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第十四章
レベル226 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたら空母になりました。
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ロゥリのカードがオレの目の前に浮かび上がる。
その備考欄、そこには一つ、文字が増えていた。
その名も、メテオブレイカー!
以前、黒竜をエルメラダス姫様が倒したときに使った必殺技。
それがなぜかカードの備考欄に描かれている。
ロゥリの突き出した手にドラゴンスレイヤーが現れた。
そしてそれは、その場で高速回転を始める。
なるほど! ただ投げるじゃなくて回転運動を加えたわけか!
ロゥリにしては中々の発想じゃないか!
ただちょっとロゥリさん、回転させ過ぎじゃないですか?
剣に纏わりつく空気が、地面の砂を巻き上げて荒れ狂う砂塵の嵐となっている。
『ガウッ! メテオブレイカー!』
それが頂点に達した時、先端を赤く染めながらとんでもない衝撃派を伴って射出される。
それは巨大なウィルマの本体を貫き、大穴を空けた!
ウィルマが空気を震わすような大きな咆哮を上げる。
ウィルマから雷を纏いながら回転する、無数の水の塊がロゥリに向かう。
だが!
『鉱石M・ライオットシールド!』
オレがそれをさせはしない。
メテオブレイカーを撃ち出すまでの間、オレがロゥリを守ってやる!
アポロも頼む!
『任せて!』
メテオブレイカーにより、体中に穴を空けられていく海竜王ウィルマ。
世界を支配していた、様々な魔法は色あせ、今はもう、ただ水の固まりが力なく襲ってくるだけ。
最後に、長い長い咆哮を上げて地響きと共に崩れ落ちるウィルマの巨体。
それを見てオレとロゥリは、共にハイタッチを交わすのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「これが、古き竜の時代の終焉……なのでしょうかね」
「終わりなどではない、これは始まりなのだよ」
「ニース! どこかへ行かれたのではなかったのですか?」
竜王ニースが、力なく海に浮かぶウィルマの下へゆっくりと歩み寄る。
「確かに竜の世界は終わりを告げたのであろう」
だが、これからは竜と人との世界が始まると言う。
「竜と人、ですか?」
見てみよ、と指を差すニース。
そこでは人と竜がハイタッチを交わしている風景がある。
竜だけではない、人だけでもない。
人と竜、それがそこにあるのだ。
「竜は昔、世界を支配していた。しかしその竜は人に滅ぼされることになる」
「竜より人の方が種として上であったと言いたいのですか?」
「いや違うな、存在そのものは竜が上であろう。違ったものは、竜は竜だけであった、だが、人は人達であった」
竜という存在は、基本、単騎で戦う。
ハイフレムの様に下級なモンスターを扱うことはあっても、竜と竜が協力して戦うことはなかった。
その結果、集った人達によって滅ぼされることになったのだ。
「そしてその人達だけの世界も時期に終わる」
これからは竜と人、それとモンスターが共に暮らす世界となるのだ。
「フフッ、まるで預言者のようですわ。……私はその先を見る事は適わないようですが、貴方が言う、そんな世界も見てみたかったですね」
「まだ諦める事はない」
「あの剣に貫かれた箇所が回復しませんの。それにもう、私も年ですしね……」
そう言ってゆっくりと瞼を閉じる海竜王ウィルマ。
「もう一度やり直したいと思わないのか?」
「やりなおせるものなら……ああ、私は筏になりたい、筏になって、この広い海をどこまでも漂っていたい」
ウィルマは海を漂う筏のようなものに憧れていた。
巨体で重量のある彼女は常に泳いでいなくては沈んでしまう。
海はいつも彼女を、暗い海底に引き込もうとしているかのようで。
それでも彼女は海が好きだった。
海の中にいればどこにでもいける。
どんなに悲しい感情も洗い流してくれる。
どんな大粒な涙も、海の雫の一滴でしかない。
お前らしい答えじゃな。と呟いたニースの気配が遠ざかって行く。
人と共に歩む道を選んだニース。
彼は人と竜は分かち合えると言う。
私もまた、人と分かち合えたら良かったのかもしれない。と小さく呟くウィルマ。
「ならば試してみないか? あんたとオレ達が分かち合えるかどうかを」
ふと瞼を開くと、一枚のカードを手に掲げている人が見える。
そのカードから照らされる優しい光に包まれていくウィルマ。
その光はどこか、まるで海に包まれているかのような錯覚を覚えさせるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
おいラピス! ラピスたん! とんでもないものが出たぞ!
クリスタルカードは現状一枚しかない。
仮に戦艦になったとしてもレベルの上げようが思いつかない。
砲塔があっても砲弾がなければ役に立たないだろう。
とりあえずノーマルカードでゲットして、レベルを上げてから戦艦にするかどうか考えようと思ったわけだが。
『空母クイーン・ウィルマ』
☆10・レベル1
スキル:水生成
空母! 空母ですってよ!
クリスタルカードが戦艦で、ノーマルカードが空母!
こりゃとんでもないものゲットしたぜ!
と、思ったわけですがぁ。
「凄いどころじゃないですよ! 空母があれば、海を支配したも同然じゃないですか!」
ところでお坊ちゃま、どうしてイラスト部分を手で隠しているのですか? と聞いてくる。
いやだってねえ、それがですねえ。
まあ、とりあえず呼び出せば分かるか。
『出でよ! 空母クイーン・ウィルマ!』
全長30メートル、直径3メーターはあろうかという――――丸太。
その丸太が敷き詰められた一面。
はい、どうみてもただのデカイ筏でございます。
この時代だと、これでも空母と言えるのだろうか?
確かに、これぐらいでかけりゃロゥリぐらいは乗れるだろうが……
ラピスがええ……って顔で見つめている。
その気持ちはよく分かる。
オレもカードを見たときはそう思ったよ。
その備考欄、そこには一つ、文字が増えていた。
その名も、メテオブレイカー!
