天竜王の名にふさわしく、この世界で最も空に近い場所。
険しい断崖絶壁に囲まれた山々の霊峰。
その頂点にあった小さな祠に厳重なる封をされていたパンドラの箱。
これで世界は救われる。そう思って勇者達は喜び勇んで箱を開ける。
――――だが! そこから飛び出して来たのは天竜王だけではなかった!
「ガウガウ、トウチャンヒデエヨ、トジコメルナンテ!」
「ヨシッ、サッソク、カジリニイコウヨ!」
「マテマテ、クビカラウエハ、カアチャンノダゾッ」
その箱には、天竜王が生んだ無数の子供達も詰まっていたのだった!
天竜王とその子供達。その数、ざっと108ほど。
それらは一斉に飛び立って邪神の元へ向かう。
そして邪神はその子供達に齧られ、世界は平和になるのだった。
めでたしめでたし。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「って、全然めでてくねえよ!」
と、いうところで跳ね起きた。
「ガウガウ、コドモ、ヒャクニン、デキルカナァ……」
「出来てたまるかっ!」
重いと思ったら、寝言を言っているロゥリが腹の上にしがみついている。
クッソこいつ、いつの間に。
って、離れねえ。
おい、起きろ、こんな事に万有引力のスキルを使ってんじゃねえ!
「ガウゥ……ソロソロ、デキタカナ?」
目をショボショボさせながらそう聞いてくる。
なにが? えっ、子供? 出来る訳ねえだろがっ!
えっ、こうやってくついていれば出来るのだろうって?
…………ああ、そうだよ。これだけでそのうち出来る、きっと出来る。うん、真実は話さないでおこう。
エクサリーは、こないだの同盟締結の時にコンサートを開いたせいで、あちこちからお呼ばれがかかるようになり、カユサル並みに世界を飛び回っている。
オレは追放されている事になっているので付いて行けていない。
ラピスはなにやら、サキュバスのフフを連れて旅行中だ。
なんでもあの魔境山脈の向こう、フフの里帰りに付き合っているそうな。
二人だけならスピードを駆使して、あの危険なエリアも突破出来るだろうとかで。
アポロ達も精霊魔法の強化の為に、大自然が溢れている場所を巡っている。
なんでもダンディの言う事には、精霊を強化する為には、その力が最も上がる場所に行くのがいいとかで。
炎の精霊を強化する為には、火山の火口。氷の精霊なら氷山の頂点に等。
その為、開拓も休止状態になっているので、ついでにカシュアも現在、里帰り中。
要は、今ここには、オレとロゥリぐらいしか居ない理由だ。
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