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第十三章
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「カイザーから聞いたぞ! アポロをカード化したらしいな。ならば私も同じ事を望む!」
エルメラダス姫様んとこのグリフォン、カイザーが20レベルに到達した。
『グリフォン・アイリスブラッド・カイザー』所持者・エルメラダス
☆8・レベル20
スキル:龍風圧無効、超加速、擬態+
備考:獣種特効、モンスターカード+1
風圧無効が龍風圧無効に、備考乱に獣種特効が追加された。
龍風圧無効って何?
普通に風圧無効・極でいいんじゃないの?
ますますゲームっぽくなってるなこのカード。
いやそれはいい、それはいいんだ。問題は……
「さあ頼む! 私をお前のカードにしてくれ!」
カイザーからアポロの事が漏れたらしい。
アポロが出来るなら自分だって出来るだろ。なんて事をおっしゃる。
出来るのだろうか?
いや出来るにしても、姫様をカード化したら国際問題どころじゃ済まないような気がする。
元々の話は、少しでもクリスタルカードを欲しがったラピスが姫様と交渉した事から始まる。
カイザーで増えるノーマルカードについては、姫様の望むモンスターをカード化して差し上げようと。
その代わり、少しでもカイザーのレベルを上げるように頑張って欲しい。
なお、40レベルになって出るクリスタルカードはこちらが貰います。
などど言って。
うん、全部ラピスの所為だな。
おい、なんとかしろよ!
「別に正当な取り分だと思われますよ。クリスタルカードをこちらに頂けるだけでも十分な譲歩を引き出せたと自負しています」
いや、そうかも知れないけどよ。
「……一国の姫様をカードにするには問題がある。私だって、人であって人ではない存在になってしまった」
アポロさんが助け舟を出してくれる。
そうですよ姫様、これ、何になるか分からないんですから!
万が一、面に出せられないような姿になるとたまったもんじゃありません。
「アポロよ、もしお前が同じ立場だっとして、そう言われて引き下がれるか?」
「うっ、……」
「それとだ、他の奴にも聞いておいて欲しい事だが、人がカード化できる。という事は、決して周りに洩らすでない」
で、なければ、次々と私のような人間が現れる。と続ける。
まさしくその通りだ。
病気や、寿命が残り少ない、そういった人達は最後の賭けとばかりにオレの元へ集ってくるだろう。
権力者なんかは、オレを拘束して、この力を思いのままに使おうとするかもしれない。
「そこの腹黒ウサギなら、それすらも逆手にとってしまうかもしれんがな」
また逆も然り、オレがこの力を用いて、権力者をカード化して……などと思われる可能性もある。
実際、ラピスならやりかねないと思われる。
あっ、もしかしてコイツ、それを見越して自分にもゲットが出来ないか試そうとか言ってきたな。
オレがチラッと見ると、スッと視線を避ける。まったくこの腹黒ウサギは……
「しかし、ティニーはゲット出来ませんでしたよ?」
「好感度が足りんのだろう、だが私なら大丈夫だ。お前に対する好感度なら、そこの小娘には負けん!」
そう言って、アポロに挑戦的な眼差しを向ける姫様。
「侮らないで欲しい、私は、私のこの想いは、何人たりとも負けはしない!」
ちょっとアポロさん、乗せられていますよ?
だんだん姫様をゲットしなければならない雰囲気になってきている。
カイザーが、まあいいじゃないですか、お試しでも。なんて耳元で囁く。
「ラピス、一つ聞いておきたいのだが」
「なにでしょう」
「カードから解放の条件、本人の意思は関係ないのか?」
ラピスが明後日の方を向いて、試した事がないので分かりません。などと言っている。
うそつけ、お前、知ってるだろ?
万が一、姫様を元に戻そうとしても、姫様が拒んだらどうなる?
「腹をくくれクイーズ。私はもう、とうにくくっておる」
「そうですよ、女性にここまで言わせといて行動をおこせないなんて、男がすたるんじゃないですかねぇ」
「良く言ったカイザー、さあクイーズ、お前の男を見せてくれ!」
……分かった!
姫様も、さすがに国家運営が出来ない姿になるならば諦めるだろう。
問題はアポロの様にどっちでもとれるような形になった場合だが……
オレは決意を固めてカードを掲げる。
『モンスターカード!』
だが、カードは何の反応も示さない。
あれ? オレ実はそんなに好かれてなかった?
いやすんません、自分、ちょっと自意識過剰でした。
だよな、前世でモテた事が無いのに、エクサリーに続いてアポロまで好意を寄せて貰えて、それだけでも奇跡なのにそれ以上があるはずがない。
「い、いやっ、ちょっと待て! おい、どういうことだカイザー!」
「いや、私に聞かれましても……足りてないんじゃないッスかねぇ」
「いや、そんなはずはない!」
フフンと勝ち誇ったような表情を見せるアポロ。
姫様はギギギと奥歯を噛み締めている。
「まあまあ、そう興奮しないでください。姫様、一つお聞きしますが、お坊ちゃまと国、どっちが大切ですか?」
ラピスがそう姫様に問いかける。
そう言われて複雑そうな顔をする。
「万が一、お坊ちゃまとピクサスレーン国、どちらかを選ばねばならなくなった場合、あなたはどちらを選びますか」
「………………国の方だろうな」
苦虫を食い潰したような顔で呟くエルメラダス姫様。
「それが答え、なのではないでしょうか」
エルメラダス姫様んとこのグリフォン、カイザーが20レベルに到達した。
『グリフォン・アイリスブラッド・カイザー』所持者・エルメラダス
☆8・レベル20
スキル:龍風圧無効、超加速、擬態+
備考:獣種特効、モンスターカード+1
風圧無効が龍風圧無効に、備考乱に獣種特効が追加された。
龍風圧無効って何?