以前、黒竜をエルメラダス姫様が倒したときに使った必殺技。
それがなぜかカードの備考欄に描かれている。
ロゥリの突き出した手にドラゴンスレイヤーが現れた。
そしてそれは、その場で高速回転を始める。
なるほど! ただ投げるじゃなくて回転運動を加えたわけか!
ロゥリにしては中々の発想じゃないか!
ただちょっとロゥリさん、回転させ過ぎじゃないですか?
剣に纏わりつく空気が、地面の砂を巻き上げて荒れ狂う砂塵の嵐となっている。
『ガウッ! メテオブレイカー!』
それが頂点に達した時、先端を赤く染めながらとんでもない衝撃派を伴って射出される。
それは巨大なウィルマの本体を貫き、大穴を空けた!
ウィルマが空気を震わすような大きな咆哮を上げる。
ウィルマから雷を纏いながら回転する、無数の水の塊がロゥリに向かう。
だが!
『鉱石M・ライオットシールド!』
オレがそれをさせはしない。
メテオブレイカーを撃ち出すまでの間、オレがロゥリを守ってやる!
アポロも頼む!
『任せて!』
メテオブレイカーにより、体中に穴を空けられていく海竜王ウィルマ。
世界を支配していた、様々な魔法は色あせ、今はもう、ただ水の固まりが力なく襲ってくるだけ。
最後に、長い長い咆哮を上げて地響きと共に崩れ落ちるウィルマの巨体。
それを見てオレとロゥリは、共にハイタッチを交わすのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「これが、古き竜の時代の終焉……なのでしょうかね」
「終わりなどではない、これは始まりなのだよ」
「ニース! どこかへ行かれたのではなかったのですか?」
竜王ニースが、力なく海に浮かぶウィルマの下へゆっくりと歩み寄る。
「確かに竜の世界は終わりを告げたのであろう」
だが、これからは竜と人との世界が始まると言う。
「竜と人、ですか?」
見てみよ、と指を差すニース。
そこでは人と竜がハイタッチを交わしている風景がある。
竜だけではない、人だけでもない。
人と竜、それがそこにあるのだ。
「竜は昔、世界を支配していた。しかしその竜は人に滅ぼされることになる」
「竜より人の方が種として上であったと言いたいのですか?」
「いや違うな、存在そのものは竜が上であろう。違ったものは、竜は竜だけであった、だが、人は人達であった」
竜という存在は、基本、単騎で戦う。
ハイフレムの様に下級なモンスターを扱うことはあっても、竜と竜が協力して戦うことはなかった。
その結果、集った人達によって滅ぼされることになったのだ。
「そしてその人達だけの世界も時期に終わる」
これからは竜と人、それとモンスターが共に暮らす世界となるのだ。
「フフッ、まるで預言者のようですわ。……私はその先を見る事は適わないようですが、貴方が言う、そんな世界も見てみたかったですね」
「まだ諦める事はない」
「あの剣に貫かれた箇所が回復しませんの。それにもう、私も年ですしね……」
そう言ってゆっくりと瞼を閉じる海竜王ウィルマ。
「もう一度やり直したいと思わないのか?」
「やりなおせるものなら……ああ、私は筏になりたい、筏になって、この広い海をどこまでも漂っていたい」
ウィルマは海を漂う筏のようなものに憧れていた。
巨体で重量のある彼女は常に泳いでいなくては沈んでしまう。
海はいつも彼女を、暗い海底に引き込もうとしているかのようで。
それでも彼女は海が好きだった。
海の中にいればどこにでもいける。
どんなに悲しい感情も洗い流してくれる。
どんな大粒な涙も、海の雫の一滴でしかない。
お前らしい答えじゃな。と呟いたニースの気配が遠ざかって行く。
人と共に歩む道を選んだニース。
彼は人と竜は分かち合えると言う。
私もまた、人と分かち合えたら良かったのかもしれない。と小さく呟くウィルマ。
「ならば試してみないか? あんたとオレ達が分かち合えるかどうかを」
ふと瞼を開くと、一枚のカードを手に掲げている人が見える。
そのカードから照らされる優しい光に包まれていくウィルマ。
その光はどこか、まるで海に包まれているかのような錯覚を覚えさせるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
おいラピス! ラピスたん! とんでもないものが出たぞ!
クリスタルカードは現状一枚しかない。
仮に戦艦になったとしてもレベルの上げようが思いつかない。
砲塔があっても砲弾がなければ役に立たないだろう。
とりあえずノーマルカードでゲットして、レベルを上げてから戦艦にするかどうか考えようと思ったわけだが。
『空母クイーン・ウィルマ』
☆10・レベル1
スキル:水生成
空母! 空母ですってよ!
クリスタルカードが戦艦で、ノーマルカードが空母!
こりゃとんでもないものゲットしたぜ!
と、思ったわけですがぁ。
「凄いどころじゃないですよ! 空母があれば、海を支配したも同然じゃないですか!」
ところでお坊ちゃま、どうしてイラスト部分を手で隠しているのですか? と聞いてくる。
いやだってねえ、それがですねえ。
まあ、とりあえず呼び出せば分かるか。
『出でよ! 空母クイーン・ウィルマ!』
全長30メートル、直径3メーターはあろうかという――――丸太。
その丸太が敷き詰められた一面。
はい、どうみてもただのデカイ筏でございます。
この時代だと、これでも空母と言えるのだろうか?
確かに、これぐらいでかけりゃロゥリぐらいは乗れるだろうが……
ラピスがええ……って顔で見つめている。
その気持ちはよく分かる。
オレもカードを見たときはそう思ったよ。
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