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第十二章

レベル194 アンダーハイト王国・スプートニク砦

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 ああ、そういやそうだった。
 今回の仲裁の件、オレが主導した事になっているんだった。
 うん、じゃあオレが交渉しなくちゃね。

 嫌だよぉおお! なんでだよぉおお!

 おまっ、見ず知らずの人に奴隷になれって、どこの悪役だよ!
 やばいな……なんでこんな事になったんだ?
 かといって、またラピスに放り投げたら、とんでもない事になりそうだし……

 気乗りはしないが、とりあえず、言うだけ言ってみるしかないなと思い、その国に作ったという砦に向かった訳だが。

「……随分立派な砦だな。突貫工事にはとてもみえないのだが」

 断崖絶壁を背にグルッと円形に組まれた壁のような砦。
 かなりの規模で、砦内には城の様なものまで建っている。
 そしてなにより、随分古臭い。

 なんていうか……千年ほどの年季が入ってるかのよう。

「この地の攻略には千年前も苦労しましてな、蜂起や反乱に備え、地の下に砦を埋めておったのですよ」

 なんてバルデスさんが説明してくれる。
 どうやら古代王国の遺跡を復活させた模様。
 砦の前には堀があり、そこが元々砦が埋まっていた場所だそうな。

「どうやって掘り起こしたの?」
「王城アルバトリオンに眠っている魔道具を使用いたしました」
「そこの宝物庫、伝説級のブツがいっぱい眠っていましたよ」

 なるほどなあ。
 しかし埋まっていたのは砦部分のみ。
 中の建物はほとんどが絶賛建設中である。

「小さな城もあるにはあったのですがな、さすがに千年の月日には耐えられなかったようです」
「砦が千年残ってるってだけでも立派な物だ」
「あっ、そうだお坊ちゃま、なにやらバルデスが、珍しいモンスターを捕らえているって言ってましたよ」

 ラピスがそう言うとバルデスが頷き、とある場所へ案内される。
 そこには、なにやら巨大な鳥篭のようなものがあり、中に一匹のモンスターが座り込んでいる。
 それは、上半身は鷲、下半身はライオン、のような姿をしたモンスターであった。

「グリフォンの子供?」
「見た目は近いですが、別物です。まあ一節には、グリフォンと人の合いの子と言われていますがな」
「大きさは成人しても人より少し大きい程度、二本足で歩き、人並みの知能を誇る。そうですね、ハーモアの鳥版と言えばわかりやすいでしょうか」

 ふむ、鳥の獣人みたいなものか?
 この国を囲む山脈にしか生息しないモンスターで、名をグリフォンドールというらしい。
 滅多に人前に姿を現す事は無く、その存在は伝説上のものとされているとか。

「千年前、ここを侵略する際にも苦労させられましたよ。姿が見えないのに、どこからともなく魔法が飛んでくる」

 国を守る守護者のような感じでもあったらしい。
 それが、自分達の頭を超えて急に国内に砦なんて出来た物で、慌てて偵察にきたのだろう。
 バルデス以外なら見過ごしていたかもしれないが、千年前に実際に戦ったバルデスには、その気配を察知する事が出来たそうだ。

「まず、来るだろうとも思っておりましたからな」

 ささ、どうぞ。と言ってオレを誘導する。
 えっ、これゲットしろっていうの?
 すげ~勢いで睨んできているんだが、これまたロゥリのようにならないか?

「動きはとても素早く、隠密に長けます。風魔法にも精通しており、かなりの戦力となりますぞ」
「まあ、とりあえずゲットしてから後の事は考えたらどうですか」
「いや、もう敵愾心の高い奴はいらないんだが?」

 ホウオウの時もびびったよ。
 エクサリーが燃やされるかと思った。
 なんだかんだで仲良くなったようだから良かったものの。

「ふうむ、ならばどうしますかな」
「山に帰してやれば?」
「もったいないですよぉ」

 まだ子供のようだし、別に人様に迷惑かけてた訳じゃないんだろ?

 オレはとりあえず、鍵穴に鉱石Mを差し込む。
 そして変形させてカチャリ。
 鍵を外し扉を開けてやる。

「……随分器用な真似しますね、お坊ちゃま」

 グリフォンドールの奴は、オレの方をジッと睨みながらソロソロと鳥篭から出てくる。
 オレが山の方へ向けてあごをしゃくると、何やら頷いたふうな仕草をして飛び立っていく。
 何度かチラチラと、こちらを警戒しながら山に帰って行った。

 そしてグリフォンドールを見送ったオレはバルデスにとある場所へ連れて行かれる。
 随分、広い、そして天井も高い。
 まるでそれは、古代王国王城アルバトリオンの王座があった部屋のごとき。

「わざと似せて作りましたからな。こちらの方が、脅しが効くでしょう」

 脅すのかよ? 気が重いな。
 と、なにやら奥の方からハーモア、サウ、レリンが歩いてくる。
 ハーモアはなぜか獣人化済みだ。

「どうせ脅すなら徹底的にやろうと思いましてね。サウ、お願いしますよ」
「任せとけ、ケケケ」

 サウがレリンに両手を向けると、とたんレリンが妖艶な美少女エルフに変身する。
 幻惑か!?
 そしてサウはオレにも手を向けてくる。

 オレが纏っているパワードスーツが、何やら黒くてトゲトゲした感じへ変わっていく。

「おおっ、なんかかっこ良くなってきたな」
「ケケケ、これで迫力が3倍マシダ」
「あら、いい感じじゃないですか。馬子にも衣装って感じで」

 おい、馬子にも衣装は褒め言葉じゃないんだぞ?
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