普通に風圧無効・極でいいんじゃないの?
ますますゲームっぽくなってるなこのカード。
いやそれはいい、それはいいんだ。問題は……
「さあ頼む! 私をお前のカードにしてくれ!」
カイザーからアポロの事が漏れたらしい。
アポロが出来るなら自分だって出来るだろ。なんて事をおっしゃる。
出来るのだろうか?
いや出来るにしても、姫様をカード化したら国際問題どころじゃ済まないような気がする。
元々の話は、少しでもクリスタルカードを欲しがったラピスが姫様と交渉した事から始まる。
カイザーで増えるノーマルカードについては、姫様の望むモンスターをカード化して差し上げようと。
その代わり、少しでもカイザーのレベルを上げるように頑張って欲しい。
なお、40レベルになって出るクリスタルカードはこちらが貰います。
などど言って。
うん、全部ラピスの所為だな。
おい、なんとかしろよ!
「別に正当な取り分だと思われますよ。クリスタルカードをこちらに頂けるだけでも十分な譲歩を引き出せたと自負しています」
いや、そうかも知れないけどよ。
「……一国の姫様をカードにするには問題がある。私だって、人であって人ではない存在になってしまった」
アポロさんが助け舟を出してくれる。
そうですよ姫様、これ、何になるか分からないんですから!
万が一、面に出せられないような姿になるとたまったもんじゃありません。
「アポロよ、もしお前が同じ立場だっとして、そう言われて引き下がれるか?」
「うっ、……」
「それとだ、他の奴にも聞いておいて欲しい事だが、人がカード化できる。という事は、決して周りに洩らすでない」
で、なければ、次々と私のような人間が現れる。と続ける。
まさしくその通りだ。
病気や、寿命が残り少ない、そういった人達は最後の賭けとばかりにオレの元へ集ってくるだろう。
権力者なんかは、オレを拘束して、この力を思いのままに使おうとするかもしれない。
「そこの腹黒ウサギなら、それすらも逆手にとってしまうかもしれんがな」
また逆も然り、オレがこの力を用いて、権力者をカード化して……などと思われる可能性もある。
実際、ラピスならやりかねないと思われる。
あっ、もしかしてコイツ、それを見越して自分にもゲットが出来ないか試そうとか言ってきたな。
オレがチラッと見ると、スッと視線を避ける。まったくこの腹黒ウサギは……
「しかし、ティニーはゲット出来ませんでしたよ?」
「好感度が足りんのだろう、だが私なら大丈夫だ。お前に対する好感度なら、そこの小娘には負けん!」
そう言って、アポロに挑戦的な眼差しを向ける姫様。
「侮らないで欲しい、私は、私のこの想いは、何人たりとも負けはしない!」
ちょっとアポロさん、乗せられていますよ?
だんだん姫様をゲットしなければならない雰囲気になってきている。
カイザーが、まあいいじゃないですか、お試しでも。なんて耳元で囁く。
「ラピス、一つ聞いておきたいのだが」
「なにでしょう」
「カードから解放の条件、本人の意思は関係ないのか?」
ラピスが明後日の方を向いて、試した事がないので分かりません。などと言っている。
うそつけ、お前、知ってるだろ?
万が一、姫様を元に戻そうとしても、姫様が拒んだらどうなる?
「腹をくくれクイーズ。私はもう、とうにくくっておる」
「そうですよ、女性にここまで言わせといて行動をおこせないなんて、男がすたるんじゃないですかねぇ」
「良く言ったカイザー、さあクイーズ、お前の男を見せてくれ!」
……分かった!
姫様も、さすがに国家運営が出来ない姿になるならば諦めるだろう。
問題はアポロの様にどっちでもとれるような形になった場合だが……
オレは決意を固めてカードを掲げる。
『モンスターカード!』
だが、カードは何の反応も示さない。
あれ? オレ実はそんなに好かれてなかった?
いやすんません、自分、ちょっと自意識過剰でした。
だよな、前世でモテた事が無いのに、エクサリーに続いてアポロまで好意を寄せて貰えて、それだけでも奇跡なのにそれ以上があるはずがない。
「い、いやっ、ちょっと待て! おい、どういうことだカイザー!」
「いや、私に聞かれましても……足りてないんじゃないッスかねぇ」
「いや、そんなはずはない!」
フフンと勝ち誇ったような表情を見せるアポロ。
姫様はギギギと奥歯を噛み締めている。
「まあまあ、そう興奮しないでください。姫様、一つお聞きしますが、お坊ちゃまと国、どっちが大切ですか?」
ラピスがそう姫様に問いかける。
そう言われて複雑そうな顔をする。
「万が一、お坊ちゃまとピクサスレーン国、どちらかを選ばねばならなくなった場合、あなたはどちらを選びますか」
「………………国の方だろうな」
苦虫を食い潰したような顔で呟くエルメラダス姫様。
「それが答え、なのではないでしょうか」
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