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第十一章

レベル174 東洋の秘境ヤマト大国

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「何ですかおやっさん、オレに内緒話って?」
「うむ、……実はだな」

 おめえももうすぐ16歳。
 いよいよエクサリーと結婚できる歳になる訳だが……

「というか、その気はあるんだよな?」
「当然じゃないですか!」

 自分、エクサリー以外考えられないッス!
 出来る事なら16歳と同時に結婚したいッス!
 えっ、エクサリーの気持ちはどうなんだって?

 えっ!? もちろん同じじゃ……同じですよね?

「そこで自信がねえと困るぞ」
「ういっす……」

 後でちゃんと確認しておこう。
 嫌って言われたらどうしよう……
 やばいな……最近、あのおっさんの所為であまりエクサリーと話が出来てない気がする。

「まあどっちにしろ、コレは避けて通れない道だ」

 なにやらおやっさんが神妙な顔で一通の手紙を差し出して来る。

「俺の親父……エクサリーの祖父に宛てた手紙だ。これを持って、挨拶に行ってほしい」
「うえっ!?」

 えっ、おやっさんのご両親で存命だったんスか!?
 それにしては、今までそれらしい影がまったくなかったんですけど。
 ああ、まあ、たぶん向こうじゃ俺、死んでることになっているだろうしなあ……などと歯切れの悪い言い方をするおやっさん。

 えっ!? なんでそうなっているの?

 王都を騒がせていた盗賊団に捕まったおやっさん。
 そこで、女親分とちょめちょめしてエクサリーが生まれた。
 突然攻め込んで来た騎士団に、このままではエクサリーの命が危ない。と思ったおやっさんは、遠くはなれたピクサスレーンまで逃げて来たとか。

「ん、まあ、そういう訳なんで、たぶん地元じゃ、盗賊団にやられている設定になってると思われ」

 でしょうねえ。

「なんで今まで連絡を取らなかったんですか?」
「いやほら、追っ手とか、かかっていたら怖いだろ?」
「エクサリーが生まれているってバレているんですか?」

 いや、たぶんそれはない。と言うおやっさん。
 もしかしておやっさん、ご両親に伝えづらくてずっと逃げてたんじゃ……
 これだって、おやっさんが持って行ったら済むんじゃなかろうか。

「ん、コホン。エクサリーを任せられるのは、おめえしかいねえと思っている。もしコレを持って行ってくれるなら、俺は全面的にお前を支持しよう!」
「ウイッス! 任せといてください!」

 などと、意気揚々とおやっさんの故郷に乗り込んだわけですが……

 ――――ガシャン!

 なぜか牢屋行きになりましたとさ。

◇◆◇◆◇◆◇◆

 えっ、なんで、なぜ? どうして!?

 おやっさんに言われたとおり、手紙を持ってフォートレース商会とやらの門をたたいた訳だが。
 手紙を渡して暫く門で待っているとフル武装の衛兵さんがやって来てさ。
 そのまま左右を固められて詰め所行き。

 なにやら色々書かされた後、牢獄へ放り込まれた。

 ちょっとおやっさん、あの手紙、いったい何書いてたの!?
 どうしようか……
 脱獄しようと思えばいつでも出来るんだが……

 パワードスーツ、レベル20になったが、特別な変化も新たなスキルも発現しなかった。
 その代わりといってはなんだが、この刺青のような黒い影の部分、地面を這わせて他人を操ることが出来るようになっていた。
 こうスルスルっと影を伸ばして、足から順に全体に這わせれば、思うように人を動かすことが出来る。

 とはいえ、レベルがまだまだ低いのか、這わせられる距離は短いんだけどね。

 とにかくコレを使えば、衛兵さんを自由に操って脱獄は可能という訳だ。
 別に周りを気にしないのであれば、誰か呼び出して壁を壊すと言う手も有るけど。
 そっちは大事になりそうなので出来る限り使いたくない。

 あまり遅くなると、こっそり来たのもバレるし……ほんと、どうしたものか。

「面会だ」

 と、思案しているとなにやらお呼ばれがかかる。
 案内された場所では一人のメガネを掛けた男性が待っていた。

「君がピクサスレーンから来たというクイーズという者かね」
「はい、そうです。あの~、なんか手紙に妙な事でも書いてました?」
「内容自体は何も問題ない。内容自体にはな。どこでこれを手に入れた?」

 どうやら手紙の存在自体を怪しまれていた模様。
 過去にも、このようにおやっさんの生存情報で色々詐欺まがいな事があったご様子。
 なので今回も同様な案件であると、怪しまれたようだ。

 確かに気持ちは分かる。生きてるならもっと早くに連絡しただろう。今更って感じですよね?

「証明出来るものはあるか?」

 証明と言われましてもねえ……
 あっ、これがあるか!

『出でよ! ミュージックプレイヤー!』

 コレに確かおやっさんのムービーも入っていたはず。
 おっ、あったあった、コレッスよ!
 オレはミュージックプレイヤーに映っているおやっさんをその人物に見せる。

「…………本当に、本物?」

 何回もリプレイして確かめているメガネの男性。

「と、いう事は、ここに書いてある事は全部事実……」

 なにやら両手がプルプルされてございます。
 盗賊に捕まって殺されたわけじゃなく、その盗賊の女性と恋に落ちて、子供を作り、その子と共に幸せに暮らしていると……
 プルプルがガタガタに変わり、机まで振動してございます。

 やばい、何かメガネの奥から深遠が覗いている気がする。

 ――――ドガッ!

 両手の握り締めた拳を机に思いっきり叩きつける御仁。
 ヒィッ、コエエ!
 えっ、何? なんでこの人、こんなにオコなの?
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